3月2003
CRADLE OF FILTH 93
Damnation and a Day (2003)

ブリティッシュ・オーケストラル・ヴァンパイア・ブラック・メタルの雄 CRADLE OF FILTH が、大手メジャー・レーベル Epic に籍を移しての 5th アルバム。

映画音楽・・・しかも力技や人海戦術で圧倒的なスケールを描いていた60~70年代のスペクタクル巨編のそれを想わせるキッチュなオーケストレーション&クワイアに包まれた、戦慄のエクストリーム・エンターテインメント・ミュージックはこれまでよりさらに研ぎ澄まされた印象で、全17曲77分に及ぶ4部構成のこの異形世界は、一度プレイボタンを押すと最後まで聴かずにはおれない魅力でいっぱい。

一聴して驚いたのが、重量感を大幅に増したギター・リフ&リズム隊の生む「ヘヴィ・メタル」なダイナミズムの激増っぷり。#4 “An Enemy Led the Tempest”, #6 “Better to Reign in Hell” に代表されるような、Martin Powell の奏でるシンセのプラスティックな冷徹さと Budapest Film Orchestra による生オケの有機的な響きが交錯する中、これまでになくヘヴィな音の塊が不穏にウネリまくる音像がとてつもなく刺激的。

もちろん Dani Filth の表現力も孤高の域まで達しようとしてるかのようで、絶叫、咆哮、ウィスパリングを複雑にスイッチさせながらクライマックスを描いてゆくその手法は「進化した KING DIAMOND」という信じ難いほどに神々しい比喩(笑)をしたくなるほどに素晴らしい。#10 “Presents from the Poison-Hearted” のAメロ部分での微妙な吐き捨て具合も新機軸で超エクスタシーだし。とにかく、堰を切って破裂するブラストと共に Dani がスクリーミングする瞬間、毎回背筋がゾクっとしちゃうってのはほんと凄いことやね。
あ、メロディック・スピード・メタル風味の判り易さを持った #3 “Hurt and Virtue” も特に好きな曲の一つ。

いやはや、文句なしでこれまでで一番好きッスわ。ただ、一音も逃さずに集中して聴きたい音像であるだけに、77分は・・・やっぱちょっと長い~。(^-^:)
 (Mar. 09, 2003)

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FAIRYLAND 76
Of Wars in Osyrhia (2003)

フランス産シンフォニック・メタル・バンド FANTASIA 改め FAIRYLAND のデビュー作。

バンド名そのもののファンタジックな世界観を見事に具現化した絢爛豪華なサウンド・スタイルは、現存するシンフォ・エピック・メトゥの中では間違いなく王者 RHAPSODY に最も肉薄する音像/クオリティを備えた上質極まりないもの。

イントロダクション #1 “And so Came the Storm” のいきなりのフルート攻撃の悶絶さに半笑いを誘われながら引き込まれる寓話世界は、これでもかと分厚くリフを形成するストリングス、その上で吹き鳴る笛の音、勇ましいクワイアが幾重にも織り込まれた超ドラマティックなもので、シンガーが 元 DARK MOORElisa C. Martin ということもあって、まんま RHAPSODY meets DARK MOOR な風合いだわコリャ。

ピロピロギターの絶妙なダメダメ具合や鍵盤ソロ・パートのスクウェア・トーンの色合いまでが見事に RHAPSODY 的なのには、もはや「愛」以外の何者でもない純粋なモノをヒシヒシと感じマス。(苦笑)

ただし・・・この大仰なシンフォ・メタルってば、終始壮麗に響き渡り過ぎてメリハリに欠けるのと、DARK MOOR ん時の持ち味を全く出し切れていない Elisa 嬢の歌うメロディが印象に残りにくいため、全体出来には非常に平坦な印象。奥まった定位のクワイアの音程感が驚くほどに希薄で、メロディのバック・エンドとして機能していないのも痛い。

#5 “Fight for Your King”, #8 “The Fellowship”, #11 “Of Wars in Osyrhia”, #12 “Guardian Stones” など、単体では決して出来の悪くない悶絶を誘う楽曲を一曲だけ取り出して聴けば「FAIRYLAND スゲーッ!」ってなるんだけど、一枚通して聴いて終わってみたら・・・何も残らない感じ。

ホントに質が高いだけに・・・そして期待が高かっただけに、落胆もデカかったッス。
 (Mar. 20, 2003)

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GALLOGLASS 85
Legends from Now and Nevermore (2003)

昨年発見して以来リリースを心待ちにしていたジャーマン・メロディック・メタル・バンド GALLOGLASS の期待のデビュー作 from LMP。

フルート/ヴァイオリン/チェロ/女声/クワイアが随所で悶絶なエピック風味を醸し出す XaMetalic な皮を被ってはいるものの、その骨格から感じ取れる感触は純正ジャーマン・メタルに極めて近い実直なもので、シンガー Carsten Frank の表現に長けた明快な歌唱が Olaf Hayer にやや似ていることもあってか Luca Turilli の 1st ソロ “King of the Nordic Twilight” あたりに通じる手触り。

幻想的に幕を開けるドラマティック疾走チューン #1 “Dragons Revenge” から歌と楽器群が一段となって印象的なメロディを疾走させる #2 “Ancient Times” という冒頭の疾走2連発、リード・ヴァイオリンの切なさが胸に迫るミドル・チューン #3 “A Wintertale”NOCTURNAL RITES を想起させる重量感に満ちた疾走を聴かせるタイトル・トラック #5 “Legends from Now and Nevermore”、頭打ち疾走がイヤでもへドバンを誘発する #7 “Eye to Eye”、フォークロアなアコースティック・チューン #9 “The Quest”、メランコリーの超速な疾走がラストを飾る #10 “The Last Stand”・・・と、疾走をカナリ多用しつつもしっかりと地に足を着けた Olaf Reitmeier の手による完成度の高いサウンドは、どの曲にもライヴで合唱を誘いそうな明快な歌メロが存在するのがイイわ。プロダクションの作りが細部に亘って非常に丁寧なのも、聴いてて気持ちイイー。

あえて難を言うならば、各人のプレイそのものは高い次元で安定こそしているものの、タッチやフィーリングというレベルではイマイチ面白みに欠けているんで、フレージングに込められた感情からエキサイトメントを得るという悦びが期待できない・・・ってことかな。実はこれって、オレ的には結構大きなウェイトを占めてたりするんだけど。(汗)

ちなみに、オフィシャル・サイトの本作のトラックリストのラストに「“The Assembly” (Bonus Track – Japan)」って曲の表記があるんだけど・・・果たして日本盤でるのかしらん?(謎)
 (Mar. 09, 2003)

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ILLNATH 89
Cast into Fields of Evil Pleasure (2003)

デンマークのメロディック・デス・メタル・バンド ILLNATH の 1st フル・レングス・アルバム。

正統ヘヴィ・メタル系メロディック・デスと激烈ブラストが炸裂するブラック・メタルとの丁度中間あたりに位置する非常に聴き易いスタイルで、Arter Meinild (key) の DIMMU BORGIR 的なキーボード遣いが呼び込むシンフォニックな美しさ、浮遊する女声の見事なアクセント、そして Peter Folk (g) の弾くメロメロな哀愁を撒き散らすソロイスト・タイプの悶絶ギターの激情の迸りに半端じゃなくグッと来ちゃうという、驚きの完成度。

シンガー Bjorn “Narrenschiff” Holter のスクリームからグロウルまで多彩な表現を駆使した見事なデス歌唱もなかなかの凄みで、時折見せる Dani Filth 的色合いが感じさせるシアトリカルな趣きが全体を CRADLE OF FILTH っぽさで包むこともしばしば。(モチいい意味でね。)

楽曲も実によく出来てて、特に #1 “Zetite”, #2 “Behind the Mirrors”, #3 “Cast into Fields of Evil Pleasure”(イントロが限りなく JUDAS PRIEST“Hellion”!/苦笑)という冒頭三曲は、もし CD 店の店頭で流れてたらメロディック・デス・メタル・ファンのほとんどは興味を示すんじゃないか?ってほどにマジで超強力。

プロダクションもカナリ良好だし演奏も安定しきってるしで、こりゃ今後に超注目の新星の登場ッスわ。

ちなみに、今回買ったのは2001年にリリースされた6曲入りデビュー MCD “Angelic Voices Calling” を封入した初回限定盤の2枚組バージョン。こっちも単なるオマケ以上の良さでシタ。(嬉)
 (Mar. 09, 2003)

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KAYAK 90
Merlin – Bard of the Unseen (2003)

オランダのプログレッシヴ・ロック・バンド KAYAK が、自らが81年にリリースした唯一のコンセプト・アルバムである名盤 “Merlin” を、22年の歳月を経て新たな見地/手法/技術で見事に再編!

アーサー王の宮廷魔導師マーリンに焦点を当てた Mary Stewart 著の小説 “The Crystal Cave” をモチーフにしたこの組曲、オリジナルではアナログA面の5曲のみという構成に留まっていたが、今回はそこにに新たなパートを書き足した全14曲70分というCDというフォーマットを生かしたヴォリュームで、いわばこれこそが「完全版」というスタンスだ。

30人編成の壮麗な生オーケストラと Cindy Oudshoorn 嬢の力強い女声パートを惜しげも無く乱舞させた新アレンジは、元々のテーマにぴったりのファンタジックな装いを加味することに大成功。

プログレッシヴ・ロックならではのスリリングな展開美/優雅な叙情美に加えて、KAYAK 持ち前のポップ・センスが煌く「歌もの」としての充実度も高くて、各曲ごとでも通してでも聴いててとにかく心地良いんだよなぁ。

今後当分の間は、「シンフォニック・ロックって?」って訊かれたら迷わずこのアルバムの名を挙げることケテーイ。(^^)
 (Mar. 09, 2003)

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MANDRAGORA SCREAM 84
A Whisper of Dew (2003)

美房の歌姫 Morgan Lacroix お姉タマをフィーチュアするイタリアン耽美派ゴシック・メタル・バンド MANDRAGORA SCREAM の 2nd アルバム。

本作では、前作で聴かれたエキセントリックな変態メタル色はその影を薄くし、幻想的なユーロ・ダーク=ウェーヴ・ポップな装いのマターリとした作風を前面に打ち出してきた。

とはいっても、可憐なエンジェリックなソプラノからどこか年輪すらを感じさせるシアトリカルな汚れ系歌唱まであまりにも老獪な表現力を駆使して周りの空気を完全に支配する Morgan Lacroix お姉タマの多彩な歌唱と、音楽的な面でのブレインであるギタリスト Terry Horn の弾く潤いのあるエモーショナルなギター・プレイ、そして要所で絶妙に響く弦楽が織り成すメロディックな暗黒音楽にはドゥーミーとさえ言えるヘヴィな質感はしっかりと残っていて、同じイタリア産のゴシック・メタルでも、LACUNA COIL がどこか希望的な陽光の輝きを感じさせるのに対して、この MANDRAGORA SCREAM が発散する絶望的な漆黒の狂気には些かの曇りもなく、この落ち着きが更なる深みを呼び込んでいるかのよう。

この「メロディックなんだけど微妙にアヴァンギャルド」な MANDRAGORA SCREAM 独特の感触、今回やっぱり癖になっちゃうかも。

そうそう、パワフルな叩きっぷりが耳を惹くドラマーの Mat Stancioiu、メッチャ男前やな~なんて思ってたら、なんと LABYRINTH のドラマーなのね。
 (Mar. 12, 2003)

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MOB RULES 84
Hollowed be Thy Name (2003)

ジャーマン・メロディック・メタル・バンド MOB RULES の 3rd アルバム。
謎センスなヘンテコ・ジャケ(笑)こそ相変わらずだが、その内容は前2作を継承した方向性でありつつそのクオリティを大幅にアップさせた「化け」を感じる充実っぷりで、本作で日本デビューってのも充分に納得の一枚。

正統派ヘヴィ・メタルに新世代シンフォニック・メタルの煌びやかさを適度にミックスした重厚かつドラマティックなサウンドは、ドラマー Arved Mannott の叩き出すしっかりと根を張った屋台骨が支える安定感、そしてハイ・クォリティな楽曲を構築するツインギター+キーボードのアンサンブルの妙が端々に噴出させているメランコリックな叙情がナイス。聴いててついつい悶絶するポイントが多いのが嬉しいんだよね。

確かにシンフォニック・メタルとしては少々地味な出で立ちかもしれないけど、オレはこの「落ち着き」が逆に心地良いッスわ。・・・って、ヲサーンだからか?(苦笑)

ただ、シンガー Klaus Dirks の微妙にヘナチョコ気味な声質(歌唱力/表現力は意外と高いと思う)は、好き嫌い分かれるかも。それでも、この男が歌うメロディのキャッチーさの質は EDGUY に通じる何かを感じ取れる魅力的なものであるのは確か。メンバー全員、ルックスは悲しいほどに EDGUY と共通点皆無だけど。(号泣)

あ、Roland GrapowPeavy Wagner がゲスト参加してマス。
 (Mar. 09, 2003)

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MOONSORROW 94
Kivenkantaja (2003)

凍てついた湖畔で鎖帷子に身を包み剣を掲げる5人の戦士・・・フィンランドの抒情派真性ヴァイキング・デス・メタル・バンド MOONSORROW の 3rd アルバム。

全ての楽曲の作曲とキーボード、リズムギター、マウスハープ、アコーディオン、クリーンヴォーカルなどマルチに担当する中心人物 Henri Urponpoika Sorvali は、FINNTROLL でキーボード&オーケストレーションを担う Trollhorn その人。

個人プレイは控えめに、バンドが一丸となって民謡クサいメロディをシンフォニックに綴るドラマティックな中世北欧世界はある意味 THERION 的な大仰さすら感じられる壮麗さで、前作 “Voimasta ja Kunniasta” はその質の高さに驚嘆しつつも全体になんだか平坦に聴こえてしまってイマイチ響いてこなかったんだけど、本作も6曲で53分という前作同様の大作指向にも関わらず、さらに緩急を増したその極上の叙情世界は一切冗長に感じることなく心を揺さぶるわ。

BAL-SAGOTH に迫る勢いでの大仰さが圧巻の #3 “Jumalten Kaupunki – Tuhatvuotinen Perinto (City of the Gods – Legacy of a Thousand Years)” に代表される、哀しき漢声クワイア全開の勇壮なる一大ヴァイキング絵巻に耽溺しつつ、その最後を飾る #6 “Matkan Lopussa (At the Journey’s End)” で、ゲストの Petra Lindberg 嬢(この声はきっと「嬢」でOKに違いない!/笑)の穢れ無きエンジェリック・ヴォイスが天空より舞い降りて全てを粛清する崇高なる清らかさの前には、「悶死」以外のリアクションは有り得ないッス!

全編フィンランド語(たぶん)だけど、歌詞カードに英訳ついてるので感情移入できるのも◎。
 (Mar. 12, 2003)

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NORTHER 87
The Mirror of Madness (2003)

フィンランドの悲愴系メロディック・デス・メタル・バンド NORTHER 待望の 2nd アルバム。

仄かなネオ=クラシカル・テイストとシンセによる適度なオーケストレーションに包まれたインスト陣のテクニカルな側面が映える「軽やか」とも言えるヘヴィ・メタルは、前作の随所で感じられた CHILDREN OF BODOM 風味を上手く消化した、風格すら漂うもの。そのサウンドがやや落ち着きを見せた結果、さらに際立つこととなった全編を覆い尽くす限りなく透明な冷ややかな悲愴感は、既にこの NORTHER 独特の個性としてこの耳に突き刺さってくる。

激情と冷徹さの両面を併せ持ったコンパクトな楽曲の主役は常に流れる悲しみに満ちたメロディそのものだが、そのメロディを実に見事に引き立たせているのがギタリストも兼ねる虚弱系ブロンド・シンガー Petri Lindroos の泣き系デス・スクリーム。ツーバスが16分で踏み鳴らされる程よい8ビートに乗って「♪イ゛ヤ゛ア゛ーーーーーーーッッッ!」と叫ばれる凍てつく氷原にこだまするが如きその刹那な絶叫は、デス・メタラーのみならず一般の小学生や主婦までもを虜にするほどに(笑)哀しみオーラを発散しまくり。

前作に収録されていた空前の名曲 “Victorious One”“Dream” というクラスの楽曲は今のところ見つかってないけど、冒頭から NORTHER 節全開の #1 “Blackhearted”、ピアノの調べに脳内物質が過剰に出まくりの #3 “Of Darkness and Light”、悶絶疾走が美味しい #4 “Midnight Walker” をはじめ全ての楽曲が平均的にハイ・レベル。

また、本作で顕著なのが鍵盤奏者 Tuomas Planman の踏ん張り。素晴らしいピアノの質感がドラマを盛り立てる前述の #3 “Of Darkness and Light” をはじめ、音色/アレンジ/プレイすべてに感じることができる良質のセンスが、このアルバムのグレードをグッと押し上げてる感じ。

ただ、その出来の良い鍵盤パートと対峙する Petri Lindroos 自身が弾くリード・ギター・パートについては、相変わらず少々線の細さが目立つかな。バトル部分にしても、剣と剣とが火花を散させながら命の鬩ぎ合いをしている・・・というよりは、フルーレを華麗に操ってフェンシングの勝負をしているような感じ。その情念の薄さは美旋律の妙で充分にカヴァーされてはいる・・・とは思うんだけれど、せっかくいいフレーズ弾いてるんだからもうちょっとエモーショナルだったらもっとイイのに・・・と、ついつい無い物ねだりしたくなっちゃうな。
 (Mar. 20, 2003)

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THE DUSKFALL 83
Frailty (2003)

メロディック・デス・メタル黎明期を支えた GATES OF ISHTARMikael Sandorf (g) を中心としたスウェディッシュ・デス・メタル・バンド THE DUSKFALL のデビュー作。

レーベルが Black Lotus だったんで二の足を踏んだけど(苦笑)、各所での好評に意を決してチャレンジしてみたら、これがナカナカいいじゃーん。

キーボード等の上物の装飾は最小限に、それ自体に旋律を織り込んでザクザクと刻まれる重量リフの妙とリズムの展開のみで緩急を形成する様は、まさに往年の北欧メロディック・デスそのもののソレ。

デス・メタル本来の暴力的な荒々しさの中でメロディがしっかりと息衝く潔い楽曲の姿からは GARDENIANWITHERING SURFACEなど(共に初期)のいい意味で「中堅の味わい満点」なバンド群を思い出させる、無意識にヘッドバンギング必至の好盤っすわ。

ソロ・パートになると唐突に切り込んでくるゲスト・ギタリストの Magnus Olsson が披露するネオ=クラシカルな激テク・プレイも、トーンがあまりにも均一で情感に欠ける嫌いはあるにも関わらず、ネオクラ者にとっては充分に美味しいオカズだしね。(^^)v
 (Mar. 12, 2003)

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THUNDER 82
Shooting at the Sun (2003)

期間限定再結成らしいブリティッシュ・ロック・バンド THUNDER の、海外では通販オンリーとのことらしい新作フル・アルバム。

THUNDER を、Danny Bows の煮え切らん哀愁声と Luke Morley の枯れたトーンの(といっても充分にハード・ロックなエッジに満ちた)泣きのローリング・ギターのコンビネーションが泣きを喚起する「メランコリックな哀愁ロック・バンド」として捉えてるオレとしては、本作にも #1 “Loser”, #6 “A Lover, Not a Friend”, #9 “The Man Inside” という素晴らしい泣きが堪能できる上質なチューンが3曲も入ってるってだけで全然 OK。

その他のドライだったりファンキーだったりする楽曲が聴いててやや退屈に感じちゃうってのが、特別な位置に置いてある “Behind Closed Doors”“Giving the Game Away” までの3枚とは全然違う感じ。これはただ単に、自分の嗜好が変化したせいであるだけかもしれないんだけれど・・・。
 (Mar. 09, 2003)

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TURQUOISE 83
Po Drugiej Stronie (2003)

セルフ・タイトルのデビュー作 “Turquoise” での、その透明感溢れるファンタジック・ワールドに一発でしてやられてしまったポーランド産シンフォニック・プログレッシヴ・ロック・バンド TURQUOISE 期待の 2nd アルバム。

イントロの #1 “Prolog” で鳴り響くパイプオルガンの荘厳な響きから一気に引き込まれる儚く淡い叙情世界は、アコースティックな音像中心ながら所々でエレクトリックな叙情ギターとプログレッシブなリズムがハード・ポンプなメリハリをつける前作譲りの逸品。メランコリックでありながら希望的なメロディと、牧歌的長閑さと力強い高揚感のバランスは、BLACKMORE’S NIGHT のそれに近いかな?

しかし!・・・残念ながら前作で「守ってあげたい系」エンジェリック・ソプラノ・ヴォイスを聴かせてくれていた純朴な女子大生系女性シンガー Katarzyna Jajko 嬢は脱退してしまっていて(泣)、本作には新に2人の女性シンガーと1人の男性シンガーという計3人のシンガーが参加してるんだけど、女性シンガー2人は彼女の穴を充分に埋める魅力的な歌唱を聴かせてくれてるんだけど、この男性シンガーは・・・正直「邪魔」ッスわ。(汗) せっかく楽曲が悶絶に進行してても、魅力に乏しい(はっきり言って下手クソな)男声が入ってきた瞬間、それまでの気持ちが萎えるっちゅーねん。他の部分が素晴らしいだけに、それだけが必要以上にメッチャ気になるし・・・残念だ。

といいつつも、これはこれで充分に楽しめる一枚なんだけどね。神盤だった前作とは比べちゃいかんわ、実際。ありゃ奇跡だったってことで。
 (Mar. 09, 2003)

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VANITAS 88
Der Schatten einer Existenz (2002)

オーストリア産6人組耽美派ゴシック=デス・メタラー VANITAS の 2nd アルバム。歌詞はドイツ語。

冒頭の #1 “Pendelschwung” の荘厳なパイプオルガンが鳴り響き始めてわずか7秒後、悶絶フォークロア風味全開のファンタジックな哀愁フルートが絡んできた瞬間・・・小生、アッという間に昇天してしまいまシタ。(苦笑)

シンセによるシンフォニックなストリングス、ピアノ、アコギ、そこにヴァイオリン/ヴィオラ/チェロの生弦楽チームが加わり、これでもかと耽美を垂れ流す叙情ゴシック=デスは「泣きのワンダーランド」状態(嬉)で、必要とあらば超絶な疾走すら惜しまないヘヴィ・メタル・フィーリングがしっかりと快活なダイナミズムを生んでいるのも非常に美味しい。

そのうえ、ディープな暗黒デス・グロウルをメインにウィスパリングも決める男性シンガー Andreas Scharfinger に絡む女性シンガー Maria Dorn タン24才(フルートも彼女がプレイ/萌)の歌声が儚げ系萌え萌えソプラノだっちゅーんだから、こりゃもう激ヤヴァっすわ。

前述の #1 “Pendelschwung” はもちろん、生楽器総動員でフォーキーに泣かせにかかる #4 “Schliesze mir die Augen”、弦楽3重奏による悶絶プレリュード #5 “Vor den Worten” を導入に持つドラマティック極まりないイントロで悶死必至の #6 “Das Wort sieht Blicke”、もはや XaMetal とすら呼べそうな程にパワー・メタリックな #8 “Stillschweigen”・・・と、とにかく全編を覆い尽くした悶々とした王道クラシカルな泣き攻撃の素晴らしさは伝説の激泣きメロディック・デス EMBRACED に迫る勢いで、所々で露わになるたどたどしさや垢抜け無さすら、それらがいい意味での東欧/辺境っぽさを醸し出すっていうプラス方向に作用しているに違いない・・・と錯覚させるほど。

マイナーそうなバンドだけど、カナーリ好みなんでなんとか生き残って次作も出して欲しいッス!
 (Mar. 22, 2003)

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