4月2003
BURNING POINT 84
Feeding the Flames (2003)

フィンランドの4人組ヘヴィ・メタル・バンド BURNING POINT 渾身の 2nd アルバム。
ネオ=クラシカル風味のツイン・リードが炸裂する激烈ヘドバン必至の疾走オープニング・チューン #1 “Into the Fire” の殺傷力は抜群で、この優れたツカミ一発で本作に対する印象はまずはメッチャ好印象。

ハイ・クオリティなプロダクションと安定した演奏で提供されるのは、堂々と熱唱する「歌える」ヴォーカルとテクニカルなギター・アレンジの妙がリードする中堅ジャーマン系メタルを想起させる実直な「ヘヴィ・メタル」。その地に足が着いた佇まいは、新興著しい欧州メロディック・スピード・メタル勢とは一線を画す堅実な空気感に包まれている。

とはいっても、味付け程度ながら必要な脇役として実に効果的に配置されたキーボードが付与するイイ感じの仄かな壮麗さも、彼らがその枠内でも十分に好意的に語られるだろう要因としてしっかりと存在しているってのが、コレまたイイところなんだけどね。

いい意味で往年の米国的なおおらかさを漂わせている楽曲の路線は、実は DREAM EVIL にけっこう近いかも。いや、かなり近いわ、うん、スゲー近い近い。

よーく聴くと、悶々とした叙情を振り撒く魅力的なギター・パートにちょっとだけ粗っぽさが目立つ部分があったり、前述した「中堅っぽさ」ならではの地味さ/突き抜けなさに物足りなさを感じるのもまた事実なんだけど、Graham Bonnet のカヴァー(我が家のご近所さん 西城 秀樹 も演ってた)#7 “Nightgames” が流れ出た瞬間、電車の中なのに無条件で両の拳を天に突き上げちゃうような RAINBOW マンセーなオレには(汗)十分に満足な好盤ッス。
 (Apr. 06, 2003)

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DEREK SHERINIAN 84
Black Utopia (2003)

DREAM THEATER のキーボード・プレーヤ Derek Sherinian の3枚目のソロ・アルバム。

Derek の他 Simon Phillips (dr), Tony Franklin (b), Jerry Goodman (violin) という垂涎必至なメンツによるベーシック・トラックの上で暴れるゲスト陣が、Yngwie Malmsteen, Al DiMeola, Zakk Wylde, Steve Lukather, Billy Sheehan(は当然ベース)という凄まじさ。

とにかく、我等が Yngwie が参加した #1 “The Fury” ~ #2 “The Sons of Anu” がマジで脱糞しそうになるほど素晴らしい。特に Al DiMeola が絡んでくるあたりは、悶絶しないでおけっていうのが無理なほどにスリリングだわ。
テクニカルながらアダルトな感触のハード・フュージョン色が支配しているアルバム全体の雰囲気からすると、この曲は異色のプログ・メタルな風味ではあるんだけど、失礼ながら興味の対象はこちら。Yngwie、他人の曲で弾く時ってナニゲにイイ仕事するんだよね。(笑)

以下に自分向け参加曲メモ。
1. The Fury / Yngwie Malmsteen
2. The Sons of Anu / Yngwie Malmsteen, Al DiMeola, Billy Sheehan
3. Nightmare Cinema / Zakk Wylde
4. Stony Days / Steve Lukather
5. StarCycle / Steve Lukather
6. Axis of Evil / Yngwie Malmsteen, Zakk Wylde, Billy Sheehan
7. Gypsy Moth / Al DiMeola
8. Sweet Lament / Steve Lukather
9. Black Utopia / Zakk Wylde, Billy Sheehan

 (Apr. 21, 2003)

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DGM 85
Hidden Place (2003)

イタリアン様式派プログレッシヴ・メタル・バンド DGM の美麗ジャケな 4th アルバム。

前作 “Dreamland” が超強力だっただけに否応にも期待が募るが・・・うーん、更なる飛躍を目指そうと色々手を広げた結果、チョイと焦点がボケ気味になっちゃった?(汗)

ヘヴィ but キャッチーなテクニカルな佇まいと堂々たる歌唱を雄々しく響かせる Titta Tani (vo) の Russell Allen 似の声質がもたらす「イタリアの SYMPHONY X」な印象は旧来通りに、本作は更に DREAM THEATER が表現している程度のコンテンポラリなロック~ジャズ/フュージョンな側面を大幅に強調した作風。

・・・なのはイイんだけど、そーゆーのって深い造詣があってこそ様になる部分だけに、やや懐の浅さが知れちゃってるのが残念。特にキーボード周りにそれが顕著で、その音像にしても線の細さが聴いてて非常にもどかしい。

それでもこの DGM に心酔してしまう理由は、イタリア No.1 ネオ=クラシカル・ギタリスト Diego Reali の存在! 本作でも、シングル・コイルのセクシーなトーンで奏でられるクラシカル+αな悶絶プレイのスリリングなエモーションには、顔が歪まされっぱなしだ。

そして Diego の影に隠れがちだけど、ベーシスト Andrea Arcangeli もカナリのセンスの良さを感じさせる(これが大事)相当なテクニシャン。ついつい耳がベース・ラインを追っちゃう感じね。

まぁアレコレ言いながらも、全体的にはより成熟した充実感が漂っているし、なによりフォロワー以上の魅力が感じられる好きなバンドには変わりないので、これからも楽しみにし続けるんだろうな。

ってゆーかぶっちゃけ、このイマジネーションの沸かないバンド名が、このバンドがイマイチ弾けない最大な要因のような気がしてるんだけど。(苦笑)
 (Apr. 24, 2003)

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DIE APOKALYPTISCHEN REITER 71
Have a Nice Trip (2003)

ドイツのごった煮系デス・メタル?(これが既に疑問/苦笑)バンド DIE APOKALYPTISCHEN REITER の 4th アルバム。

ブラストと濁声が炸裂するデス・メタルなヴァースから一転、コーラスでは哀愁の漢クワイアにメロディックな泣きのギターが絡むスケールの大きな #1 “Vier Reiter stehen bereit” を聴きその魅力に釣られて購入を決意したものの、いざ買って通して聴いてみたら事前に聞いてた「何がやりたいのか判らない変なバンド」というまさにその通りの変態的な内容に、わかっちゃいたけど思わず半笑いだわ。(苦笑)

デス/ブラック/スラッシュ・メタルを基本にしながら、シンフォニック・ロックやエレクトロ・ポップ、フォーク・メタルなど「なんでもアリ」なその世界は、デス・ヴォイスと共に歌われる軍歌を思わせる演説調のクリーンなドイツ語の巻き舌歌唱のやや滑稽な印象のせいか、シリアスなのに妙にフレンドリーな雰囲気。

ドイツのドメスティックなバンドって、ホントこういうバンド多いよなぁ・・・。J.B.O. とか ONKEL TOM とか IN EXTREMO とか GODDESS OF DESIRE とか・・・なーんとなく共通項を見出せるような。

全体を覆う SKYCLAD 的な朴訥なトラッド・メトゥ風味はカナリ美味しいかも。
 (Apr. 17, 2003)

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EVEREVE 74
.Enetics (2003)

ジャーマン・ゴシック・メタル・バンド EVEREVE の 5th アルバム。
98年の名盤 “Stormbirds” で骨っぽい漢っぽさと華麗な耽美色の奇跡の融合を見せて以来「超重要バンド」として My 大脳基底核にしっかりとその名がインプットされた EVEREVE だが、サイバーなエレクトロ・テイストを大幅に導入したスタイルに大きくシフト・チェンジした前作 “e-mania” の路線をさらに推し進めた感のある本作は、ピコピコと鳴るテクノなデジ物風味を増すと共に、メタリックなギター・リフもさらにヘヴィに音圧を増し、全体的にはより力強いタフさを手に入れた印象。

・・・が、前作では路線変更に戸惑いつつも、以前から引き継がれた美味しい部分に満足感を得ようと努力し、その結果そこそこ楽しむことが出来たんだけど・・・・本作ではそれもさすがにちょっとシンドくなってきたかも。(汗)

確かに、依然としてここには彼ららしい泣きのメロディやドラマティックな味わいも残っていて、彼らの本質は変わっていないと確信できるではあるんだけど、オレがこの EVEREVE の最大の魅力として捉えていた「ロマンティックなセンチメンタリズム」の質が、ここに来てちょっと変わってきたような気がするんだよね・・・。

静穏パートでは以前に迫る悶々としたシットリ感を表現できてるだけに歯痒さ69倍デス・・・。

 (Apr. 13, 2003)

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EVERGREY 87
Recreation Day (2003)

スウェーデンのプログレッシヴなメロディック・ダーク・メタル・バンド EVERGREY の 4th アルバム。

しっかりとメロディの輪郭を感じるパワー・メタル然としたベースでありながら、全編を覆い尽くす耽美ゴシック風味の沈痛とさえ言える陰鬱なダーク・フィールは、この EVERGREY 最大の魅力で、相変わらず残念ながら曲単位では決め手に欠けるものの(これがあるから毎回悶絶しながらも惜しくも満足度90%には届かない・・・)、このムードの心地良さが誘う満足感のおかげで毎回買っちゃうんだよな。

否応にも我が「ネオ=クラ耳」を捉えるシンガー兼任ギタリスト Tom S. EnglundHenrik Danhage のギター・チームによる Andy LaRocque (KING DIAMOND/本作では MIX を担当) を髣髴させる美しき構築力が冴えるテクニカルな悶絶ギター・ワーク、そしてその Tom の情念の漢歌唱が激情のメランコリーを描く重厚で壮麗なドラマティック・メタルは、恐るべき完成度を誇った前作 “In Search for Truth” に勝るとも劣らぬ充実を見せている。

心配だった SOILWORK に行ってしまった Sven Karlsson の穴は、後任となる新キーボーディスト Rikard Zander の大健闘によって全く問題なく・・・どころか、前作以上にフィーチュアされた鍵盤アレンジの妙がこの深みある精神世界の色彩を微妙に描き分ける様は、惚れ惚れするほど見事ッスわ。

スタイルは違うけど、音から伝わってくる「葛藤」は PAIN OF SALVATION に通じるものがあるね。いやー、良いバンドだなぁ。

 (Apr. 13, 2003)

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FINNTROLL 80
Visor om Slutet (2003)

フィンランドのドランケン・トロール・ポルカ・メタル・バンド FINNTROLL のアコースティック・ミニ・アルバム。収録曲は11曲だけど、ファンタジックな曲間 S.E. も数曲あるんで、トータル・タイムは33分弱となっている。

レギュラー・アルバムのテイストとして存在する民謡パートに焦点を当てた本作は、サウンドトラック風味のシンフォニーと土着系北欧フォークの哀愁が楽しめる、心に染みる一枚。ビョ~ォン、ビョビョ~ン、ビョ~ォン、ビョビョ~ンってな音色の楽器(コノ楽器、なんて名前なんだろ?)の味わいがイイんだよな。

ま、いくらアコースティック・アルバムとはいえ、FINNTROLL として聴いちゃうとポルカ爆発な疾走がないので物足りなくはあるけど。

裏ジャケには「This album is dedicated to our dear friend and bandmate Teemu “Somnium” Raimoranta 1977 – 2003」の記述が・・・・。R.I.P.

 (Apr. 21, 2003)

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FOR MY PAIN 86
Fallen (2003)

Travis Smith の手による美麗なアートワークが目を惹くこのアルバムは、元 ETERNAL TEARS OF SORROW の3人に NIGHTWISH, EMBRAZE, REFLECTION といったバンドのメンバーが合流した、フィンランド・ゴシック・メタルのビッグ・プロジェクト FOR MY PAIN のデビュー作。

キャッチーな歌メロが哀愁たっぷりに流れる快活な楽曲は、当サイトで言うところの「フィンランド系ノリノリ哀愁ゴシック・メタル」の典型的なスタイルだが、危険な香りを漂わせるシンガー Juha Kylmanen (REFLECTION) の甘くなり過ぎない色気たっぷりの漢歌唱に「ヌメヌメさ」が希薄なせいか、コレ系の中では「普通のハード・ロック度」がカナリ高め。

即ち、意外と地味だな・・・って第一印象を受けたというのも正直なところなんだけど、聴き進めるうちに Juha の声質自体のセクシーな魅力、Olli-Pekka Torro (g/ex-ETERNAL TEARS OF SORROW), Lauri Tuohimaa (g/EMBRAZE) のギター・チームの正統メタルな旋律美、確実に NIGHTWISH 風味なシンフォニックさを付与する Tuomas Holopainen による煌びやかに閃く壮麗なキーボード・ワーク、そして随所で響くゲスト女性シンガー Miriam ‘Sfinx’ Renvag 女王様 (RAM-ZET) の魅惑の女声が織り成す FOR MY PAIN ならではの味わいが染み渡ってきた。

中でも特に哀愁ドライヴィング・チューン #5 “Rapture of Lust”、そして切なさがこれでもかと爆発する #9 “Autumn Harmony” あたりはとっても素敵デス。

 (Apr. 21, 2003)

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GUS G. 53
Diginet Music Guitar Masters (2001)

David T. Chastain が作成した楽曲の上で、彼の門下生がギター・ソロを披露するプロモ・テイクを収録したレア・トラック集 from MP3.com の Gus G. バージョン。
他には、David T. Chastain, Joe Stump, Corbin King, Chris Hattingh, Dr. Frankenshred, Mark Shelton, John Hahn, Jim Reindel らが、同じ楽曲の上でそれぞれのソロを乗せたバージョンが存在する。
楽曲は、メタリックなだけで何の味気もない超退屈なもので、まぁ David T. Chastain らしさ爆発ってことだわな・・・って妙に納得。
そこに乗る Gus G. のソロ・ワークも、確かに今の片鱗を見せてはいるものの、若さにまかせたイマイチ味わいに欠けるもの。(収録時期は不明)
Gus G. の作品」ってだけでつい注文しちゃっけど・・・ま、資料的価値ってことで。
 (Apr. 23, 2003)

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INTESTINE BAALISM 80
Banquet in the Darkness (2003)

日本のメロディック・ブルータル・デス・メタル・バンド INTESTINE BAALISM の 2nd アルバムは、英国の Blackend Records からのリリース。

基盤となるのは、強硬なブラスト・ビートにゲボゲボ・デス・ヴォイスを載せた、キーボード類での装飾を拒んだ硬派なアーリー・スウェディッシュ・デスラッシュなスタイル。
そして、そこに大胆に導入されているのが ARCH ENEMY を思わせる激情タッチで展開されるギター・ハーモニーのメロディックな味わいで、そのメロウなヴィブラートを纏った流麗な叙情フレージングの悶絶感こそが INTESTINE BAALISM の最大の特徴であり魅力だろう。アドリヴ・ソロで少々弾けてない部分はあるけど・・・さ。(汗)

ギター・パートの充実にばかりに耳を捉えられてしまう事実が語るように、イマイチ楽曲の面白みに欠けていたり、下水道一歩手前なデス・ヴォイスの質が少々好みと違ったりはしつつも、こうして我が国から本場の連中と並べても一歩も引けを取らないレベルの作品を作り出せるバンドが登場したというのは、素直に嬉しいね。

アートワークのセンス/質へのこだわり方もナイスだし!

 (Apr. 16, 2003)

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JOEY TEMPEST 83
Joey Tempest (2003)

Joey Tempest が5年振りにリリースした3枚目のソロ・アルバム。

彼のソロ作はこれまでの2作が共にイマイチ響いて来なかったんで、この新作も少々敬遠気味だったんだけど、好評を聞いてチャレンジしてみたら意外にもコレがなかなか良くってビックリ。

路線的には BON JOVI の最新作 “Bounce” あたりが思い当たるかな?・・・っていうシンプルなメロディック・モダン・ロックなんだけど、欧州らしいデジ・ポップな装飾アリの躍動するリズムに乗って運ばれてくる北欧らしい朴訥な郷愁がもたらすメランコリーには、なんとも惹かれてしまうわ。#1 “Forgiven” から #5 “Superhuman” までの聴き応えある楽曲が揃った前半の流れは特に心地良いね。

なにより、EUROPE 当時とは歌唱法をカナリ変化させつつも、やっぱりその「声」自体の魅力は些かも色褪せてはいない Joey の「円熟」とも言える落ち着きのある歌唱が、マジ切なくこの胸に迫ってくるのがイイ感じ。

カントリー・サイドをドライヴしながら感傷に浸りたい時に最適な一枚をまたまた見つけちゃって喜んでる、そんな寂しがり屋な自分に酔ってる自分が大好きデス。(笑)

 (Apr. 13, 2003)

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KATATONIA 81
Viva Emptiness (2003)

スウェディッシュ・ゴシック・ロック・バンド KATATONIA の 6th アルバム。

マイルドなクリーン・ヴォイスが歌うメランコリックなメロディが絶望と哀しみを匂わすダーク・ウェーヴ色の強いゴス・ロックが、荒涼感たっぷりにアコースティック~ヘヴィ間を行き来するモノトーンな質感から漂ってくる香りは、OPETH と同類のもの。

ただ、ラウド&エクストリームな側面が必ずしもヘヴィ・メタル素地なそれではないのが、この高品質な作品に没入しようとする意欲に対してちょっとだけ障壁になっているような・・・。

それでも、全編を覆う精神を病んだかのような陰鬱な暗黒美の魅力は捨てがたい・・・ってゆーかカナリ好きな部類なんだけどなー。

 (Apr. 21, 2003)

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KHYMERA 83
Khymera (2003)

この KHYMERA は、プログ・メタル・オペラ大作 “GENIUS A ROCK OPERA Ep1: A Human into Dream’s World” を主宰した EMPTY TREMORDaniele Liverani が、そこで競演した KANSAS のシンガー Steve Walsh と意気投合して誕生させた新たなプロジェクト。

冒頭の壮大なオーバーチュア #1 “Khymera” こそ、この組み合わせから連想されるプログレッシヴな息吹きに包まれたものだが、全体としては A.O.R. 風味満点の歌物ハード・ロック・アルバムというのが本作の正体だ。

それも、前述のイントロダクション以外の楽曲は、MR. BIG が映画「Navy Seals」のサントラで披露済みの #2 “Strike Like Lightning”,#3 “Shadows”HARDLINE の超名曲 #11 “Love Leads the Way” をはじめとした幾つかの既発曲と本作用に用意された曲を含めて、全て Jim Peterik, Kip Winger, Reb Beach, Russ Ballard, Mark Spiro, Giorgio Moroder, David Foster らというあまりにも豪華すぎる外部ライターの手によるもの。

・・・といういかにも「企画盤」的なディテールだと少々食指が伸び辛くなるのが正直なところだけど、試してみたらこれが意外な程に統一感をもって聴き応えのある好盤じゃんか。既に良い曲であることがわかってる既発曲はもちろん、書き下ろしの楽曲もなかなかの出来で、Steve Walsh の老獪な味わいに満ちながらも溌剌とした旨味に溢れたハード・ポップ歌唱が見せる KANSAS での歌唱とは一味も二味も違った魅力が楽しめるのがなんとも美味しいもん。

Daniele Liverani 自身のエモーショナルなテクニカル・ギター・ワークを中心としたプログ・メトゥなアレンジを多くの楽曲で聴くことができる嬉しさも、本作を◎と感じる非常に大きなポイントだな、やっぱ。
 (Apr. 06, 2003)

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KRUX 86
Krux (2003)

やや安直気味な髑髏ジャケ(苦笑)を引っさげてデビューしたこの KRUX なるバンドの主は、スウェディッシュ・ドゥーム・マスター Leif Edling (b/ CANDLEMASS)。

他のメンツとして Jorgen Sandstrom (g/ ENTOMBED), Peter Stjarnvind (dr/ ENTOMBED) と共にシンガーとして現在 AT VANCE への加入が伝えられている Mats Leven の名が並んでいるとなると、どうしても伝説の名バンド ABSTRAKT ALGEBRA の存在が脳裏を過ぎるのだが、実際にその内容 —ドゥーミーに引き摺る暗黒反復リフに明快かつエモーショナルな実力派歌唱が乗る極上のフューネラル・ダーク・メタル— は、予想通り CANDLEMASS, MEMENTO MORI・・・そしてその ABSTRAKT ALGEBRA 直系という嬉しい路線だった!

CANDLEMASS, ABSTRAKT ALGEBRA での鍵盤奏者でもある Leif の盟友 Carl Westholm によるオルガンその他の鍵盤パートが与えるサイケデリックな近未来的浮遊感、そしてゲスト参加としてソロを担当する TALISMANFredrik AkessonTERRA FIRMANicko Elgstrand 両名による超テクニカルな叙情ギター・ソロが醸し出す雰囲気が非常に ABSTRAKT ALGEBRA 的なのが超◎ッス。

本作、言うまでもなくアノ名盤のレベルには到達してはいないんだけど(そりゃ無理だから/笑)、充分に「ABSTRAKT ALGEBRA 名義」でも納得できる内容ではあるんで、いっそのことそうしちゃってメイニアを狂喜させても良かったんじゃないの? 権利関係で名前使えなかったのかな?

 (Apr. 13, 2003)

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LULLACRY 87
Crucify My Heart (2003)

フィンランドのノリノリ哀愁ゴシック・メタル・バンド LULLACRY の 3rd アルバム。

・・・つっても既に(ってゆーか最初から)「ゴシック」って表現は超微妙で、そのヘヴィにドライヴするキャッチーな楽曲スタイルは、広義のロックン・ロールというのが適当かも。

前2作で歌っていた巨乳歌姫 Tanya 姐御 に代わってシンガーの座に着いた新たな巨乳歌姫は Tanja 嬢。名前も似てれば性悪そうな悪女キャラっぽいところも同系統。(S 視線がタマンナイんデス/勃)

その歌声も前任者に似た張りのある実にキュートなものなのだが、雰囲気だけではなく実は自らの歌唱をコントロールするテクニック的にも高いレベルにあるのがこの Tanja 嬢 の素晴らしいところ。

そして本作での最大の喜びは、これまでやや詰めの甘さを感じさせていたムード優先気味の楽曲が、その Tanja 嬢 の魅惑の歌唱に引っ張られるように俄然として輝きを見せ始めている点。

ヘヴィさとメタリックさを共に増した骨太ながらも切れ味の鋭さを感じさせるパワー・コードの上で踊る、よりメランコリックに進化したキャッチー極まりない哀愁メロディの数々は、聴いているとずっとそのまま聴き続けていたくなるような麻薬的な魅力アリ。

 (Apr. 21, 2003)

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MYSTIC PROPHECY 77
Regressus (2003)

ドイツを本拠とする多国籍パワー・メタル・バンド MYSTIC PROPHECY の 2nd アルバムは、ギタリストとして在籍する「Gus G. 効果」で国内盤としてリリース。
音圧の高いヘヴィ・リフが鳴る剛球型ヘヴィ・メタルの上で、Gus G. がネオ=クラシカル要素にペンタトニックをたっぷりと絡めた激情フレーズを DREAM EVIL でのコンパクトにまとまったアプローチに対する鬱憤を晴らすように(汗)弾きまくる様が微笑ましい。こうして聴くと、Uli Jon Roth っていうよりかは実はスッゴイ John Norum の影響を滲ませてるかも。
その Gus G. と同じギリシャ人であるシンガー R. D. LiapakisVALLEY’S EYE にも在籍)の意外にも旨味のある濃い目のパッションを噴出する熱唱が追うメロディ・ラインと硬質リフのアンサンブルが、ARMAGEDDON の 2nd っぽい感触を感じさせる事もしばしば。
シンプルで実直な楽曲にはそれなりの良さを見出せはするんだけど、そのヴォーカル・パートにコーラス・ハーモニーがほとんど聴かれない(オクターブ/ダブリングの処理はあるけど)など、アレンジの相当な淡白さには、やっぱり物足りなさを感じさせられるなぁ。
 (Apr. 23, 2003)

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NAGLFAR 89
Sheol (2003)

スウェディッシュ・メロディック・ブラック・メタル・バンド NAGLFAR 約5年振りの 3rd アルバム。

クリアな分離と音塊の壁の厚み両立させた極上のプロダクションで展開されるのは、安定しきった重厚なブラストの上で哀切なる叙情が織り込まれたそれ単体でカッコよさに満ちたリフが痙攣ヘドバンを誘いながら激しく疾走する、まさに「理想的」な北欧メロディック・ブラック。

凄まじい疾走感に満ちていながら激走するだけではなく良質のグルーヴすら滲ませるミディアム・テンポを絡めた緩急の妙の見事なサウンドは、安定感抜群の泣き系テクニカル・ギター&程よいシンフォニックな味付けによる美旋律の演出によって非常に耳ざわりの良い聴きやすさを実現しながら、ブラック・メタルならではの不穏な邪悪さを一切失っておらず、頂点近くに君臨する選ばれた者のみが持ち得る威風堂々たる風格すら感じさせている。

楽曲の出来も #1 “I am Vengeance”, #5 “Devoured by Naglfar”, #7 “Unleash Hell”, #8 “Force of Pandemonium” あたりを筆頭に押し並べて良いものが揃ってるが、中でも特に #2 “Black God Aftermath” は文句ナシの名曲!

何より、どの曲でも存分に堪能できるシンガー Jens Ryden の情念の深みと共に弾けるようなテンションの高さを誇るデス・ヴォイスが、ゾクゾクするほどカッコイイんだよね。
全ての面においてバランスの取れた、メロディック・ブラックの傑作。

 (Apr. 16, 2003)

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NOVEMBRE 82
Dreams D’Azur (2002)

イタリアン耽美デス・メタル・バンド NOVEMBRE が、’95年リリースの 1st アルバム “Wish I Could Dream It Again” を現在のメンバー&環境で再レコーディングした企画盤。

普段は企画盤ってイマイチ食指が伸びないんだけど、この NOVEMBRE が好きバンドでそのうえ今回のベースとなった 1st アルバムが一部では最高傑作と言われていながら実は未聴だったってことでチャレンジしてみたら、これがナカナカ悪くない。(^^)

濁声とクリーン・ヴォイスが交錯する、清閑に響くアコースティック・パートを織り交ぜた不条理系プログレ・デスが暗黒美に輝く様は、比較対象に OPETH を持ち出すのが順当な風合いで、OPETH 好きなオレとしてはニヤニヤしながら楽しめた。当然、全ての面で本家を超えてはいないけどね。(汗)

プレイ面でも非常に聴き所が多く、充実の手数足数が高揚を誘うスーパー・ドラマー Giuseppe Orlando、随所でフックを形成するフレットレス・ベースを響かせるゲスト参加の Fabio Fraschini らのナイス・プレイが運んでくる心地良い円熟味が、耽美なる内省世界に耽溺する上質な時間の提供に大きく寄与している感じ。

名作 “Classica” でネオ=クラシカルな超絶ギターソロを披露しながら、現時点での最新レギュラー・アルバム “Novembrine Waltz” には残念ながら不参加だったギタリスト Massimiliano Pagliuso が見事に復帰して再び素晴らしいギタープレイを聴かせてくれているのも嬉しい。

次の新規スタジオ・アルバムも、早く聴きたいな。いつ頃だ?

 (Apr. 16, 2003)

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OPETH 92
Damnation (2003)

昨年リリースされた 6th アルバム “Deliverance” と対を成す連作という位置付けとなる 7th アルバム。

「ヘヴィ・サイド」であった “Deliverance” に対して本作は「メロウ・サイド」であると予告されていたとおり、淡いアコースティックな浮遊感が支配する安堵感に包まれた作風で、Mikael Akerfeldt は一切のデス声を排除し、全編でクリーン・ヴォーカルを披露。

とはいえ、グルーヴィな変則リズムや旋律美の暗黒な装いなどの OPETH らしさが誘う「不条理なイラツキ」を、安堵感が主体の音像の中にしっかりと漂わせているのは流石の一言で、Mikael のエモーショナルを内に秘めた見事な静の歌唱と、実に丁寧にトーンと共に感情をコントロールする Peter Lindgren のギター・ワーク(#7 “Ending Credits” で号泣!)のアンサンブルが呼び込むプログレッシヴな儚い叙情は、メロウな味わいの本作でも従来通り見事にトリップを誘う。

背後で鳴り渡る Mellotron や Rhodes 等ヴィンテージ系キーボードの響きも、マジで即死モノの心地良さ。

FINNTROLL“Visor om Slutet” 同様に、これが OPETH のレギュラー・アルバムとすればヘヴィな混沌が存在しないという事実はチョー物足りないのだが、そんな不満はアーラ不思議、「“Deliverance” と併せて一つの作品」と考えればあっという間に解消だ。(苦笑)

てゆーかコレ、パンピー嬢との夜のドライヴ・デートにめっちゃ向いてるじゃん!?・・・すなわち最高ってことデス。

 (Apr. 21, 2003)

[Jan. 08, 2004 追記] ソロ・パートの多くは Peter Lindgren でなくて Mikael Akerfeldt が弾いてるらしいデス。

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POISONBLACK 83
Escapextasy (2003)

SENTENCED のシンガー Ville Laihiala(本作ではギタリスト) と CHARON のシンガー J.P. Leppaluoto が中心となるフィンランド産メランコリック・ゴシック・ハード POISONBLACK のデビュー作。
バンド名やジャケ/インナーから漂うエロティックないかがわしさと、慟哭を自在に操ってきた漢達の内に秘めた男気の強さが衝突する、非常にエモーショナルな音像から漂う退廃の香りは絶品。
ノリノリに哀愁ドライヴィングする場面でも、J.P. の鬱系ヴォイスのせいでグゥッとダウナーな気分を持続できるのがいい感じだわ。
ただ、いかんせん同時期に LULLACRY, FOR MY PAIN, TO/DIE/FOR そして H.I.M. と同系統のリリース・ラッシュが続いてるんで、どうしても印象が薄くなっちゃったのは残念だな。
ってゆーか Ville、ギターめっちゃ巧いやん!(驚)
 (Apr. 23, 2003)

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SEPTIC FLESH 82
Sumerian Daemons (2003)

ギリシャの耽美派ヴィジュアル系ゴシック=デス・メタル・バンドの 6th アルバム。

壮麗なシンフォニーとオペラティックなクワイアが激烈なブラック・メタルを包み込んだ退廃の邪教音楽は、尖り方こそ異なれど方法論としては CRADLE OF FILTH に近い手触りで、先鋭的なユーロ・ゴシックのビート感を導入するなどバタ臭さを全く感じさせずにベテランらしい整合感でまとめ上げた荘厳なサウンドは、超 A 級のクオリティ。

元メンバーの Natalie 嬢(現 CHAOSTAR)が復帰して聴かせる女声も良いアクセントだし、ラウドにロックするドラムも心地良い。

今のところ、楽曲そのものよりも全体のムードを楽しむ感じではあるけれどね。

 (Apr. 21, 2003)

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SKYFIRE 75
Mind Revolution (2003)

METALIUM かはたまた LOST HORIZON かというこの漢マインドをくすぐる鎧着用ジャケは、スウェディッシュ・キラキラ☆デス・メタル・バンド SKYFIRE の 2nd アルバム。

壮麗なシンフォニック・デス・メタルという持ち味はこの 2nd でも引き継がれているが、ゴージャス過ぎてソフトとすら感じた前作と比べると随分とシェイプ・アップされてソリッド&シャープになった印象で、クラシカルな単音フレーズの攻撃的な波は NORTHER の姿を思い起こさせてみたり。シンガー Henrik Wenngren の絶叫系デス・ヴォイスの迫力も数割増に迫ってきてるし。

そして特に顕著なのが、#6 “Shapes of Insanity” に代表されるようなプログレッシヴな側面の大幅な増加。快活なポンプ風味さえ感じさせる鮮やかな一面だけ聴いていると、まるで THRESHOLD のよう。(苦笑)

・・・と、それなりに魅力を感じつつも、シンセをも操るギター2人共々かなり弾けそうなタイプなのに、全編通してソロらしいソロ・パートが皆無なのが、極度のギター・ソロ・ヲタなオレ的には・・・華麗なテクニカル・ソロの乱舞が似合う曲調だけに辛さ69倍デス。
 (Apr. 24, 2003)

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SOILWORK 88
Figure Number Five (2003)

スウェーデンの尖鋭エクストリーム・メタル SOILWORK の 5th アルバムは、今後次々と「SOILWORK フォロワー」を生み出しそうな牽引者としてのエネルギーに満ちた力作。
硬質でありながら弾力の強さをも感じさせる怒涛のアグレッションとメロディックに浮遊するコーラス・パートの対比が生む落差が高揚感を運ぶ独特の透明感で包まれたサウンドは、その両面共に更に研ぎ澄まされた印象で、もはや「スマート&スタイリッシュ」な域にまで達する勢いだ。
P.V. でも競演した仲良し兄弟バンド(苦笑)IN FLAMES の現在の形とますます類似点を増しつつも(特に一部の曲のヴァース部分の雰囲気)、同時に Bjorn “Speed” Strid (vo) の表現方法や Sven Karlsson (key) による近未来チックな味付けなど独自の味わいを進化させているために、不思議なほど「同系統のバンド」という印象は薄い。
ただ、作を重ねる毎に Peter Wichers & Ola Frenning の凄腕親戚チームによる悶絶ギター・ソロ・パートの尺が減少していくのには正直寂しさを感じるけど、ソレと引き替えに得たモノの魅力の大きさによって辛うじて相殺されてる・・・と思い込むようにしてマス。(汗)
 (Apr. 23, 2003)

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STORMWIND 78
Rising Symphony (2003)

スウェーデンのクラシカル系ヘヴィ・メタル・バンド STORMWIND の 6th アルバム。
4th “Resurrection” あたりから品質を飛躍的に高めて来ながら、前作 “Reflections” のその引っ掛かりの少ない平坦な内容には非常にキビシーーーッ!((c)財津一郎)ってな感じで愕然とさせられてしまったが、そのこともあってほとんど期待していなかった本作からその無念さを払拭できそうなナカナカの充実度を感じ取れたのは嬉しい限り。
何といっても、前作ではただ節をなぞっているだけに聴こえた Thomas Vikstrom の歌唱から本来の「北欧屈指の実力派」としての気概がビンビンと迫ってくるのが◎。歌われているメロディも決して悪くないものだし。

リーダーである極真ギタリスト Thomas Wolf の粗めのプレイ(汗)も、今回は無理な早弾きをやや抑え目にした結果、激ウマではないけどそこそこエモーショナルに弾ける感じに上手く録れてるなぁ。

心配された名手 Patrick Johansson (dr) 脱退の穴も、手数とパワー・グルーヴが同居するという同じタイプである後任 David Wallin のナイス・プレイでほぼカヴァーすることに成功している感じ。

楽曲のヴァラエティが裏目に出た統一感の無さや、それら個々の楽曲自体の面白味は相変わらず「ホドホド」って感じだけど、聴いてて自然に身体を揺らしながら充分に楽しめるアルバムだと思ったッス。
 (Apr. 23, 2003)

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THALARION 83
Tunes of Despondency (2002)

スロヴァキアの男女ツイン・ヴォーカルを擁する耽美派ゴシック・メタル・バンド THALARION の 4th アルバム。

正統的なメタル・アプローチにいかにも東欧(先入観69%/汗)な辺境叙情美を絡めた美醜系ゴシック・メタルの王道一直線な印象の楽曲は、優美さを演出する壮麗なシンフォニック・アレンジ、強靭なリズムの上でギターとベースが歩調を合わせてランニングする IRON MAIDEN 風味のメタライゼーション、ブラストが爆裂するブラック・メタル的な凶性、そして陰鬱なドゥーミーな味わいなどの要素が様々な表情を見せる、まさに「暗黒系のデパート」な佇まい。

確かに、スタイル的になんら新鮮味はないし、B 級バンドならではの突き抜けないもどかしさを感じさせる何かが存在しているのも事実だけど、全編に漂う耽美な憂いとその一因である Nela Horvathova 嬢 の歌唱が発散する魅力は、それらを補って余りあるものだ。

ただ・・・前作から本作までの期間の右上がりの成長曲線の勾配が、素晴らしいインパクトを与えてくれた前作を聴いた時点で勝手に想像していた角度にはちょいと及んでなくて残念・・・って思っちゃったってのも正直なところかな。

とはいっても、この系統のバンド群の中においてこの THALARION は明らかに「重要バンド」として認知しちゃったので、今後の作品もフォローすることは確実ッス。
 (Apr. 17, 2003)

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THALARION 85
Four Elements Mysterium (2000)

スロヴァキアのデス=ゴシック・メタル・バンド THALARION が2000年にリリースした 3nd アルバム。当時から好評を聞きながらも買い逃していたのをやっとこさ GET。

東欧美女 Nela Horvathova 嬢の儚系なエンジェリック・ヴォイスと鍵盤兼任の男性シンガー Juraj Grezdo の表情豊かなデス・ヴォイスが絡むのは、シンフォニック耽美ゴシック・メタルの王道まっしぐらな骨格に正統メタル的ギター・ワーク、メロディック・ブラックの邪悪な疾走感、そしてドゥーミーでサイケデリックな BLACK SABBATH 的 70’s ヘヴィ・ロックの風合いがプログレッシヴに交錯するなんとも魅力的な濃密世界。

ヘヴィに迫りながらも常にアトモスフェリックな浮遊感を纏った楽曲が終始メランコリーを紡ぎ続ける様がもたらす暗黒美に満ちた泣き具合は、この手のゴシック・メタルとしてはカナリ My 好みに近いもので、本作を気にしつつも3年近く放ったらかしにしといたという事実には、穴があったら入れたい・・・あ、間違えた(笑)・・・穴があったら入りたいと思わせる恥ずかしさでいっぱいだ。

一聴しただけでは即効力のあるキメ曲が見つからなかったり、シンセの音色をはじめとするプロダクションの端々にややチープな感触を滲ませていたりという難点も理解したうえで、通して聴いた全体の雰囲気から得られる満足度は十分に高いわ。

あ~、2002年リリースの最新作 “Tunes of Despodency” も早いとこ GET せネヴァ。
 (Apr. 06, 2003)

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THE GATHERING 85
Souvenirs (2003)

ゴシック=デス・メタルバンドとして生を受けながらも、現在ではエレクトロなトリップ・ポップを生業とするダッチ・バンド THE GATHERING の 7th アルバム。

“How to Messure a Planet?” から一気にその傾倒っぷりを加速させたアヴァンギャルドな内省世界が、本作で呼び戻された彼らが本来持ち合わせていた耽美性と見事に結実。その結果、本作はこのスタイルとして進化を続けてきた現在の THE GATHERING 的には「これが完成形なのでは?」と思わせる凛々しさを感じさせる充実作になってるんじゃない?これ。

近作同様に反復ノイズが跋扈するユーロ・エレ・ポップはとうとうメタル色ほとんどゼロの様相を呈していながら、陰鬱な狂気を孕みつつもそれを大きく包み込む穏やかな和みフィーリングがとにかく絶品で、そこに備わった淡く仄かなメランコリーの妙から得られる満足感は、ココ数作では最高レベルかも。

Anneke van Giersbergen 嬢の、清楚なんだけど悪事も一通りこなしてきたかのようなあざとさ/したたかさが顔を出す艶々ヴォイスって、やっぱ魅力的ッスわ。

深夜の酒の肴、ドライヴのお供、そのどちらにも似合う雰囲気抜群の好盤。
 (Apr. 12, 2003)

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TO/DIE/FOR 90
Jaded (2003)

フィンランドのロマンティック哀愁ゴシック・メタル・バンド TO/DIE/FOR 待望の 3rd アルバム。

ハードにノリノリなメランコリック・ゴシックって基本スタイルはコレまでの延長線上ながら、色気プンプンの歌声を聴かせるシンガー Jarno ‘Jape’ Peratalo が歌うこれまで以上にキャッチーな充実を見せるメロディの哀愁度、テクニシャン Joonas Koto が惜しげもなく繰り出すネオ=クラシカルな悶絶アルペジオ&ヘヴィ・リフとプログラミングからプロデュースまで担当するバンドの頭脳 Tonmi Lillman のラウドなメタル・ドラミングが醸し出すヘヴィ・メタル素地のパワー感、そしてシーケンシャルなデジ装飾の冷たい華やかさと女声/ヴァイオリンが齎す悶々とした耽美の香り・・・など、彼等が持ってる全ての要素をグワッ!とパワー・アップさせたようなダイナミックな音作りはインパクト絶大だ。

楽曲の出来が押し並べてベース・アップされているのも大きなトピック。狂ったようにヘッドバングを誘われるドライヴィング・チューン #7 “Forever” をはじめ、どの曲も独自のフックに溢れたそれぞれの色彩を感じるもので、全9曲 – 39分38秒間、一切ダレることなく彼等の世界に耽溺することができる逸品。

いや~、こうなってくるとマジでライヴが観たいな・・・。

 (Apr. 12, 2003)

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WIZARD 81
Odin (2003)

スウェディッシュ馬鹿メタル(褒めてマス/笑)バンド WIZARD の 5th アルバム。
Piet Sielck をプロデューサーに迎え、北欧神話における戦いの神そして万物の父であるオーディンを題材としたコンセプト・アルバムに仕上げた本作も、「Kill!」とか「Hail!」叫びどころ満載の、初期 BRIND GUARDIAN の闇雲な疾走感に MANOWAR の雄々しさを備えたトゥルー・メトゥど真中。

シンガー Sven D’Anna が広いレンジに亘って堂々としたふくよかな歌唱(程よい甘さも◎)を響かせるガシャガシャと疾走する勇壮な漢メタルは、否応にもシンガロングを誘うキャッチーなメロディと豊かなギター・ハーモニーが前作比で大幅に増加。

それによって楽曲のフックもイイ感じに増えて聴きやすくなったと同時に、馬鹿馬鹿しさ(苦笑)は少々減少気味で、逆にジャーマン系メタルの明快な安っぽさがいい意味でも悪い意味でも上昇したような。

とはいえ、オープニングの #1 “The Prophecy” の冒頭、熱き疾走に先立っての「♪Where is Iduna」っつーあまりにも雄々し過ぎるコーラスからググッと惹き込まれる熱さ満点のサウンドには、メタル魂の敏感な部分をついつい刺激されてまうわ。

ま、味わいの濃さに比べてそのサウンド自体の素性は実はシンプルなので、濃厚な食事に慣れちゃった My 感覚器官が「飽きちゃった宣言」を発するのも早そうな気はするんだけど・・・。(汗)
 (Apr. 06, 2003)

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