STEPHAN FORTÉ 91
The Shadows Compendium (2011)

フレンチ・ネオ=クラシカル/プログレッシヴ・メタル・バンド ADAGIO を率いる技巧派ギタリスト Stephan Forté の初のソロ・アルバムは、シーン随一のテクニックを誇る 彼の超絶技巧を全編で炸裂させた渾身のインストゥルメンタル作。

ADAGIO の近作でも強調されているダーク&アグレッシヴなヘヴィ・エッジを基盤に、華麗な美しさを放つ気高いクラシカル・ムードで全編を包み込んだ本作の作風は、ADAGIO 初期からのファン的には Stephan の全てが詰め込まれていると確信できるほどに至福。やや難解気味にプログレスさせていく中に Marty Friedman 風味の東洋的アプローチを織り交ぜなる様が CACOPHONY の名を想わせたりも。

繊細に構築された美麗なアンサンブルの妙に唸り、変幻自在なメロディの高揚感に酔い痴れ、マジカルなタッチのスリルに拳を握る、ネオ=クラシカル・ギター・インストの新たな名盤と言い切ってしまいたい!

Jeff Loomis (NEVERMORE), Mattias IA Eklundh (FREAK KITCHEN), Glen Drover (MEGADETH), Derek Taylor, Daniele Gottardo ら凄腕ゲスト・ギタリスト陣の客演も聴きどころ。

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OZ 85
Burning Leather (2011)

北欧メタル黎明期にその名を馳せたフィンランド正統派メタラー OZ の、約20年ぶりの復活作となる通算6作目。

当時からその荒々しいマイナー臭さが“ダサメタル”的な扱いを余儀なくさせていたB級バンドだったが、初期に在籍したメンバー3名(vo, g, b)に新加入のギター・コンビを加えた新編成で今の時代に蘇らせた本作のサウンドは、当時のその「ダサさ」「マイナーさ」「パワフルだけど不安定なヴォーカル(笑)」というB級要素がいい具合にピュア・メタルの格好良さに転化された、なんとも心地好いものに。

本作は過去の楽曲の新録バージョンと新曲をほぼ半数ずつ並べた構成なんだけど、生まれ変わった過去曲、フレッシュな勢いに満ちた新曲のどちらも「今の OZ」のカラーに統一され、時代の隔て無く良質ピュア・メタルとして楽しめるのが凄い。

#1 “Dominator” がダサカッコよくて超燃えるわ!

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HELLHOUND 86
Let Metal Rule the World (2011)

我が国が誇るトゥルー・メタラー、地獄の番犬こと HELLHOUND の3rdアルバム。新たにベース・パートに Blackwind を迎えた新体制となっている。

ヘヴィ・メタルのヘヴィ・メタルたる部分をとことん追求した愛すべき“馬鹿メタル”っぷりは一切不変だけど、追求し過ぎてファニーささえ生まれていた前2作と比べて、今回は「ギリギリで踏み留まったシリアスさ」が強く感じられるマジさが印象的。

その象徴が3部構成の大作(つっても6分台だけどw) #8 “Legend of Warriors” の存在だろう。その MANOWAR 的ともいえる重厚な図太さはこれまでの彼らにはなかった感触だ。クレイジーな疾走曲を効果的に配しつつ、その #8 やタイトル・トラック #1 “Let Metal Rule the World” といった重心の低い曲でジワジワと攻めるその老獪な手口からは、前作リリース後に海外でのライヴを成功させた自信が漏れ出している。

実はワタクシも“The Choir Of Hell”の一員として全編でコーラスに参加してたりしますが(笑)、それによる贔屓目抜きにしても世界に誇れる素ン晴らしい国産アルバムになったと思うよん。

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ARCH / MATHEOS 88
Sympathetic Resonance (2011)

初期 FATES WARNING の神シンガー John Arch が、FATES WARNING 時代の盟友 Jim Matheos (g/OSI, ex-GORDIAN KNOT) と結成したプログレッシヴ・メタル・プロジェクト ARCH / MATHEOS でシーンに戻ってきたッ!ってだけで、もう俺歓喜ですよ。

流石に初期 FATES WARNING のスタイルに回帰とはいかないけど、彼の独特の歌いまわしと Jim の一筋縄ではいかない深遠なプログレッシヴ魂が結実した John の2003年リリースのEP “A Twist of Fate” の発展型と言えるサウンドは、聴く度に新たな発見が得られる濃密な喜びでいっぱい。ダークに浮遊する難解な鬱気が、John の歌う妖しくもメランコリックなメロディで紐解かれてゆく様はチョー快感ですわ。

主役2名の好プレイの脇を固めるリズム隊、Joey Vera (b/ARMORED SAINT, FATES WARNING) と Bobby Jarzombek (RIOT, HALFORD, SPASTIC INK, etc.) の活躍にも耳を奪われる。特に Bobby の怒涛の手足技には終始悶えされまくり!

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KRUX 89
III – He Who Sleeps Amongst the Stars (2011)

Leif Edling (b/CANDLEMASS) を中心に、Fredrik Åkesson (g/OPETH, ex-TALISMAN), Mats Levén (vo/ex-THERION, YNGWIE MALMSTEEN etc.) を要するメロディック・ドゥーム・メタル・バンド KRUX の約5年ぶりの3rdアルバム。

CANDLEMASS をはじめ MEMENTO MORI, ABSTRAKT ALGEBRA など Leif がこれまで関連してきたバンドと同系の、重苦しいヘヴィさを打ち出しながら整合性と構築美にも長けた聴きやすいサウンドは、本作でもバッチリ健在。

今回はキーボードに名手 Per Wiberg (SPIRITUAL BEGGARS, ex-OPETH) を迎え、大きくフィーチュアされた彼のオルガンの音色がプログレッシヴなレトロ感を運んできているのが印象的であると共に、Fredrik の強力な弾きまくりと Mats の歌いっぷりも前2作と比較にならぬほどの充実を見せ、それらが各楽曲に付与する攻撃的かつキャッチーなフックが狂おしく迫り来る最高傑作に仕上がっていると言えるだろう。

もうちょいザックリ言うと「ABSTRAKT ALGEBRA っぽさ強ぇ!」って感じで。“Shadowplay” 級の超名曲レベルはちょいと見当たらないけど…。(それは無理無理w)

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ANCIENT BARDS 90
Soulless Child (2011)

イタリア産エピック/シンフォニック・パワー・メタル・バンド ANCIENT BARDS の2ndアルバム。

XaMetal再興の息吹を強く感じさせた傑作デビュー作 “The Alliance of the King” から約1年半という決して長くはない期間に、彼らは更なる成長を遂げていた。劇的さを極める楽曲群が、オーケストレーションやクワイヤ等の装飾だけに頼ることなく骨格から鍛え直されていると共に、プレイ面でも各メンバーのスキルがググッと向上しているのがなんとも嬉しいじゃありませんか!

特に、紅一点の女性シンガー Sara Squadrani 嬢の技法的には高いレベルにありながら声質は素人っぽいという良質なアンバランスさ、そして前作では単なるピロピロに陥りがちだったリード・ギタリスト Claudio Pietronik に備わってきた思慮深い旨みは、本作に風格めいたものをもたらすほどに大きな魅力を放ち出している。

ついに肩パッドを装着しちゃった的なヴィジュアル面の痛さUPや、前作に続きファイナル・ファンタジー関連からカヴァー曲(#11 “The Skies Above”)を引っ張ってくるというそのセンスの「真・厨二病」っぷりにもゾクゾクされられますな〜。(惚)

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SHY 96
Shy (2011)

SHY は自分にとって特別なバンドだ。劇的なハードネスとキャッチーなポップ・フィールを英国らしい憂いで包み込んだ “Brave the Storm”(2nd:1985), “Excess All Areas”(3rd:1987) という2枚の名盤で実践されてた「究極の哀愁ハード路線」は、当時やってたバンドで目指していたスタイルそのものだったりして、その思い入れの強さはハンパないレベル。

その後、他の多くのバンド同様に「90年代の洗礼」を受けて迷走後に解散。1999年に再結成されるも、その後の作品は端々に過去の遺産を見つけてはそこを注視することでわずかな喜びを見出すという、自分の中では「終わったバンド」的な立ち位置に堕ちてしまっていたのだが・・・この7年ぶりの9thアルバムを聴いて我が耳を疑った。バンドの顔でもあった極上ハイトーン・シンガー Tony Mills (vo/TNT) が脱退し、Lee Small (PHENOMENA, SURVEILLANCE) なる輩をその後任に迎えたというどちらかと言うとあまり食指の動かないベクトルの情報と共に、何の期待感もなくプレイボタンを押してスピーカーから流れ出てきたのは・・・なんと、まさに往年の SHY の魅力を現代にアップデートさせたかの珠玉の哀愁ハードだったのだ。

近作で聴かせたマイルドな感触とは意を異にする重厚なブリティシュ・ハード色、そして新任シンガー Lee Small による Danny Vaughn (vo/TYKETTO) にも似たブルージー風味のエモーションを湛えたガッツィーな強力歌唱が、初期の SHY に漲っていた劇的な魅力を注入された極上の楽曲群と混ざり合う様は、これまでの Tony Mills の大きな功績を忘却の彼方に葬り去る勢いで(Tony、スマン…)己の「SHY 愛」を刺激する。#1 “Land of a Thousand Lies”, #2 “So Many Tears” という超強力な冒頭2曲に代表される、これまでになく壮麗なシンフォニックアレンジとメタリックな硬度を纏いながらもメロディアス・ハードのフィールドに生きてきたバンドらしいキャッチーな哀感を溢れさす一級品の哀愁ハード・チューンズは、思わず眉に皺が寄るメランコリックなマイナーキー攻撃の合間にふと見せる安堵の瞬間がMY琴線を揺さぶりまくる。

そして本作で特筆すべきはやはり、ブレイン Steve Harris (g) の構築美&様式美に満ちたギター・ワークの有り得ない充実だろう。病魔と戦う中で死力を振り絞ったかの彼の渾身のプレイは、過去作とは比較にならぬほど鬼気迫るエモーションを放っている・・・とか思ってたところに・・・ちょうど届いたのが・・・彼の訃報・・・。(涙)

・・・なんか、妙に納得してしまった。本作から感じ取ることのできるこれまでにない情念はやはり、自らに残された時間を知っていたからこその物なのだろう。そう考えると、悲しいが本作を今更ながらにセルフタイトルにした意図も見えてくる。がしかし、こうして自分が世を去った後も語り継がれる痕跡を遺せるのはミュージシャンの特権であり、Steve はそれを見事に全うした。もし俺にも死期を悟らなければならない時が訪れるのであれば、こういう作品を遺してこの世を去りたい。本作は、そこまで思わせる傑作だと思う。(しんみり)

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DRACONIAN 82
A Rose for the Apocalypse (2011)

スウェーデン産ゴシック・ドゥーム・メタル・バンド DRACONIAN の4thアルバム

重厚かつ壮麗な暗黒サウンドの根幹は変わらずも、女性シンガー Lisa Johansson 嬢のフィーチュア度を高め、さらには1stで聴かせていたメタリックな躍動ダイナミクスを強く発するパートも増やして、随分と聴きやすい音に挑戦してきた。

その反面、前作で感じた悲愴な絶望感の減退については、順当に下降方向にその延長線を描いている感じ。近年にない取っ付き易さを備えた #1 “The Drowning Age” が名曲らしいオーラに満たされる一方で、これまでのお家芸的とも言えた陰鬱スタイルの大作 #9 “The Death of Hours” あたりが、バンドらしさを湛えたクオリティはキープしつつもイマイチ「沈みきれてない」のがややもどかしい・・・。

あと、Seth Siro Anton (a.k.a. Spiros Antoniou: vo,b/SEPTIC FLESH) の手によるアートワークは非常に魅力的なんだけど、彼の作品って構図とか雰囲気とかけっこうワンパターンなので、これだけ採用作品が多くなってくると差別化に問題でてくるな・・・なーんてことも思ったり。

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RIOT 85
Immortal Soul (2011)

復帰した Tony Moore (vo) を含む “Thundersteel”“The Privilege of Power” 当時のメンツに Mike Flyntz (g) を加えたラインナップで制作された14thアルバム。

個人的には Tony Moore のハイトーンも彼の在籍していた時期の作品もちょっと苦手なので本作にもさほど興味を惹かれていなかったんだけど、蓋を開けてみたら安易に“Thundersteel パート2”に走ることなく本来の RIOT らしさを追求したかの意外な良さにびっくり。

掴みはバッチリの #1 “Riot” はじめスピード・チューンも決して少なくないんだけど、 Tony のハイトーンに生まれた経年変化による微妙なマイルドさとそれだからこその中庸メロディの連続が、図らずも全編に「永遠の中堅米産バンド」的な味わいを再臨させている印象なのだ。そして、ミドルテンポの曲が捨て曲と佳曲の狭間を行き来しながら、心地好い中弛み(苦笑)を呼び込む妙な魅力を発しているのも極めて初期的っしょ。

というように、むしろ「本来の RIOT らしさ」という意味では、90年代終盤以降の作品の中では本作が一番かも。彼らのスピード・メタル・サイドにおける「無理してる感」が全て払拭されているわけではないけど、アメリカン・メタル・バンド RIOT としての魅力がバランスよく楽しめる作品になっている。

ただ、Mark Reale (g) のプレイだけは何故かちょっと覇気が足りないような???

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