STATUS MINOR 89
Dialog (2009)

フィンランド産新鋭プログレッシヴ・メタル・バンド STATUS MINOR の1stフルレンス・アルバム。

高度な演奏技術と北欧出身ならではのクリアな叙情センスを武器にスリルとメロディと同率で折り重ねていくスタイルは CIRCUS MAXIMUS, SEVENTH WONDER らの新進北欧プログ・メタラーと同系だが、「良い曲」「良い歌」「良いプレイ」という当然の要素をシンプルに研ぎ澄ましたかのフックに溢れるその内容は、デビュー作にしていきなり前述のシーンリーダー達の列に乱入するかの充実度を見せている。

イントロ数秒でそのメロディの妙味に瞬殺される好オープニング・チューン #1 “Something More”、ナイーヴな情景美が冷ややかにプログレスする #3 “Stand and Think”、そして突如 DREAM THEATER 度を増しながら劇的に攻め立てる15分超の大作 #7 “Dialog” と、とにかく曲がいいのが◎ですな。

かなりの悶絶テクニシャン Sami Saarinen (g) をはじめ、スリリングなスピード・プレイからポンプ・ロック的な空間の広がりまで色彩豊かに描写するメンバー全員の豊かな表現力が、甘美に胸を焦がす“北欧メタル”のベクトルに向かっているのにビビッと来まくりな、魅惑の一枚ですわ。

何の根拠もないけど、次作は大変なことになってそうな予感・・。

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ENSIFERUM 90
From Afar (2009)

フィンランド産シンフォニック・ヴァイキング・メタル・バンド ENSIFERUM の4thアルバム。

残念ながら脱退してしまった我らが Meiju Enho タン (key) の後任に就いた嬢キーボーダー Emmi Silvennoinen タン (EXSECRATUS) が十分可愛いながらもやはり Meiju タン の域には及ばずなのがやや惜しくも、イントロに続くタイトル・トラック #2 “From Afar” でいきなり炸裂する ENSIFERUM らしさ満点の勇壮なるキラキラ疾走のド外れた高揚感、そして続く #3 “Twilight Tavern” のクサメロ大爆発と中間部で女性ヴォーカルが漏らす憂いが震わすキラー・チューンっぷりに、そんなことはスッカリ忘れて早くも大満足。

今回まず驚かされるのが、これまでの作品とは異質の生々しいオーケストレーションのA級な上質さだ。 ともすれば“チープ”とさえ言えたこれまでのシンフォニー・パートが、それ故の良い意味でのクサさを発していただけに、この大きな音像の変化には当初戸惑いに近い違和感を感じたけど、繰り返し聴くうちに馴染んできた・・・どころか、そのオーガニックな空気感を孕んだ音圧が心地よくてタマランくなってきたり。

本作で参加2作目(MCD含めると3作目)となる Petri Lindroos (vo,g/NORTHER) の頼もしい小慣れっぷりはもちろん、Markus Toivonen (g,vo) と Sami Hinkka (b,vo/RAPTURE) コンビによるクリーン・ヴァイキング・ヴォーカルのフォーキーな味わいもバッチリ健在の、外さない一枚ですわやっぱ。

キャッチー(と言っても差し支えないよね?)な疾走曲の魅力ばかりでなく、共に11分を超える2曲で一対となる #4 “Heathen Throne”#9 “The Longest Journey (Heathen Throne Part II)” に溢れる重厚な情景美にも耳を奪われる。 イイっす!(悶)

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BLACKGUARD 76
Profugus Mortis (2009)

カナダはケベックのシンフォニック・フォーク/デス・メタル・バンド PROFUGUS MORTISBLACKGUARD と改名して放つ心機一転のデビュー・アルバムは、その PROFUGUS MORTIS 時代の最終作となった2008年の6曲入りEP “Another Round” に収録されていた全曲+3曲という構成。

非常に残ッッッ念ながら、PROFUGUS MORTIS の最大の魅力だった激萌ドエロ美女ヴァイオリニスト Émilie Livernois タン (LES BATARDS DU NORD) は脱退済み・・・orz。 それぞれ初期の NORTHER, KALMAH を想わせるキラキラと劇的に疾走する楽曲の出来は間違いなく水準以上だし、80年代のギター・ヒーロー的にガンバるギター氏のプレイもこの手のバンドの中では一際耳を惹いたりはするんだけど、やっぱ彼女の不在という事実とそれによるフォーキーな悶絶テイストの激減は俺的には相当な痛手ですわ・・・。

シンガー氏が Alexi スタイルでギャアギャアと喚く傍ら、#5 “The Sword” で凄まじく漢臭いグロウルが聴こえてきて誰や!?と思ったら、THE AGONISTAlissa White-Gluz 嬢 だった。(笑)

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PARADISE LOST 85
Faith Divides Us Death Unites Us (2009)

英国が誇るゴシック・メタルの始祖、PARADISE LOST の12thアルバム。

“ゴシック”で“メタル”な路線への嬉しい回帰を果たした前2作のスタイルを継承しつつ、さらにヘヴィ/メロディック双方への深化を狙ったその音像は、不器用に旋律を追う Nick Holmes (vo) の渋いダミ声と丁寧に泣きを綴る Gregor Mackintosh (g) による慟哭メロディの高波がドゥーミーに押し寄せる様子が、その前2作以上にかの名作群 “Icon”“Draconian Times” の時期への接近を感じさせる。

漢クサい渋みの中にしっとりと漂うなんとも PARADISE LOST らしい英国らしい気高き格調、そして素のままの“ロック”がそのまま暗く重くなったかの自然体なヘヴィ・グルーヴの心地良さは高い満足感を運んでくる反面、ヘヴィさを強調しようとするあまり無理やりさが目立つ部分も少なからずあったりと、非常に高い次元で少々もどかしさを感じる場面も。

オープニングに配された #1 “As Horizons End”、そしてタイトル・トラック #5 “Faith Divides Us – Death Unites Us” が現在の彼らの魅力を全て詰め込んだ超々強力チューンであることは疑いようがないんだけど、その他の曲がちょいと通り過ぎ気味なんだよなぁ・・・ もうしばらく酒と共に聴き込んだら、また印象変わるかな?

ちなみに、本作から Adrian Erlandsson (ex-CRADLE OF FILTH, AT THE GATES, THE HAUNTED, etc.) がラインナップに名を連ねているけど、レコーディングは Peter Damin なるセッション・ドラマーが担当。 けどその Peter もカナーリいいドラム叩いてますよん。

(Nov. 13, 2009)

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ANGEL WITCH 86
Burn the White Witch – Live in London (2009)

N.W.O.B.H.M. の伝説的バンド ANGEL WITCH が2009年4月30日に行った英ロンドン公演の模様を収録したライヴ・アルバム。

いや~、良いライヴ盤だ。(悶) 聴く度に、まだまだ記憶に新しい今年(2009年)8月の奇跡の来日公演の興奮っぷり、さらにはN.W.O.B.H.M.ムーヴメントがリアルタイムで進行していた高校生当時の熱き想いを思い出して、身体の奥底がジンジンと疼いてくるわ。

唯一のオリジナル・メンバー Kevin Heybourne (vo,g) を Chris Fullard (g), Will Palmer (b), Andy Prestidge (dr/WINTERS) という Rise Above 人脈の3人の若手プレーヤーが支えるという体制ではあるものの、レトロ・ドゥーム系に長けた彼らによる適度にユルくも要所でキメるツボを心得た好プレイは実に良い感じのハマり方で、往年の名曲群が発するノスタルジーに極上のヴァイヴを与えているのが◎。

もちろん中心人物 Kevin の存在感も言わずもがな。 さすがに高音部には順当な経年劣化が見られるものの、それ以外は歌唱もギター・プレイも当時とほぼ変わらぬ感触を持って、仄かなオカルティズムに彩られたメロディックなヘヴィ・メタルをエネルギッシュに奏でる姿の若々しさには驚くばかりだ。

しかしこうして改めてじっくり聴くと、特にギター・パートにおける意外な程に細やかなアレンジ/アンサンブルに今更ながら気付かされるスわ。 そのあたりに Kevin の非凡な才能を感じてしまったことも、本作に浸る心地良さを後押ししてるんだろうな。

(Nov. 11, 2009)

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ETERNAL TEARS OF SORROW 88
Children of the Dark Waters (2009)

フィンランド産メロディック・デス・メタル・バンド ETERNAL TEARS OF SORROW の6thアルバム。

約2年間の活動休止期間を経ての復活作となった前作ではゴシカルな暗黒叙情の増進が顕著だったが、本作では前作のゲスト・シンガー Jarmo Kylmanen (♂clean-vo/SCYRON) を正式加入させ、さらには Heidi Parviainen 嬢 (AMBERIAN DAWN), Miriam Elisabeth Renvåg 嬢 (RAM-ZET) という二人のゲスト美女シンガーを登用して、その進化をさらに加速させている。

その音像は、ダークな幻想美に満ちたアートワークそのままの、繊細なダークネスが美しく広がるクリアなもの。 特徴的に漂うメロウな旋律美だけではなく、北欧シンフォ・ブラック的な暗鬱アグレッションや Risto Ruuth (g/SCYRON)(本作制作後に脱退…) と Janne Tolsa (key/TAROT, KENZINER, VIRTUOCITY) が熱く鬩ぎ合うスウェディッシュ・メタル的とも言える本格ネオ=クラシカル・エッセンスをも同時に強めているのが、全体のバランスを上手く調整しているのも強い。

ただ、楽曲の表現の幅が広がった分、前作では気にならなかった Altti Vetelainen (vo,b) のデス・ヴォイスの「弱さ」が、またもや頭をもたげてきたような気も・・・。

(Nov. 6, 2009)

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LEAVES' EYES 86
Njord (2009)

ジャーマン・ゴシック/シンフォニック・メタル・バンド LEAVES’ EYES の 3rdアルバム。

2008年の Wacken で観たショウがかなりイマイチだったり Liv Kristine Espenaes Krull (♀vo) の歌唱スタイルがちょっと好みから外れつつあったりして、本作は実はオマケのヴァイキング船欲しさに限定盤を買ったと言っても過言ではなかったんだけど(汗)、なんだかんだ言って悪くないねー。

タイトルに据えた海神 Njord を軸に北欧神話世界を旅する楽曲群のすっかりヴァイキングなメタル・エッジと王道ゴシック・メタルの優美さを兼ね備えたドラマティックないでたちは、かの “Elegy” に比肩するようなド名曲こそ見当たらないもののやっぱり心地良い。

ダイナミックな壮麗メタル・チューンズ #3 “Emerald Island”, #9 “Ragnarok”、キャッチーな愁いを封じ込めた #4 “Take the Devil in Me” といった佳曲もさることながら、ケルティックな清哀フィールを漏らす SIMON&GARFUNKEL の名曲カヴァー #5 “Scarborough Fair”#7 “Irish Rain”, #10 “Morgenland”、そしてボーナス・トラック #14 “Les Champs De Lavande” ら充実したメロウ・サイドの楽曲の存在もデカいし。

ただ、リーダー・トラック #2 “My Destiny” 等で Alexander “旦那” Krull (♂vo, key) が妙に張り切る“今更感”たっぷりなラップ系デス声は・・・正直要らんス。

↓限定盤CDに付いてきたヴァイキング船(全長約32cm!)

Leaves' Eyes

※ リニューアルしてから画像も載せられるようになりやした。(祝)

(Nov. 6, 2009)

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UFO 81
The Visitor (2009)

今年でなんと結成40周年(スゲー)を迎えた英国の大ベテラン・ハード・ロッカー UFO の20th(かな?)アルバム。

リラックスした空気の中に枯れたブリティッシュ・ブルーズ・ロックが流れるここ数作同様の激渋路線ながら、Vinnie Moore (g) が加入して3作目、そして Andy Parker (dr) が復帰して2作目という時の経過が生んだ「呼吸」の心地良さ、そして今年念願叶ってWackenで観ることができたこの体制でのショウの素晴らしさの記憶による脳内補完によって、各曲から貫禄とともに極上グルーヴがビンビン伝わってくる。

そしてやはり Vinnie Moore。 ジャジー/ブルージーなエモーションと超絶技巧派ならではのファストなスリルのバランスを上手く取りながら、アダルトな落ち着きを放つ楽曲に自らの主張を自然に溶け込ませつつ劇的な見せ場を形成する手腕はホント凄い。 ナイスなナチュラル・トーンな音色の中で全ての音素を完璧にコントロールする様はまさに「ニュアンスの神」だ。

あ、また Vinnie Moore のことしか書いてない。(汗) えーと、Phil Mogg (vo) の英国ヴォイスもメチャクチャ渋くてタマランですよー。

(Nov. 3, 2009)

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BLACK BONZO 85
Guillotine Drama (2009)

スウェーデンのヴィンテージ型プログレッシヴ/ハード・ロック・バンド BLACK BONZO の3rdアルバム。

1stの魅惑のレトロ・ジャケや2ndの素敵過ぎる邦題(”終末と再臨の預言”)のことを考えると、架空のギロチンをテーマに据えた(らしい?)本作は装丁的にはちょいツカミ弱めだけど、音の方は全2作同様に極初期の URIAH HEEPDEEP PURPLE 系のレトロ・テクスチャが渋みを発する’70s英国アート・ロック魂全開な例のスタイルで、相変わらずの心地良さを運んでくる。

ただ、本作ではスリルやダイナミズムよりはユートピアンな安穏さにフォーカスを当て気味と感じる部分も多く、その面では惜しくも全2作を超えるには至っていないかも・・・。

・・・と言いつつも、オルガン/メロトロンやコーラス・ワークの立体的なアンサンブルが懐古グルーヴを描く中でしっかりとクリアな近代北欧ネオ=プログレ風味を漂わせる鋭利なバランス感覚は流石の一言で、ノスタルジーを超えて漏れ出る旨みを肴に美味しいお酒が飲める一枚であることは確かデス。

 (Oct, 29, 2009)

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