LEVERAGE 91
Circus Colossus (2009)

フィンランドの6人組メロディック・ハード・ロック/メタル・バンド LEVERAGE の3rdアルバム。

Ari Koivunen, Agnes Pihlava を始め多くのアーティストに楽曲を提供する中心人物 Tuomas Heikkinen (g) の「裏方」的な印象とシンガーを務める Pekka Heino (vo) のオッサン声&「BROTHER FIRE TRIBE のシンガー」というマイナー感、そしてメタル大国フィンランド産らしからぬ落ち着いた佇まいがこのバンドをかなり地味な存在たらしめていた(いる?)が、本作ではそんな地味さを「玄人受けを誘う老獪さ」というベクトルへと見事に昇華。優れた楽曲と熟達の技を大きなスケールで楽しめる逸品と相成った。

冒頭のイントロダクション #1 “Rise” からしてその気合の入りまくった本気オーケストレーションに戦かされるが、続く #2 “Wolf and the Moon” からの本編で大きく驚かされたのが、前作でも匂わせていた大英帝国的風合い ―簡単に言っちゃうと“MAGNUM 風味”(笑)― の極端な増量! その一因ともなっている Bob Catley 度大幅UPの Pekka の渋い熱唱、そしてさすがの職人的巧さを見せる TuomasMarko Niskala (Key) の妙技によるプログレ・メタル的展開美が、繊細に燦くダイナミックな楽曲から溢れさせている円熟ドラマティカの説得力の高さには、本当に痺れるばかりだ。

#6 “Legions of Invisible” に代表される重厚な王道美旋律メタル群がボディーブローのように魂を揺さぶらり、終盤に配された疾走哀愁チューン(といっても実速度はソコソコw)2連発 #9 “Prisoners”#10 “Broken Wings” で涙ながらのヘッドバンギングで昇天。 タマランです。(幸)

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KALEVALA (КАЛЕВАЛА) 89
The Cuckoo’s Children (Кукушкины дети) (2009)

ロシアはモスクワを本拠とする5人組フォーク・メタル・バンド KALEVALA の1stアルバム。

朗らかな民族色を孕みながら素朴かつ軽快に跳躍する曲々は、紅一点の女性シンガー Kseniya 嬢 (vo/ex-NEVID’, BUTTERFLY TEMPLE) のエキセントリックに弾ける溌剌現地語歌唱と専任♂アコーディオン奏者が奏でる哀愁の調べを主軸に展開。アコーディオンの世俗的な音色が響く“飲み会系”な風合いには KORPIKLAANI との共通点が見いだせるが、こちらの KALEVALA の方がよりシンプルに民族音楽の旋律美とロックのヴァイブ/エナジーを融合させてる感じ。

そのシンプルさこそがキモで、4ピース+αという意外と単純な構成のプレーヤ陣によるハード・ロック的アプローチの旨みが生み出す他のパワー・メタル系フォーク・メタル・バンドとは一線を画すアダルトな手練に、終始MYロック本能は刺激されまくりなのです。Nikita Andriyan (g/LETHAL GUEST, ex-NEVID’) の若さに似合わぬ(22才だっけな?) Ritchie Blackmore 系プレイも美味しいし♪ もちろん、多くの疾走パートを含むメタリックな要素もしっかりと存在。本作から加入した新ドラマーの高い安定感がタフなヘヴィさを生み出していることも、前作からの大きな向上を感じさせる部分だ。

前作もそうだったけど、やっぱこのバンドはスキャット・パートの民謡メロディの殺傷力がハンパない! Kseniya 嬢 がエネルギッシュに発する解る訳もないロシア語に合わせてハナモゲラで歌い、サビではフォーキーなスキャットに煽られて♪ら〜ら〜♪ななな〜な〜 と郷愁のメロディを追いまくるうちに、我が意識はロシアのはずれの荒くれ酒場にトリップですわ。(笑)

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GALNERYUS 88
Resurrection (2010)

多くのファンに惜しまれながらバンドから離脱することになった YAMA-B (vo/AXBITES) の後任として 小野 正利 (vo/ex-FORT BRAGG) を正式加入させた新体制 (同時にベーシストも交代) で放つ、新生 GALNERYUS の待望過ぎるほどに待望の6thアルバム。

昨年5月のPURE ROCK JAPAN 2009@川崎CLUB CITTA’で「小野ネリウス」が初お目見えした時の大きな感動、そしてその後9月初旬の奇跡の正式加入アナウンスを経て行われたLOUD PARK公演の問答無用の素晴らしさ・・・それらが生み今日まで順調に育まれてきた多大な期待。本作はそれらに見事に応えてくれた起死回生の一作と言っていいだろう。

YAMA-B が発していた拳を握る熱さとは意を異にする小野の爽快感溢れるクリアなハイトーンの存在感は圧倒的で、メロディの推移を主体にドラマを展開させていく GALNERYUS のスタイルとの相性も、これまで2度のショウで証明されているとおりに◎。イントロに続く超強力なオープニング・チューン #2 “Burn My Heart” や先にDL配信された劇的チューン #10 “Destiny” に代表される激速疾走を効果的に配した高殺傷力の楽曲を背に、小野が「ミリオンヒットを持つ紅白歌手」らしい安定した巧さをもってどこまでも伸びるハイトーン・ヴォイスを天高く駆け巡らす様は、得も言えぬ快感を運んでくる。

楽曲に対するアプローチとして近作同様、初期のグローバルなネオ=クラシカル/シンフォニック・メタルへの傾倒からそれにこだわらない幅広いメロディアスかつテクニカルな魅力の追求へとシフトを強めているが、今回はキャラクタの異なるシンガーを擁する新布陣による「新章」ということで、むしろ前作よりも GALNERYUS らしい持ち味が感じられて違和感なしという結果に。

それよりも、現在の我が国でトップ・クラスに位置すべき先進メタル・バンドが、いくら元ハードロッカーとはいえどう贔屓目に見ても「現役メタラー」とは言い難い人物をフロントに据えている・・・という事実のなんとも言えない居心地の悪さの方がよっぽど気になるというかなんというか・・・。出音が文句なく素晴らしいんで普段は何とも思わんけど、ふとした拍子についそんな「汚ッ惨メタラーの老害メタル視点」で視てしまう瞬間があるのも確かなんだよなぁ。

・・・と、今この時点では小野さんの歌声にゾッコンなので Syu (g) のギターまでイマイチ意識が届かないんだけど(苦笑)、YUHKI様 (Key) が #9 “Fall in the Dark” のソロで聴かせる「至上の Jens Johansson 愛」(笑) だけはしっかりと伝わった!www

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DIABULUS IN MUSICA 85
Secrets (2010)

スペインのシンフォニック・ゴシック/パワー・メタル・バンド DIABULUS IN MUSICA のデビュー・アルバム。

紅一点の歌姫 Zuberoa Aznárez 嬢 (ex-DRAGON LORD) による可憐さと気高さを兼備した柔和なソプラノ・ヴォイスが美麗に舞い踊る、ドラマティックなシンフォニック・メタル。

クラシカルな気品に憂う重厚なプログレッシヴ・シンフォ・ゴシックが EPICAAFTER FOREVER 的な風合いを見せたかと思うと、SIRENIADELAIN らにも通じるモダニズムすら漂うキャッチーなドライヴ感を弾ませる・・・という、よく言えば幅広い、悪く言えば節操のないスタイルながら、決してパンチのあるタイプではないが相当な上手さであることが容易に確信できる Zuberoa 嬢の魅惑の歌声がなぞる充実のメロディとコッテコテの展開美が、全体を統一した色味で彩っている。

なぜか終盤、#9 “Ishtar” に始まって #11 “Beyond Infinity” をピークに、デスヴォイスを伴いながら壮麗なシンフォ・ブラック・テイストを劇的に打ち出しているが、それがまた CRYSTAL ABYSSTVANGESTE (懐かしい!) らのロシア勢を想い起さたりして決して悪くない感じ。

METAL BLADE には珍しいタイプのバンドでスペインの新人にしてはオーケストレーションもエライ頑張ってるなーと思ったら、Sascha PaethMiro が関わってんのね。なるほど。

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METSATÖLL 88
Äio (2010)

「ちょっと通りますよ〜」なジャケが一度見たら脳裏から離れない(笑)、エストニア出身のフォーク・メタル・バンド METSATÖLL の4thアルバム。

2004年の1stフル “Hiiekoda” 以来の購入だが、本作からはなんとSpinefarmからのリリースということで当時のシッケシケな有り得んショボさはどこへやら、リズム隊を中心にしっかりとメタルな重量感を持ち合わせたサウンドへの進化にまず驚いた。(笑)

そんな大きな環境の変化があっても辺境色丸出しの土着フィーリングは嬉しいほどに健在で、低〜中音域で朗々と現地語(なのかな?)を綴る詠唱ヴォーカルとそれに伴走する「ヘ〜イ」「ヤァ〜」「ホ〜ィ」等のやる気があるのかないのかイマイチ掴み辛い合いの手、そして各メンバーがパートを分け合う笛などの民族楽器の音色が、究極に田舎クサい純朴さを創出している・・・が、それがなんともイイんだよねぇ。

TÝRHEIDEVOLK にも繋がる“セオリー不在”のプログレッシヴなオリジナリティを放射しながら、自らのフォーク・マインドを誰にも媚を売る事なく己の内面に向かって突き詰めて行くエスニックな姿勢は、ある意味トラッド・メタルが辿り着くべき理想のスタイルなのかも。

かといって自己満足的な閉鎖感は皆無だったり。ゲストの国立男性聖歌隊による漢汁を滴らす勇壮クワイアは意外な派手さを生んでいるし、前述のリズム隊の予期せぬ巧さも聴き手を揺らせること必至。特に終始ブンブンとボトムを響かすベーシスト Raivo “Kuriraivo” Piirsalu のプレイは、ペイガン/ヴァイキング系随一の心地好いグルーヴを発しまくり。

なんだか変なバンドだけど、妙にクセになるですよ、コレ。

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H.E.A.T 80
Freedom Rock (2010)

スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンド H.E.A.T の2ndアルバム。

80年代アメリカン産業ハードに北欧メタルの叙情味を絶妙に染み込ませた見事な出来のデビュー作、そしてその後のLOUDPARK公演で見せたナイスなショウでさらに期待が高まっていたが・・・それだけに、ちょっと肩透かし気味?

確かに路線もそのままだしサウンドの質もグッと向上してるんだけど、前作に満載されてたツボを突く哀感が溌剌とした爽快感の脇役に回ってしまった印象で、全体的に優等生的な小粒さが生まれてしまっている感じ。そのせいで、Eric Rivers & Dave Dalone の名ギター・チームが連発する好プレイも、もうあと少しでカタルシスに届かんとする惜しいところで「普通さ」に飲み込まれてしまっているような。

まぁそれでも、過度な期待を排して普通に接すれば、哀メロ炸裂な #11 “Cast Away” をはじめ佳曲が並ぶ好盤レベルだとは思えるけどね。 ただ、YouToubeで観た新曲(本作には未収録) “1000 Miles” がスゲーよかっただけに、そのクラスに達している楽曲が少ないのはやっぱりチョイと物足りない。

ちなみに、先日シンガーの Kenny Leckremo が健康上の理由で脱退したとのこと・・・。彼の声、好きだったんだけどなぁ。どうなっちゃうんだろ?

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OPTIMYSTICAL 71
Distant Encounters (2009)

スウェーデン人ギタリスト Robin Vagh によるメロディック・ハード・ロック・プロジェクト OPTIMYSTICAL のデビュー・アルバム。

MAJESTIC, POLE POSITION, REPTILIAN 等で活動していたシンガー Jonas Blum を2曲に、その他全曲に地元のロック・シンガー Ronnie Hagstedt を配して、北欧臭強めのメロディアスなハード・ロックをプレイしている。

手作り感溢れるマイナーなプロダクションや有り得ん程に地味なリズムの相当な野暮ったさが激しく気後れを誘う一方で(汗)、全体を包み込む FORTUNE, ALIEN, TALK OF THE TOWN らに通じる仄かな様式色を孕んだ「北欧哀愁メロハー」ど真ん中なアトモスフィアはピンポイントで高い殺傷力を発揮・・・という、まさに北欧メイニア泣かせな一枚。

どこか SHY 風味な叙情的キャッチーネスが光る #2 “Happen”DEEP PURPLE の名曲 “Burn” へのオマージュを込めた(←なんて好意的書き方www)王道ハード #8 “In Our World” など耳を惹く佳曲も少なくないが、全体的には「これ全部どこかのアルバムのボーナス・トラック?」的な淡白さが・・・。

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TREAT 90
Coup De Grace (2010)

80年代北欧メタル・ムーヴメントの一翼を担った名バンド TREAT が約18年の時を超えて放つ超待望の6thアルバムは、長いブランクの存在など微塵も感じられない、まるで「“Organized Crime” の数年後に順当にリリースされた傑作」とさえ思える素晴らしい出来。(Mats Levin を迎えた5th “Treat” も結構好きだけどね)

再結成を果たした2006年にリリースされたベスト盤 “Weapons of Choice 1984-2006″ に収録されていた2曲の新曲、“I Burn for You”, “Go!” の想像を越えた出来の良さにビビったことを昨日の事のように思い出すが、あれから4年もの月日を経てようやくここに届いた復活フルアルバム・・・いやはや、先の2曲が霞むほどに粒揃いの楽曲がぎっしりと詰め込まれた充実の内容に、とにかく驚くしかないですわ。

初代シンガー Robert Ernlund による初期同様の青臭さを保つと同時に円熟の旨みも得た懐かしい歌声が流れ出す楽曲は、新たなメロディ構築のコツを完全に掴んだかのように現代的な新鮮味を伴ったキャッチーな旋律美を連発。 往年と変わらず多彩なヴァラエティを含有する楽曲スタイルの中、やはり耳を強く捉える #2 “The War is Over”, #4 “Papertiger”, #5 “Roar”, #8 “Skies of Mongolia”, #10 “I’m Not Runnin’” らの作品の中核を成すマイナースケールの「カッコいい系」の曲はもちろん、全編で聴けるその垢抜けたフックに漂う過去のそれとは少々異なる肌触りが、かの名ソングライター Desmond Child の作品群との共通点を感じさせている点が興味深かったり。

そして俺的には TREAT と言えば、以前から勝手に「世界で数少ない Michael Schenker の正当な後継者の一人」と言い続けている Anders Wikstrom (g)。 年輪を重ねて色艶を増したギター・トーンで奏でられるエモーショナルな劇的ソロ・・・18年前と同様に、激しく悶絶でございます。 ヤベー、今のライヴがスゲー観たい!

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HOLYHELL 84
Holyhell (2009)

グラマーな体躯のアメリカン美女シンガー Maria Breon 嬢をフロントに立てる米ニューヨークのパワー・メタル・バンド HOLYHELL の1stフルレンス・アルバム。

2007年春に独ミュンヘンでショウを観た時に、ドラマーが元 MANOWARRhino さん (FORGOTTEN REALM, ANGELS OF BABYLON) で鍵盤も MANOWAR をサポートする Francisco Palomo、そしてMagic Circle Music所属・・・ってな先入観も手伝ってかなーり大味なアメリカン・メタルな印象を受けてたので、本作の随分と本格的な欧風シンフォニック・メタル風の仕上がりには大きく驚かされた。

いやよく聴けばやっぱり確かに大味なんだけど(汗)、Maria 嬢のパワフルに伸びる歌声が呼び込む米産バンドならではの骨太なキャッチーさと元レーベルメイト RHAPSODY OF FIRE 譲りのシンフォニックなエピック・テイストとを力技で撹拌した劇的サウンドは、意外にも(失礼!)惹かれる部分多し。

その一つとして外せないのが、ギタリスト Joe Stump の存在だ。 Joe Stump・・・そう、かつて“C級 Yngwie クローン”として名を馳せていた彼! いや〜人間ってものは成長するもので、以前の彼のプレイを支配していた「粗さ」を「エモーショナルなエネルギー」へと転化させた現在のプレイは、昔の悪印象を消し去る程にイイ感じ。 元々、プレイの方向性としてはコッテコテな本流ネオ=クラシカル志向だった人だけに、本作の随所で聴けるいわゆる“メロスピ的ピロピロ”とは一線を画す「まともなネオ=クラシカル・パート」は、ネオクラー的には非常に高ポイントです♪

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