4月2004
AFTER FOREVER 87
Invisible Circles (2004)

オランダのドラマティックなゴシック・メタル・バンド AFTER FOREVER の 3rd アルバム。

家族の愛情の行方という現代的なテーマをコンセプトに据えた本作は、前作を最後に脱退した中心人物 Mark Jansen が現在率いている EPICA 同様、既に「ゴシック」という言葉の使用にをためらいを覚えるほどにへヴィ・メタル然としたサウンドに昇華されている。

が、そんな喩えるならば NIGHTWISH をさらにダーク&プログレッシヴに突き詰めたような起伏に富んだ真っ当なへヴィ・メタル・サウンドでありながら、その骨格に纏わり付く悶々としたストリングス、優美なピアノ、幽玄なクワイア、そして艶やかなソプラノと男声デス・グランツの鬩ぎ合いが齎す耽美さに満ちた叙情ドラマの「暗黒系」たる佇まいの前には、やっぱりまだまだ「ゴシック」という単語を持ち出し続けた方がオレ的には心地いいかなぁ。

とまぁ、そんな勝手な脳内カテゴライズのお楽しみはさて置き、音的にもここに来てこれまで気になってた個々の楽曲の弱さが一気に克服されそうな勢いに包まれているのがなんとも素晴らしい。

その中核を担うのは、やはり看板女性シンガー Floor Jansen 嬢の圧倒的な存在感。クラシカルなソプラノの荘厳な響きはもとより Lana Lane ばりのふくよかな力強さを感じさせる熱唱までもを高いレベルで実現するそのスキルの高さにはこれまでどおり感服させられるばかりだが、本作ではそうして歌われるメロディそのものとそれを構成するフレーズの節々に、彼女の歌唱法ならではのフックが生まれてきているのが心強いな。たっぷりとフィーチュアされた Sander Gommans (g,vo) による邪悪な咆哮との相性も◎だし。

しっかし、こりゃホント完成度高いわ。曲間のタイミングまでビッチリと計算尽くされたような、聴けば聴くほどに細かい部分に新たな楽しみを発見できるプログレッシヴ・メタル独特の濃密な魅力に満ちた渾身の一枚ッスな。

 (Apr. 26, 2004)

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ECLIPSE 85
Second to None (2004)

スウェーデンのメロディック・ハード・ロック・バンド ECLIPSE の 2nd アルバム。

快活でダイナミックなハード・ロックは決してベタベタな叙情系ではないが、そうは言ってもやはり透明感を感じずにはいられない仄かに哀愁の漂うキャッチーなメロディと、卓越した技量での隙の無い演奏がもたらすクリアなエッジはいかにも北欧的で、そっち方面に対する満足感をとりあえず充分に満たしてくれるとは言える物。

そんな風に、オレ内での「北欧メロディック・ハードの理想」からすると、楽曲的には決してストライクなスタイルではないんだけど、Joey Tempest meets Goran Edman ってな感じの魅力的な声質のシンガー Erik Martensson の更にタフさを増した逞しい歌唱と、ネオ=クラシカル素地のテクニカルなパッセージを惜しげも無く弾きまくる Magnus Henriksson (g) のいかにもスウェーデンのギタリストらしいエモーショナルなプレイの輝きが、この ECLIPSE を楽曲の好み云々を超越した魅力で包んでいるんだよな。前作でも虜になったこの2人のプレイが、本作ではその前作以上に思い切りよく展開されているのが、聴いててなんとも心地良い感じ。

#3 “Second to None”, #4 “Streets of Gold” らの情感溢れるメロディック・ハード・ロック・チューンの中に、様式派北欧メタルの味わいを色濃く反映した #6 “Nothing Between Us” やワイルドでアグレッシヴな疾走チューン #8 “Body and Soul” などのアクセントを配しつつ、全体的にクールな洗練を漂わせる気負わないセンスの良さがたまらないんですわ。

あ、Mats Olausson がゲストでキーボード弾いてマス。
 (Apr. 04, 2004)

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ENFORSAKEN 84
Forever Endeavor (2004)

アメリカはイリノイ出身の5人組メロディック・デス・メタル・バンド ENFORSAKEN の 2nd アルバム。

最近多い、初期 DARK TRANQUILLITYIN FLAMES の流れを汲むアーリー・スウェディッシュ・スタイルの米産デス・メタル一派と認識できようサウンドだが、この系統の米産バンド達に残りがちなハードコア/ニュースクールっぽさ(って「ニュースクール」の意味をよく判らずに雰囲気で書いてます/笑)が皆無で、より本場への傾倒を推測させる「本気度の高さ」をひしひしと感じる音なのが好感度大。

そしてなにより、やや粗めの弾きっぷりではあるもののしっかりと叙情方面への意識を感じるハーモニー/ソロをどの曲でもガッツリと長尺で聴かせる Joe DeGroot & Steve Stell の2人のギタリストのプチ・テクニカルな悶絶プレイのフィーチュア度がこの手のバンドとしては異様に高いというのが、ネオクラ者としてはやっぱポイント高いッス。

正直、楽曲パターンは決して多くないし、展開もやや一本調子なところがあるんだけど、そんな中でシンガー Steven Sagala の濁声がガッツィーな哀愁を仄かに漂わせるシーンが聴かれる #1 “Tales of Bitterness”, #7 “The Acting Parts”, #10 “All for Nothing” あたりからは、確実にグッと来るものを感じさせられるね。

ちなみに、今回買ったのはボーナス・ディスクとして所属の OLYMPIC RECORDINGS(配給は CENTURY MEDIA)の13曲入りサンプラー CD が付いた2枚組。
 (Apr. 04, 2004)

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FINNTROLL 94
Nattfodd (2004)

フィンランドのドランケン・シンフォニック・ポルカ・メタル・バンド FINNTROLL が、Teemu “Somnium” Raimoranta (g) の死という苦難を乗り越え、Somnium の後任である Routa なる新ギタリストと前作のアコースティック MCD にてお披露目済みのニュー・シンガー Wilska を加えた新布陣で放つ、入魂の 3rd フル・レンス・アルバム。

フォーキーな民謡色を極端なほどに強めた軽快に疾走するシンフォ・ブラック・・・という、大筋ではこれまでと何ら変わらぬスタイルを本作でも貫いている彼らだが、ニュー・シンガー Wilska の野太い咆哮に起因する(と思いたい)これまでになく邪悪なアグレッションの強化と、その反面より壮麗にグレード・アップした天才 Trollhorn (key) によるオーケストレーションの見事なキラキラ加減が、この FINNTROLL を次のステージに歩を進めさせた印象だ。

ついつい キタ━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━!! と叫びそうになる待ってました!の十八番であるポルカ大疾走を聴かせる #2 “Eliytres”, #6 “Ursvamp” らが殺傷力抜群なのはもちろん、酔いどれトロールの宴をヘヴィ・シャッフルに乗せて歌う #3 “Fiskarens Fiende”、アコーディオンのフォーキーな響きが印象的なリーダー・トラック #4 “Trollhammaren” 哀しみフィーリング全開のドラマティックなタイトル・トラック #5 “Nattfodd” というミディアムの楽曲もスケール感たっぷりに展開されるという幅広さがあるのがやっぱ強いな。新ギタリスト Routa の手による哀切なるアコースティック・アウトロ #10 “Rok” で閑寂に幕を閉じる構成もナイス。

とにかく、悶絶を誘うポルカ・エクスプロージョンでは満面の超笑顔と共に激烈ヘドバンを誘われ、悲哀なるヴァイキング節には涙ながらのシンガロングが口を突いて出る、積極的に参加する姿勢であればあるほどに楽しめる「ダンサブル」とさえも言える大傑作。今夜は踊ろう! ポルカを踊ろう! Somnium の弔いの杯だ!(泣)

そうそう、この FINNTROLL、毎回ランニング・タイムが短くてちょいと物足りなさを感じるのが恒例になっているんだけど、本作も10曲36分32秒とやっぱりちょいと短い・・・。なので、先行 MCD “Trollhammaren” に収録された未発表4曲と併せて楽しむとちょうどイイかもね。

 (Apr. 04, 2004)

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FINNTROLL 86
Trollhammaren (2004)

3rd フル・レンス・アルバム “Nattfodd” に収録される #1 “Trollhammaren” をリーダー・トラックとする5曲入り先行 MCD。

#1 “Trollhammaren” 以外の4曲はアルバム未収録だが、FINNTROLL 節の炸裂する疾走ポルカ・メタル #2 “Hemkomst”、新ギタリスト Routa が一人で詞/曲を手掛けた勇壮な #3 “Skog”、亡き Somnium (g) の遺作として涙無しには聴けないフォーキーな疾走チューン #4 “Forsvinn Du Som Lyser”、そしてどことなくジャジーなホーン・アレンジがお洒落ですらある(狂?)グルーヴィなシャッフル・チューン #5 “Helvete” と、どれも聴き応えのある佳曲揃い。

“Nattfodd” と本作とをセットと捉えて続けて聴くと、尺的にもなかなかナイスな感じデス。

 (Apr. 04, 2004)

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HIGHLORD 82
Medusa’s Coil (2004)

イタリアン・メロディック・メタル・バンド HIGHLORD の 4th アルバムは、脂性な四十オヤジとしてはおまけの携帯クリーナが妙に嬉しい一枚。(笑)

作を重ねる毎に確実にクオリティを上げてきている彼らだが、Arise Records とのサインに成功した飛躍の一枚となろう本作でもその流れは継承されており、ギターとキーボードがバランスよく構築した楽曲の上で実力派シンガーが堂々と歌う正統的なヨーロピアン・メタルは、もはや円熟の境地に達しようとしているよう。

が、その反面、これまでの魅力でもあった XaMetalic な刺激は前作以上に控えめで、そういう意味ではこのマターリとした落ち着きは物足りなさを生んでいるかも。・・・って、もはやこの HIGHLORD はそういう期待をされるバンドではないだろうと勝手に思ってるんで、そのあたりはヨシとしますか。

ただ、そんななかなかの質に包まれたメロディックな欧州メタルを構築するセンスの中に、70~80年代のハード・ロックまでもを飲み込んだ意外な懐の深さを見せる一方、演奏/アレンジ等において充分安定しつつも端々に XaMetalic な拙さが残っているのは、やや残念と言えなくもないかも。Andrea Marchisio (vo / DESDEMONA) の歌唱も、充分に上手い部類ではあるんだけど、ずっと聴いてるとやや抑揚に欠ける気がするし。まぁ、これらは贅沢な不満なんだけどさ。

そんな中、Stefano Droetto (g) のへヴィでアグレッシヴなエッジを増したギター・サウンドに対峙するちょいナルな鍵盤奏者 Alessandro Muscio の働きだけは、相変わらず超ナイス。彼の醸し出すプログレッシヴなテイストが現在の…そして将来の HIGHLORD の鍵になるのは間違いないと確信させるほど、この耳は鍵盤パートを追いまくるのデス。

そして注目のボーナス・トラックは、前作同様 Stefano のアニヲタ趣味全開の、北斗の拳2の主題歌だった TOMCAT のカヴァー #9 “Tough Boy”。うーん・・・個人的には、当初候補に挙がってた CRYSTAL KING(って英文表記すると超メロスピちっくだな/笑)の “愛をとりもどせ” が聴きたかったなぁ。

 (Apr. 26, 2004)

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IMPELLITTERI 72
Pedal to the Metal (2004)

IMPELLITTERI の作品は1994年の “Answer to the Master” を最後に買ってなかったんだけど、たまたま立ち寄った HMV で試聴機に入ってた 8th アルバムである本作を聴いてみたら、久々に耳にした Chris Impellitteri の粒立ちの良いファスト・プレイが妙に魅力的に聴こえて、10年ぶりについつい購入。

で、聴いて驚いたのが、いかにも IMPELLITTERI 的といえるメロディックな硬質メタルに今回新に加わった要素である IN FLAMES, SOILWORK, ARCH ENEMY を思い起こさせる先鋭エクストリーム風味。#11 “The Fall of Titus (American Metal vs. Swedish Metal)” なんてモロ IN FLAMES なんですけど?(苦笑)

まぁ、そんなアグレッシヴな佇まいはあくまで「風味」として、本作でもやっぱり冴え渡っている Chris の正確なファスト・プレイが運んでくる「IMPELLITTERI という名義が予想させる音の本質」自体は、それに特に影響されることなくここでも存在しているわけなんだけど・・・うーん、スタイル云々以前に、やっぱ情感の薄い楽曲の出来が自体がイマイチピンと来ない感じ。新シンガー Curtis Skelton (ex-SPEAK NO EVIL) も、なかなか歌えてはいるけど決して「並」の域は出てないと思うし。

この IMPELLITTERI ってバンドは Chris のソロ・プロジェクト的なものだと捉えてはいるんで、彼自身がその時点でやりたいことをやれば全然イイとは思うんだけど、なんかね・・・深い引出しを持ってて作毎に色んなスタイルで表現してるって言うよりは、その時その時の思いつきで好みの要素の表面をなぞってるだけの底の浅い優柔不断さを感じちゃうんデスわ、この Chris Impellitteri っていうギタリストには。

 (Apr. 04, 2004)

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INTO ETERNITY 87
Buried in Oblivion (2004)

カナダ産テクニカル・プログレッシヴ・デス・メタル・バンド INTO ETERNITY の CENTURY MEDIA からのリリースとなる 3rd アルバム。

#1 “Splintered Visions” でいきなり流れ出すネオ=クラシカルなアルペジオの端整な響きを聴いただけでこの身を乗り出しながら早くも全てを許容しそうになったが(笑)、それに留まらず、その後圧倒的な演奏力の高さを持って目まぐるしく展開されるテクニカル・メタルの洪水の波間を半ば呆然としながら漂っている最中ずっと、前記の冒頭のインパクト同様の高揚感を維持し続けることができた充実の一枚だ。

圧迫感のあるアグレッシヴなダーク・メタル・リフが不条理にのたうつその上でネオ=クラシカルな悶絶テクニカル・ギターが華麗に舞い、そこによく伸びるハイ・トーン・ヴォーカルとデス・ヴォイスを幾重にも重ねた知的でメロディックなサウンドは、NEVERMORE の陰鬱なブルータリティと THEORY IN PRACTICE の強引な構築力を手に入れた SHADOW GALLERY・・・という贅沢な喩え方をしたくなる、非常にクオリティの高い逸品。

楽器陣の演奏が生むスリルも素晴らしいが、普通に上手いメロディックなクリーン・ヴォーカルとデス・ヴォイスのコンボが見事なリード・シンガー Chris Krall を含め、5人のメンバー中4人がデス・ヴォイスを、そして2人がクリーン・ヴォイスを担当するという層の厚いヴォーカル・パートが「人の声」の威力の大きさを感じさせているのも◎。

ただ、焦点を発散させる複雑な展開がこの手の変態系バンドにありがちな捉えどころのなさを生んでいたり、いかにもスタジオで作り込みました的な人工的なエンベロープ感が、有機的な愁いというものを非常に希薄にしていたりするのも事実だけどね。

#8 “Buried in Oblivion”, #10 “Morose Seclusion” らの優れたアコースティック叙情チューンでのメランコリーが、各曲それぞれに上手く練りこまれるようになってくると、さらに恐ろしい存在になってきそう。

近い将来「超 INTO ETERNITY タイプ」という言葉がそこかしこで聞かれるようになるのでは?・・・と思えるような、「突き抜けた何か」を持っていることを実感させる良いバンドですわ。(^^)

 (Apr. 04, 2004)

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PLATITUDE 86
Nine (2004)

ツイン・ギター+ツイン・キーボードを擁するスウェーデンの7人組メロディック・メタル・バンド PLATITUDE の 2nd アルバム。

前作では往年の 80’s B 級北欧メタルの味わいを顕著に盛り込み、SUPREME MAJESTY, TWILIGHTNING と共に「新世代北欧メトゥ三羽烏」として我々ヲサーン北欧メトゥ・メイニヤを楽しませたくれた PLATITUDE だが、本作ではその路線を少々変更させている。

そう、本作ではその心ときめく北欧メトゥ風味を減退させ、代わりに SYMPHONY X に代表される現代テクニカル・プロッグ・メタル的な側面をグッと強調してきたのだ。

とはいえ、本作で聴けるのも「煌びやかな欧州型メタル」には変わりはない・・・どころか、空間に叙情粒子を充満させるセンチメンタルなキーボード・ワーク、ソリッドなエッジを増強するとともにソロの見せ場も大幅に増えたギター・パート、強力なグルーヴを生み出すリズム・チーム、そして目を見張る表現力を備えた非凡な熱唱型ヴォーカルがエモーショナルにコラボレートする、スリリングかつ洗練された楽曲群からは、「成長」の二文字が脳裏に浮かぶ、一皮も二皮も剥けたバランスの良さが感じられるんだよね。

正直、前作の悶絶な北欧的空気感にノックアウトされた身としては最初は物足りなさを感じたけど、繰り返して聴くうちに・・・まぁ痛し痒しではあるんだけど、現時点でのこの PLATITUDE の魅力にもやっぱりノックアウトですわ。

それにしても、Marcus Hoher (dr) は相変わらず凄いな。デッカい地音で邁進するラウド・ドラミングの豪快なグルーヴの心地よさは勿論、#7 “Skies of Xenon” ではブラストまでこなしちゃうのが素敵過ぎ♪(ラヴ)

 (Apr. 26, 2004)

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SERAPHIM (六翼天使) 83
Ai (愛) (2004)

亜細亜が誇る台湾産メロディック・ソプラノ・メタル・バンド SERAPHIM の 3rd アルバム。(中国語ヴァージョン)

前作同様、Pay (李佩穎) 嬢のエンジェリックな萌え系ソプラノ歌唱が映えまくる、ツイン・ギターの妙技がエキサイトメントを象るドラマティックな欧州型メロディック・メタルは、今回もなかなかの完成度を見せている。

思慮深く疾走するパワー・メタルが、コーラスで躁状態のポジティヴなメロディを聴かせる場面に差し掛かる度、Pay 嬢の優しげな癒し系ソプラノの声質のせいもあって思い出すのはやはり EDENBRIDGE の名だが、ややひ弱な印象だが頑張って中域で絶叫を弾けさすデス・ヴォイスのアクセントと、Lucas (黄志華)Kessier (許世晃) のギター・コンビがフレーズの一つ一つに必然性を持たせながら説得力を増した感のあるテクニカルなパッセージで紡ぐスリルを含むこの音像は、既に模倣ではないオリジナリティを身に付け始めているように思えるね。

アコースティック・ギターが爽やかな哀愁を運んでくるイントロダクション #1 “Intro (序)” から続くオープニング疾走チューン #2 “Tears (涙滴)” でいきなりこの SERAPHIM の魅力をドラマティックに全開させると、その後は程好いヴァラエティと起伏を織り込んだ長尺の楽曲を一気に聴かせてしまう魅力を持った好盤・・・と言えるのは決して間違いではないが、レンジの狭いドラム・サウンドの薄っぺらさと全員のリズムの甘さから生まれるドタバタ感が、相変わらずこのバンドにあまりいい意味ではないB級な感触を与えてしまっているのが非常に残念であるのも確かだ。

 (Apr. 04, 2004)

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SKYSCRAPER 85
T.V. Lization (2004)

ブラジルから登場した欧州型メロディック・メタルの新星 SKYSCRAPER のデビュー作。

持ち前のテクニックを惜しげもなく注ぎ込んでポジティヴに疾走する流麗なメロディック・メタルは、それを包み込む気高いクラシカル・シンフォニーの風合い、そして逸材シンガー Rick Ricci の柔らか/軽やか/伸びやかという「3やか歌唱」(笑)の飛翔感が否応にも祖国の英雄 ANGRA の名を想起させる「超 ORION RIDERS タイプ」(苦笑)と呼べるもの。

驚くべきは、その ORION RIDERS 同様、緩急をわきまえた多様な楽曲を構築するセンスといい、1コーラス聴けば2コーラスめからは合唱可能なほどの印象的なメロディの妙といい、端々に本家を超えているのでは?と思わせる点が散見される点だ。モダンな音色セレクトをみせる鍵盤とテクニカルなギター・リックが織り成す知性溢れるプログレッシヴ・アレンジのスリルと、それに絡む Rick の自信に満ちた堂々たる歌唱には、何度も何度もこの身を乗り出させられるッスよ。

日本盤ボーナス・トラックとして、KANSAS の名曲群からあえてキャッチーな #13 “Play the Game Tonight” を選んぢゃうセンスも、これまた惚れそうにナイスだったりね。

残念なのは、打ち込みか?という疑念すら浮かぶレンジの狭い平坦なドラム・サウンド。それに引っ張られるように全体的に広がる宅録クサさが、実はスケールの大きな本作の内容を、きっちりとこちら側に伝えきれていない気がするんだよな・・・。ま、次作ではそのあたりを何とかして、心ゆくまで悶絶させて欲しいものですわ。

 (Apr. 26, 2004)

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SPASTIC INK 84
Ink Compatible (2004)

WATCHTOWER, GORDIAN KNOTRon Jarzombek (g) が、実兄 Bobby Jarzombek (dr / HALFORD, ex-RIOT,)、Pete Perez (b / RIOT) と結成した変態超テクニカル・ロック・バンド SPASTIC INK の 2nd アルバム。

1st はトリオ編成のインストゥルメンタル作品だったが、本作では WATCHTOWER, DANGEROUS TOYSJason Mcmaster をシンガーに迎えた4人編成で歌入りの作品に挑戦している。

ヲイヲイ!いまどきモデムで回線交換接続かよ!ってなオープニング S.E. への突っ込みは置いといて(苦笑)、全編弾きまくり叩き&踏みまくりプログラムしまくり(汗)で、まともに聴き込むと精神異常をきたすかのように目まぐるしく展開に次ぐ展開を見せる楽曲は、どうやって曲を覚えてるのか想像も出来ないほどに複雑かつ難解。

支離滅裂な変態テクニカル・プレイの応酬が繰り返されつつも、息が詰まるような圧迫感は不思議なほどに希薄なので、ちゃんと技と技の鬩ぎ合いを楽しみながら最後まで聴けちゃうのが、この SPASTIC INK の凄いところだな。

音色こそへヴィ・メタルだけど JAZZ~FUSION などそれに留まらぬ多彩な素養が新鮮な感触を生んでいるのと、緊迫した場面だけではなくスローダウンして空間の広がり(つっても亜空間だけど/笑)を穏やかに演出する場面が意外に多く存在するのが◎なのかも。

ってかね、やっぱね、ギターやキーボードのファストプレイに合わせて、ベースが超絶にユニゾン・ランニングしまくるのを聴くのがトテーモ好きなんですわ。Pete Perez 最強!

あ、ゲストで Jens Johanson (key), Daniel Gildenlow (vo), Sean Malone (b), Marty Friedman (g) ってな有名どころも参加してマス。

 (Apr. 26, 2004)

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VISION DIVINE 89
Stream of Consciousness (2004)

LABYRINTH と二足の草鞋(わらじ)状態だった Olaf Thorsen (g) が、LABYRINTH を脱退して心血を注ぐ決意をしたイタリアン・メロディック・メタル・バンド VISION DIVINE の 3rd アルバム。

RHAPSODY に専念するため脱退した Fabio Lione (vo) の後任にほぼ無名の新人 Michele Luppi (vo)を、そして他に新メンバーとして Oleg Smirnoff (key / ex-ELDRITCH, DEATH SS)、Matteo Amoroso (dr / ex-ATHENA) を迎え入れた本作ってば、これまでのダメダメな凡作っぷりが嘘のような快作に仕上がっててマジでビックリなんだけど!

いや、何が凄いって、新加入のシンガー Michele Luppi の歌唱がチビりそうに上手いんですわ。想像以上にどんどん伸びる高音域を持ちつつ、それだけに終始しないほんのりとブルーズ・ベースの哀愁メロハー・ヴォイスは、Ian Parry (ELEGY) から力みを取り去って Michael Sweet (STRYPER) のストロングなお色気を注入したような、Roberto Tiranti@a.k.a.Rob Tyrant (LABYRINTH) と同系統のしなやかかつ豊穣でもある極上なもの。

確かに、楽曲自体には未だこれまでの流れを引き継ぐ野暮ったいところがあったり、相変わらず Olaf のギター・プレイのたどたどしい稚拙さにはイライラさせられる場面もあるんだけど(新メンバーの上質なプレイに随分カヴァーされてはいるが)、Michele のその素晴らしい歌声に彩られてこれまでになくキラキラと魅力的に輝くメロディが、それらを帳消しにしてひたすらリピートを誘う魔力を帯びているんだよね。メロウな哀愁メロハー・チューン #7 “Versions of the Same” なんてホントたまらんッス。

いやはや、まさに起死回生の一撃。あとは Olaf が辞(以下略)

 (Apr. 26, 2004)

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