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BESEECH | 67 |
| Drama (2004) |
1998年のデビュー・アルバム “…from a Bleeding Heart” を歴代の耽美ゴシック・アルバム群の頂点近くに位置する超神盤として崇め奉ってしまっているオレ的には、このスウェディッシュ・ゴシック・メタル・バンド BESEECH は、作を重ねる毎にその魅力を確実に減退させていようともどうしても贔屓目に見てしまうし実際新作が出る度に買い続けていたけど・・・この 4th アルバムに至ってやっとこさ諦めがついたかなって感じ。
耽美さを醸し出すピアノの響きを身に纏ったメタル・リフが骨太にドライブする楽曲のロマンチックな出で立ちや前作から加入した男声シンガー Erik Molarin のそのアイ・ライン同様のエロ声からは「BESEECH らしさ」の面影が未だに感じられてはいるし(#1 “Drama”, #7 “Come on in” は顕著かな)、ダークなグルーヴが気だるく拡散する細部のアレンジにこだわったクオリティの高いサウンドは、思い入れ云々を差し引いて考えれば決して悪いものではないんだけど、BESEECH が提供してくれるはずだった物に対する満足度としては・・・こんな感じだな。
女声シンガー Lotta Hoglin ちゃんの歌声にイマイチ魅力が希薄なのも惜しまれるが、#4 “Forever Falling”, #8 “Friend Emptiness” らで得られるアトモスフェリックなトリップ感が新たな魅力として見つけられたのは、ちょっとだけ得した気分かも。
(Feb. 03, 2004)
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CHALICE | 86 |
| Augmented (2003) |
南半球オーストラリアのゴシック・メタル・バンド CHALICE の 3rd アルバム。
退廃系ゴシック美少女 Shiralee Morgan タンの可憐な萌え歌唱と女性笛奏者 Alana Probert 嬢の悶絶フルート&リコーダーを主軸に、王道っぽい北欧系耽美ゴシック・メタルを展開してきたこの CHALICE だが、前作までで感じられていたやや類型的な作風からの脱却を実感させる本作の前進っぷりは非常に喜ばしい限り。
そのキーワードは「プログレッシヴな深みの増加」。パワフルにハーモニーを絡めるメタル・リフのアンサンブルとツーバスを惜しげも無く連打するドラムの質感がヘヴィ・メタルであることを主張しつつも、決してアグレッシヴにならずにこのサウンドの隙間を埋める静閑なプログレッシヴな空気と親和してゆく様子がなんとも心地良いんだよね。
正直、前作の弱点だったややチープげな音色はさほど改善されてはいない印象だが、Shiralee タンのソプラノとそのちょい手前の微妙な漂い加減が魅力的な歌唱がフルート、ピアノ、アコギと溶け合い、「クラシカル」とは一味違う耽美を生み出しながら OPETH から陰鬱さを抜いたようなややライトな深遠具合と喩えられる楽曲の中で安穏と不穏を行き来するその「隙間感」に焦点が当たった本作の作風では、この音色ならではの「辺境メタル」な感触すら味方と思えてくるから不思議なものだ。
アコースティックな泣きのバラード #6 “Static”、そしてそれに続く15分の大作となった終曲 #7 “A Semblance of Sanity” のなんとも言えない荒涼たる美しさは絶品ですわ。
決して派手ではないけど、リズムの揺れ一つにプレーヤの息吹を感じ、それに同調したこの身が淡々としかしジワジワと盛り上がってゆく感触が味わえるアーティスティックな好盤。
(Feb. 13, 2004)
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CRYONIC TEMPLE | 83 |
| Blood, Guts & Glory (2004) |
スウェーデンの熱きトゥルー・メタル・バンド CRYONIC TEMPLE の 2nd アルバム。
そのアート・ワークとアルバム・タイトルから容易に想像がつくとおりの「メタル馬鹿一直線」なピュア・メタルの中に燃え盛っているのは、メタラーである事の誇りと喜びを噛み締めながら同胞達と共に拳を振り上げ、歌い、ヘッドバングしまくりたい欲求に駆られること必至の熱きメタル魂。
なんら奇を衒わぬ装いながら、ガッツィーな漢クサさにシンガー Glen Metal(ってなんちゅー恥ずかしい芸名ぢゃ!/笑)の微妙なヘヴォさをも味方につけた(汗)堂々と胸を張る歌唱による取っ付き易い歌メロを乗せたキチンとメロディックと呼べる欧州メタルからまず想起させられるのは、HAMMERFALL、そしてレーベルの紹介文にもある GRIM REAPER という名前だ。
この手のバンドにしては決して不器用ではなく、#4 “Swords and Diamonds” のような非常にキャッチーな中庸ナンバーからシンコペーションが疾走感を増幅させる #5 “Thunder and Lightning” のようなスピード・チューンまで、意外と幅広く持ち駒を所持している印象を感じさせる点も魅力の一つだな。
まぁ、一通りメタル魂を湧き立たせた後でふと素に戻って冷静に考えちゃうと、楽曲もプレイも「ほどほど」でさして面白みも無いんだけど(苦笑)、こーゆーのはほら、思い込みが肝心だからさ。(^o^;)
そんな素の状態でも、ハイライト・チューン #9 “The Midas Touch (Samurai) -The Quest Pt III-” での♪Samurai! Samurai! のコーラスだけは、聴いた瞬間に超奮い立たされるし!
(Feb. 28, 2004)
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DIONYSUS | 92 |
| Anima Mundi (2004) |
2002年に奇跡の復活を果たし北欧メタル・ファンを悶絶なる激震で包み込んだ Johnny Ohlin を擁する、スウェディッシュ・メロディック・メタル・バンド DIONYSUS 待望の 2nd アルバム。
デビュー作 “Sign of Truth” で顕著だった NATION 譲りの往年の北欧メタル・テイストはやや控えめに、堅実なヨーロピアン疾走メタルっぷりを増加させたパワフルなバンド・サウンドになったかな?・・・というのが最初一回り聴いた印象だったが、なにがなにが、Johnny Ohlin 自身の手による #4 “Heart is Crying”, #06 “What”(作詞の Isaac Isaacsson のクレジットからすると NATION 時代の楽曲?)はもちろん、メイン・ソングライターである Ronny Milianowicz (dr) の楽曲をも彩る一聴して Johnny 独特のテイストだと判る微妙に陰陽を彷徨う移調展開の妙は、しっかりと期待以上の満足感を運んできてくれるぢゃないですか。(嬉)
とにかく、本作でも冴え渡る Johnny Ohlin のクラシカル・ギター・プレイってば・・・本当ツボに入り過ぎだわ。ムラ皆無のフィンガリング&ピッキング・テクと抜群のタイム感を武器にしつつも決して機械的にならないそのプレイから溢れ出る色気と潤いは、マジたまらんッス。
言わずもがなの強力な構築センスも相変わらずで、それだけで見事に起承転結を描くソロ・パートはもちろん、何気ない小技が豊富に埋め込まれた一音の気の緩みもないバッキング・パートだけでも充分に死ねるほどに最強だしね。
かといって、そんな凄まじいギター・プレイだけに頼ってはいないってのがこの DIONYSUS の強みでもあって、コンパクトにまとまったキャッチーなメロディを伸びやかに歌い上げながら #5 “March for Freedom” では MANOWAR 風味の歌いっぷりをも聴かせるシンガー Olaf Hayer の貢献も非常にデカいデス。
でもやっぱり Johnny Ohlin 最強。
(Feb. 03, 2004)
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DREAMAKER | 80 |
| Human Device (2004) |
「スペインの秘宝」DARK MOOR から離脱した Elisa C. Martin (vo) らを中心に結成されたのがこの DREAMAKER。ん~・・・まんま DARK MOOR デス。(苦笑)
まぁ、楽曲の造りは本家よりは幾分(ホンのちょっとだけ)普遍的なヘヴィ・メタルっぽさの高いストレートなものになってるし、ギター・リフが強く押し出されたストロングな音像であるんだけど、前作までの DARK MOOR を構成する2つの大きなキーだった Elisa のヴォーカルと Roberto P. Camus (key) のキーボードの存在が・・・ってゆーか彼らを含めて元メンバーが4人もいれば、そんなに大きくは変わらんわな、普通。(笑)
そんな感じに DARK MOOR の主だった魅力を引き継いだサウンド・スタイルだし、Arise とサイン~日本盤リリースという事実が物語るクオリティの高さも文句無いものではあるんだけど・・・聴いててやっぱり、天才 Enrik Garcia が齎してた独特のクラシカルな構成美の悶々とした空気が恋しくなるんだよね。。。
メロウな味わいと共に哀愁が畳み掛ける #7 “Forever in Your Arms” をはじめとする好みと言える曲は決して少なくないし、実際なかなか惹かれるものがあってリピートを誘われてはいるんだけど、全体的に何らかのマジックが欠如してる・・・というか、まるで DARK MOOR のアウト・テイクであるかのような物足りなさを感じてしまうのもまた事実。
ってゆーかね、 Elisa タン、高音もさらに伸びるようになってるし段違いに安定感が生まれてきたのはイイんだけど、語尾毎に音程をなだらかに下げて行く唱法が気にし出したら、スゲー気になっちゃって気になっちゃって・・・夜も眠れんわ!(嘘)
(Feb. 28, 2004)
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EDGUY | 80 |
| King of Fools (2004) |
2004年3月にリリースされる 6th アルバム “Hellfire Club” からのファースト・リーダー・トラックをフィーチュアした先行5曲入り MCD。
タイトル・トラック “King of Fools” は、いかにも最近の EDGUY 度満点のキャッチーなミドル・テンポの楽曲。プチ・デジな装飾と切れの良いヘヴィなリフが冴える垢抜けたサウンドからは、「パワー・メタルの旗手である若手」から「貫禄ある中堅」への移行がかなり進んだ印象を受けるんではあるけど・・・「曲」として見た場合には、彼らにしては「並」レベルの曲かな?って感じ。
その他4曲のアルバム未収録曲も天才シンガー Tobias Sammet の自信に満ちた歌いっぷりが頼もしくもどことなくファニーな EDGUY 印なもの。ここに来てさらなる成長の著しさが目立つナイス・ガイ Felix Bohnke (dr) の見事なドラミングに耳を奪われつつも、正直それほど印象的な楽曲は見当たらなかったな。
とはいえ、“King of Fools” の魅力的な音像からして、フル・アルバムへの期待を裏切るものでは全くなかったけどね。
(Feb. 06, 2004)
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EVIL MASQUERADE | 86 |
| Welcome to the Show (2004) |
元 ROYAL HUNT のシンガー Henrik Brockmann と MOAHNI MOAHNA~ZOOL~WUTHERING HEIGHTS のギタリスト Henrik Flyman という「2人の Henrik」を中心とした、デンマーク産シアトリカル・クラシカル・メタル・バンド EVIL MASQUERADE のデビュー・アルバム。
とにかく、これまで D.C.Cooper 登場のインパクトの影に葬り去られてしまった感のあった Henrik Brockmann の歌唱の旨味を再認識させられたのが一番の収穫かも。「10年のブランク」という文字列が運んでくる「ロートル感」を微塵も感じさせないその歌唱は、経た年月が齎したタフさを身に付けて ROYAL HUNT 時代よりも一層上達した印象で、こうして改めて聴くと実に魅力的なシンガーだわさ。
そんな Henrik Brockmann の幅の広がった歌唱が映える楽曲も、冒頭の #1 “Intro (Ride of the Valkyries/Grand Opening)” での Wagner の “Walkurenritt(ワルキューレの騎行)” を始めとするクラシックの名曲の引用を「節操なく」という表現が適当なほどに(苦笑)大量に全編に散りばめたドラマティックな欧州メタル・サウンドは、「クラシカル」というキーワードに反応しちゃうメイニアにとっては垂涎モノの佇まい。
特に、ゲストの Richard Andersson と Andre Andersen が豪華な鍵盤対決を聴かせる #3 “The Wind will Rise”、Beethoven の “Symphonie Nr.5 c-moll op.67(運命)” の一節から劇的にスタートするこれまたゲスト・キーボーディストの Mats Olausson の活躍が嬉しい #5 “Surprises in the Dark”、同じく Beethoven の “Symphony No.9(交響曲第9番「喜びの歌」)” を中間部に採り入れた #7 “Children of the Light”、そして見世物小屋的なグロテスクな軽快感(って上手く表現できないな/汗)もあるバンド名を冠した入魂の #11 “Evil Masquerade” らの疾走チューンの殺傷力はカナリのものだ。
全体的にどことなく突き抜け感に乏しい地味さが漂っていたり、ボーナス・トラック #12 “Kimigayo wa Chiyoni” は明らかに日本ウケ狙いでチョイと興醒めだったりするけど、ここまでクラシカル欲を満たさせてもらって楽しませてくれれば全然 OK ッスわ。
あ、Dennis Buhl (dr/ SINPHONIA)、ナニゲにスゲー!!
(Feb. 22, 2004)
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HATESPHERE | 87 |
| Something Old, Something New, Something Borrowed and Something Black (2003) |
デンマーク産強力メロディック・デスラッシャー HATESPHERE の、新曲1曲とカヴァー2曲、そしてライヴを4曲収録した全7曲入りの企画 MCD。
爆発するリズム、切れ味良いザクザク・リフ、そして「流麗」という言葉がピッタリのメロディックなテクニカル・ソロ・・・というメロディック・デスラッシュ・バンドの必須用件を高次元で備えためっちゃイイバンドだわ。
特に、シンガー Jacob Bredahl のハイ・テンションな獣声は非常に説得力のあるもので、絶叫&グロウルはもちろん、メロディを追う時のキャッチーなダミ声が実に魅力的なのがイイ感じ。
で、本作の聴きどころはと言えば、やっぱ OZZY OSBOURNE の #2 “Bark At the Moon”、ANTHRAX の #3 “Caught in a Mosh” という2曲のカヴァーっしょ。どちらも原曲の特徴的な部分を美味くアレンジした好カヴァーなんだけど、特に前者はデフォルメされた緩急が超刺激的!
いやはや、いつか出るだろう 3rd アルバムが楽しみで仕方ないッスな。
(Feb. 06, 2004)
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KNIGHT AREA | 84 |
| The Sun Also Rises (2004) |
オランダから登場したシンフォニック・プログレの新鋭 KNIGHT AREA のデビュー作。
鍵盤、ドラムその他の多くの楽器をこなすマルチ・プレーヤ Gerben Klazinga を中心とした11人の大所帯で描くのは、ある少年が時空を越えて自身のアイデンティティを模索する冒険的なストーリー/コンセプト。
通販サイトの売り文句で KAYAK, CAMEL, PENDRAGON, GENESIS, ANYONE’S DAUGHTER, COLLAGE あたりが引き合いに出されていたんで速攻 GET したんだけど、到着して聴いてビックリ。GENESIS の寓話的な空気感、CAMEL の大人びた泣き、そして PENDRAGON のポンプな牧歌風味を KAYAK のキャッチーさで仕上げたかのような、まさにそれらのバンドの魅力的な部分がぎっしりと詰まったドリーミングなサウンドだわコリャ。(驚)
ポンプ・ロックの洗練された穏やかな叙情にドラマチックな泣きを絡めた、中世と現代がミックスされて幻想的に揺れるサウンドは、デビュー作にして既に大物感が溢れ出る凄まじいまでの完成度だ。
穏やかな空気が支配しつつもハードさも充分で、ポリシンセの響きが ASIA あたりの80’s産業プログレを想起させる #3 “Conspiracy”、メランコリックなメロディが Mikael Erlandsson っぽくもある #4 “Forever Now”、哀愁メロディック・ハードと評しても問題ない程にキャッチーな #6 “Conviction” などは、メタル欲もしっかりと満足させてくれる。
リード・ギタリスト Peter Van Heijningen の泣きっぷりもイイ感じだし。(^^)
(Feb. 15, 2004)
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MOSTLY AUTUMN | 85 |
| Passengers (2003) |
英国の男女ツイン・ヴォーカルを擁する7人組シンフォニック・プログレッシヴ・ロック・バンド MOSTLY AUTUMN の 5th アルバム。
伝統的なルネッサンス系シンフォ・プログレと開放的な近代ネオ=ポンプなアレンジとを併せ持った垢抜けたアンサンブルが奏でる、英国のバンドならではの柔らかな田園描写とエネルギッシュでダイナミックなロックが融合した楽曲が震わすなだらかな空気は、このアルコールを帯びきった細胞の中に静かにしかし確実に入り込んでくるですわ。
ケルティックともいえるフォークロア風味を持ちながら、中後期 GENESIS や現在の PINK FLOYD にも通じる浮遊しつつも芯のあるポピュラリティ溢れるキャッチーなロックの魅力は本作でさらに研ぎ澄まされたかのようで、ハード・エッジな曲での BLACKMORE’S NIGHT っぽさも健在。まぁ、#5 “Caught in a Fold” でのあからさまな “Sixteenth Century Greensleeves” っぽさは少々やり過ぎって気がしなくもないけど。(苦笑)
ってかね、オレの心の叫びが届いたのか、麗しき歌姫 Heather Findlay オネイタマの柔和さの中に力強さを秘めた萌え歌唱のフューチュア度がコレまでになく高いのが本作の一番のポイントだったり。(^-^;
そんな風に今回多くの場面でその出番を Heather タンに譲った気配のある男性シンガー Bryan Josh だけど、ギター・プレーヤとしては相変わらず David Gilmour か Andrew Latimer かってな「空間漂い系」の泣きのナイスなギター・プレイを披露しまくってマス。
ちなみに、Heather タンは AYREON の次作 “The Human Equation” に参加ッス♪
(Feb. 15, 2004)
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OPETH | 88 |
| Lamentations – Live at Shepherd’s Bush Empire 2003 (2004) |
2003年の初頭にロンドンは Shepherd’s Bush Empire で行われたショウの模様を収めた DVD。
アコースティック作 “Damnation” 全曲(+ “Harvest”)の前半と、近作からのヘヴィな5曲という後半に分けられた2部構成のショウが楽しめる。
“Damnation” の再現は、穏やかな中にダークさを滲ませながら極上のトリップを誘いつつも、正直アルコール抜きで観てると中盤以降ややダレてくるんだけど、ヘヴィな #10 “Master’s Apprentice” 以降に画面内で繰り広げられる様子は「鬼!」以外の何者でもない。
死の咆哮とジェントルなメロウ歌唱をこともなげにスイッチしつつ悶絶極まりないギター・ワークも完璧な天才 Mikael Akerfeldt (vo,g)、それを息の合ったコンビネーションで見事にサポートする Peter Lindgren (g)、常に左右に激しくヘッドバングしながら蜘蛛のように指板に指を這わせる Martin Mendez (b)、手数もグルーヴもマジで神レベルの Martin Lopez (dr)、そしてサウンドに深遠さを付加する Per Wiberg (key)・・・んもーね、あまりの凄さに口をアングリと開けて画面に釘付けになるのみッス。
“Deliverance” & “Damnation” のレコーディングの様子のドキュメンタリーも収録。
(Feb. 16, 2004)
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ORION RIDERS | 91 |
| A New Dawn (2004) |
イタリアはシチリア島出身のシンフォニック・メタル・バンド ORION RIDERS の衝撃のデビューアルバム。
全編を ANGRA に通じる優美な多彩さで覆いつつ、 SYMPHOMY X のネオ=クラシカル・ベースのプログレッシヴ風味と THERION の厳粛な荘厳さで調理した結果、DARK MOOR に一番近くなっちゃった・・・ってなワケのワカンナイ喩えが頭に浮かんだ本作の最大の魅力は、悠久の歴史を描くかの豊穣なセンスに支えられたロマンティックなオーケストラル・アレンジの翼を羽ばたかせて疾走する実に魅力的な楽曲の、決して類型的には成り得ない独特の展開美。
その緩急に満ちたドラマティック極まりない楽曲進行に翻弄される心地良さには悶絶必至で、ガーッと盛り上がった頂点で拳を突き上げた瞬間、一気にガクッと突き落とされた奈落の底に広がるたおやかな叙情のゆらめきが、耽美派ユーロ・ロック的な悶々としつつも落ち着いた泣きムードに包まれている・・・ってのが、っとにもータマンナイったらありゃしない。
そんな展開の妙が盛り立てるメロディも秀逸で、Tobias Sammet のエネルギーと Andre Matos のしなやかさを兼ね備えた逸材シンガー Joe Lombardo が歌う、時に「ジャパメタ的」とさえ思える程の明快な哀愁メロディは、プログレッシヴな楽曲に見事にキャッチーな味わいを付加させている。
リズム・パートを中心に線の細さを感じたり(そこがまたいい意味での“ANGRA らしさ”を醸し出しているんだけどね)、そこそこ頑張りつつも所々で弾ききれていないギター・パートがあったりして、センスが極上なだけにそれにテクニックを追いつかすのは難しいのかな?と感じる場面も正直あるけど、決して破綻することは無いし充分と言えば充分過ぎるほどに上出来なプレイではあるかもね。曲/アレンジの出来が非常に高いレベルにあるんで、ついつい贅沢になっちゃうだけでさ。(苦笑)
とにかく、この新人らしからぬA級レベルの構築センスは、驚き以外の何者でもないッスわ。Great!
(Feb. 26, 2004)
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PAIN OF SALVATION | 88 |
| 12:5 (2004) |
スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンド PAIN OF SALVATION が、2003年5月12日にスウェーデン南西部に位置する街 Eskilstuna で行ったアンプラグド・ショウの模様を収録した、アコースティック・ライヴ・アルバム。
一旦分解された既発曲に新たに書かれたパートを練りこみつつ新たなアレンジで再構成された楽曲が並ぶ3部構成のショウの、リラックスしたアダルトな穏やかさと張り詰めたダークな緊張感が分毎に主役を奪いあう一夜を覆い尽くした極限のエモーションは、この銀盤からもしっかりと漂い出し、アルコールと共に静かにこの身に染み込んでくるね。
Daniel Gildenlow による驚きの表現力に支えられたジェントルな歌唱と、それと対峙する繊細に組みあげられたコーラス、そして、その魂のこもった人声の威力を更に盛り立てる音圧に頼らないことでよりダイレクトに生命の響きを伝える各アコースティック楽器の超絶技巧が織り成す心地良い安堵とスリルの交錯が、「テクニカル・ロック」の醍醐味を存分に伝える実に芸術的な輝きに包まれているのが、PAIN OF SALVATION の支持者であることの自尊心を満足させる。
確かに、彼等のオリジナル・アルバムを聴き込んで原曲を熟知している大ファンが、その別ヴァリエーションとしてスペシャルな一夜の様子を楽しむ・・・ってな熱心なファン向けのアルバムだと思うし、その大ファンであるオレにしても「やっぱり凄かった!」と身震いしつつ「早く本チャンのアルバムでもっと凄いのを聴きたい!」という OPETH の “Damnation” を聴いた時に通じるある種の物足りなさが芽生えちゃうのも事実だけど、やっぱこの彼等独特の陰のある知的な雰囲気ってのには、無条件でクラクラ来ちゃいマス。
どーしたって至高のバンドなんですわ、この PAIN OF SALVATION ってのは。(^^)
(Feb. 22, 2004)
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RIVENDELL | 66 |
| Elven Tears (2003) |
オーストリアの Falagar なるマルチ・プレーヤの、一人フォーク・ブラック・メタル・プロジェクト RIVENDELL の 2nd アルバム。
「裂け谷」の英名であるそのバンド名、そして CD 裏面のトラック・リストに並ぶ #2 “The Song of Eldamar”, #4 “Mithrandir”, #5 “The Fall of Finrod”, #8 “Luthien” らの「モロに指輪系」なタイトルに惹かれ、Napalm というレーベルにも後押しされて購入してしまったが・・・結論からすると、まぁボチボチってとこかな。
印象としては、外国の史実アニメの BGM(「サウンド・トラック」ってほどぢゃないので/苦笑)みたい・・・ってゆーか、ショボくなった SUMMONING とも言えるかも。
指輪モノなのに妙にエスニック&アラビアンな風味が感じられるのはご愛嬌として、アコギやフルートが有機的にしっとりと鳴るフォーキーなパートの、とりあえず中つ国の情景が目に浮かぶような悶々とした民謡色はそれなりに美味しい。
が、ミディアム・テンポ主体の抑揚の少ないメタル・パートが面白みに欠けるというこの手のフォーク・ブラックなバンドにありがちな難点が、この RIVENDELL にも襲い掛かっている。潰れ系デス・ヴォイスとノーマル・ヴォイスで歌われるヴォーカル・パートが非常にお座成りなのもイマイチ。。。
(Feb. 13, 2004)
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SHINING FURY | 77 |
| Last Sunrise (2004) |
Legendary XaMetalest Album として崇め奉られる ATHENA の “Twilight of Days” のレコーディング・メンバーである Francesco Neretti (vo), Ross Lukather (dr) 両名を擁する、イタリアン・メロディック・スピード・メタル・バンド SHINING FURY のデビュー・アルバム。
パワー感のある超速なる疾走に乗せて Francesco がアノ女々しい系のか細くも旨味のある XaMetalic ヴォイスで XaMetalic なメロディを歌い上げるメロスピ一直線なサウンドではあるんだけど、ヒネリの少ない展開とベールの向こう側の奥まった場所でこもった音色で鳴るエッジに欠けるギター・プレイに代表される各プレーヤ自身の魅力の乏しさのせいで、非常に地味な音像になってしまっている。
フルバージョンの痴話喧嘩(笑)から始まる、サックスのアダルトな響きも新鮮なバラード #7 “Memories” や、意外にも違和感の無いまさかの TOTO のカヴァー #11 “Rosanna” らから得られるいい意味で欧州風味の希薄なワールドワイドな雰囲気は、この SHINING FURY の今後に確実に何らかの希望を抱かせてはくれるんだけどね。
うーん、決して悪くないんだけど(実際、最初の一回聴いた時はカナリ悶絶した)、その輝かしい前歴と大手 Metal Blade からリリースという合せ技に、並々ならぬ期待をしてしまったのがいけなかったのかな・・・。
(Feb. 15, 2004)
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TNT | 80 |
| My Religion (2004) |
ノルウェイジャン・メロディック・ハード・ロック・バンド TNT の 8th アルバム。
再結成後の二枚のアルバムは、出来としては充分に上質と言える部類に入る作品ではあったものの、かつての透明感溢れる「クラシカル」とも言える北欧テイストに魅せられていた身としては非常に厳しい内容だった・・・が、本作はその2作とは明らかに異なる、「全盛期のスタイルに接近しようとする意欲」が感じられる一枚だ。
とは言っても、全曲で満足を得られるというわけではなく、エンディング・ソロでのフェード・アウトに激しく欲求不満を覚えつつもそのポップな躍動感が確実に往年のテイストを感じさせる #1 “Lonely Nights”、甘酸っぱいメロディに耳を奪われそうになる #3 “You’ll be There”、哀感が美しく浮遊するバラード #9 “Perfectly”、Tony Harnell が奥方 Amy Anderson と共に亡くなった彼女の母親に捧げた #13 “Song 4 Dianne” らの一部の楽曲の充実が全体の印象を持ち上げてる感じではあるんだけど。
それでも、Tony Harnell の唯一無二のハイ・トーン・ヴォイスは楽曲のスタイルを超えてやっぱ魅力的に響き渡るし、ギター・ウィザード Ronni Le Tekro のその年輪が更なる強靭なエモーションもたらしたマシンガン・ピッキングと独特の豊かさを持ったハーモニー・センスも、「やっぱ TNT はこうだよな~」ってな説得力がアリアリ。
ま、現時点での彼等が、実年齢ならではの経験とソレが生んだプライドと嗜好を持って、「TNT として求められてるスタイル」を再現しようとした結果としては、充分に許容できる範囲の悪くない仕上がりだと思いマス。
正直、完全復活とは程遠いし今後も初期の輝きを取り戻すのは690%有り得ないと思うけど、この調子で活動を続けてアルバム何枚かに1~2曲でも魅力的な曲を収録してくれれば、オレ的には御の字デスわ。
ってゆーか、Diesel Dahl (dr) は超 Van Zan@Reign of Fire(邦題:サラマンダー)タイプ。(笑)
(Feb. 22, 2004)
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TOC | 85 |
| Loss Angeles (2004) |
初期の CHILDREN OF BODOM スタイルのデス・メトゥはどこへやら、すっかりヴァラエティに溢れたフレキシブルなメロディック・メタルを聴かせるバンドとなったフィンランドの THRONE OF CHAOS の 3rd アルバム・・・なのだが、本作からどうやらバンド名を TOC と正式に改名したっぽい。
ニュー・シンガー Tuomas Nieminen の意外にも実力派なメロディック歌唱を中心に、プログレッシヴだったり、時にはメロハー的ですらあったり、それでいて Tuomas 自身によるデス・ヴォイスをフィーチュアした元来のメロディック・デス・メタル風味も忘そうで忘れない・・・という一筋縄では行かないサウンドだけど、全編に漂ういい意味でレトロなハード・ロック感覚とキャッチーな雰囲気、そして本作から顔を出し始めたゴシック風味が、しっかりと妙な統一感を生んでいるのが凄いわ。
何をも恐れない潔さを感じさせるアレンジの洗練され具合から迸る、懐が深いとゆーか地に足のついた安定感の心地良さがリピートを誘う楽曲はどれも完成度が高いが、感動的ですらあるゴシカルなバラード #9 “Bite the Bullet”、星の数ほど数あるだろうカヴァーの中で文句なく上位に入るだろう出来の #10 “Smoke on the Water”、そして笑えるほどに真っ当なメロディック・スピード・メタルなボーナス・トラック #11 “Los Angeles, Los Angeles” らが特に印象的だな。
でも、何がこの TOC の一番の魅力かと言えば、ヴィジュアル・イメージも含め全てをシニカルにパロっちゃう斜に構えた精神性と、それを高いレベルで「音」に具現化することのできるスキルの高さだね。
(Feb. 22, 2004)
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UFO | 75 |
| You are Here (2004) |
かつてのネオ=クラシカル四天王(って、いつまでこの表現使い続けるんだろ?/笑)の中でも最も好みのプレーヤである Vinnie Moore の最新音源は、ブリティッシュ・ハード・ロックの古参バンド UFO の18枚目のアルバム。
良い言い方をすれば、枯れた味わいが支配する王道たるオールド・ブリティッシュ・ハード、悪い言い方をすれば、地味極まりないヲサーン英国ロックな作風に思いのほか馴染んでいる Vinnie Moore のプレイは、近作の中では最もソロ・パートがフィーチュアされた感のある楽曲の中でフレッシュな存在感を生んでいる。
元来持ち合わせたジャジー/ブルージーなエッセンスをここぞとばかりに表層に湧き立たせて、乾いたナチュラル・トーンで爪弾かれる端整なフレージングの妙はさすがの一言で、「for the Band」の姿勢を感じる全体的には控えめな印象ではあるけど、端々にファスト・プレイを盛り込んだり Michael Schenker を意識したような低音弦で粘るリックを交える微笑ましくも美味しい味付けもあって、「ネオ=クラシカル」という言葉との接点こそ無いけれども、どこからどう聴いても Vinnie Moore な魅力がたっぷりと封じ込められている。ただ単に「器用」と表現するのとは一味違う老獪な奥深さが、この Vinnie Moore の好きなトコなんだよな。
ただ、UFO のアルバムとして見ちゃうと・・・やっぱチョイと辛いなぁ。Michael Schenker のプレイはもちろん楽曲がそれ自体泣きまくってた初期の面影は皆無だもんね。って、もう20年以上前の話なんだから特にその路線への期待は持ってなかったんで別にイイけど・・・。
でも、このメンツでなら、是非ライヴを体験してみたいわ。昔の曲での Michael のパートを弾く Vinnie の姿も観てみたいし、Jason Bonhum の親父譲りの豪快なヘヴィ・グルーヴもライヴだと一層強力そうだしね。
(Feb. 26, 2004)
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WOLVERINE | 87 |
| Cold Light of Monday (2003) |
スウェーデンのメタリックなプログレッシヴ・ロック・バンド WOLVERINE の、Earache 傘下の Elitist からリリースされた 2nd アルバム。
監禁/虐待された少女 Sarah の行路を描くコンセプト作である本作を覆う、そのダークなテーマに相応しい病的で陰鬱で・・・そして悲哀に満ちた空気が、内省系メタル・ファンにはたまらなく魅力的に響きまくるね。
OPETH, ANATHEMA, DEADSOUL TRIBE、そして最も音像的に近いと言える PAIN OF SALVATION と同じ終着点を目指しているのは明らかなんだけど、高品質なセンス&プレイで紡がれるよく整理されたスマートなアレンジ/プロダクションの質感が「プログレッシヴ・メタル」というよりは「メタルの心得のある真性プログレッシャーによるハードなメランコリック・プログレ」という方向から攻めている感触なのも非常に新鮮。
仄かなデジ&エレクトリックなゴシック風味も美味しい閉塞感のある暗黒系なサウンドながら、シンガー Stefan Zell の明瞭な叙情歌唱と Mikael Zell & Per Broddesson のギター・コンビによる豊かな愁いを含んだエモーショナルなギター・ワークが、しっかりと聴き易さを生み出しているのも高ポイント。
いや~、ホントいいバンドだわ、WOLVERINE。
(Feb. 16, 2004)


























