10月2004
CIRYAM 82
Szepty Dusz (2004)

ポーランドの耽美派シンフォ・プログレッシヴ・ロック・バンド CIRYAM の1stアルバム。

古き良きイタリアの著名どころを連想させる悶々とした弦楽シンフォニーと、完全にメタリックなヘヴィなギター・リフが交錯しながら、中音域主体でたまにソプラノな女性シンガーが歌い上げる暗黒美に満ちたサウンドは、ゴシック・メタルの範疇にも十分に入るモノ。

目まぐるしく展開するアバンギャルドなアート感覚の中で美しく浮遊する、ダークで幽玄な情景感の殺傷力の高さはカナリ魅力的ッス。

現地語の歌詞や手数が多くも未整理なドタバタリズムが、モロに辺境プログレど真ん中な自己主張をしているのはご愛嬌・・・ってかそれも魅力ぢゃん。(狂)

 (Oct. 07, 2004)

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CRADLE OF FILTH 88
Nymphetamine (2004)

英国産シンフォニック・ヴァンパイア・ブラック・メタル・バンド CRADLE OF FILTH の、ROADRUNNER RECORDS 移籍第一弾となる 6th アルバム。

事前に聞いていた本作に対する「Not bombastic」やら「Simple & Straight」やらという表現に一抹の不安を抱いていたが、ここ数作と同じ印象のシアトリカルなイントロダクション #1 “Satyriasis” から急転直下するプリミティヴなスラッシュ・チューン #2 “Gilded Cunt”(なんちゅー曲名ぢゃ!/汗)から始まるダイレクトでコアな作風には、確かに一瞬たじろがされたッス。

が、それも一瞬のこと。“Cruelty and the Beast” から “Midian” を経て “Damnation and a Day” で極まった感のある壮大なゴージャス路線に漂っていたエンターテインメント感を意図的に抑え、CRADLE OF FILTH のシンフォニックで映画的な要素ではない骨格たる魅力・・・邪悪な背徳の迸りをフィーチュアした「剥き出しの CRADLE OF FILTH」の姿は、十分にこれはこれでアリだと思えるカッコ良さだった!

ヘヴィ・メタルとしてのアグレッションに焦点を当てるがために贅肉を削ぎ落とそうとも、その贅肉に確かに存在していた魅力的なエッセンスをしっかりと筋肉や骨髄に移填したかの「ダイエット成功例」の如き佇まいが実に凛々しい。装飾に頼らなくとも、暴虐さに潜む貴族的なロマンティシズムや前作から生まれたエモーショナルなレトロ・グルーヴとそれに伴うキャッチーなヴァイヴをしっかりと息衝かせていたり、これまで以上と思えるほどのメロディックなエネルギーを楽曲の芯から噴出させているのがなんとも逞しい限りッスわ。

THEATRE OF TRAGEDY、現 LEAVE’S EYES の暗黒歌姫 Liv Kristine Espenaes Krull 嬢が儚い美声を響かせる萌え萌えな耽美ゴシック・パートを挟み込んだ大作 #6 “Nymphetamine Overdose” に完全にノックアウトされつつ、「これで前作までと同様のシンフォニックさだったらマジ無敵なんだけどナァ…」と贅沢な思いを馳せてしまうのも正直なところではあるんだけどね・・・。

 (Sep. 26, 2004)

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DUST 80
Hard Attack (1972)

ヴァイキングが雪原で死闘を繰り広げる様を描いた完璧なるアート・ワークに見事にジャケ買いを誘われてしまったのは、米 New York のハード・ロック・バンド DUST が 1972 年にリリースした 2nd アルバムの再発 CD。

アコースティックな愁いや泣きのギターを絡めたダイナミックに展開するハード・サウンドは、GRAND FUNK RAILROAD の大陸的なキャッチーさを見せつつもこの時期のアメリカ産バンドとしてはカナリ欧州寄りと思える「軽快になった BLACK SABBATH」・・・というか、後の N.W.O.B.H.M. に相当な類似点を見出せるものだ。

特に、DARK STAR, PLAYING MANTIS それぞれのデビュー作に通じる味わい満載のオープニング・チューン #1 “Pull Away – So Many Times” は、カナーリ衝撃度高し。ピアノとメロトロンを絡めた優美なプログレ・バラード #3 “Thusly Spoken” の存在が光ってるのもポイント高いね。

まぁ、32年前の音源ってことで音像自体は確実に今となっては古臭いものであることは確かなんだけど、この全体を包み込む「“隠れた名盤”のオーラ」は、今までこのバンド/アルバムの存在に辿りつけなかった自分を恥じると共に「聴けてよかったぁ」という安堵をもたらしてくれたデス。

こーゆー未知のナイス・アルバムって、まだまだ山ほど存在するンだろうな・・・。(鬱)

 (Oct. 18, 2004)

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ENUFF Z'NUFF 70
(2004)

2004年5月28日に急逝した Shrapnel 系ネオ=クラシカル・ギター・プレーヤ Derek Frigo の遺作となった、米国シカゴの胸キュン・ハード・ポップ・バンド ENUFF Z’NUFF の 11th アルバム。

甘く切ないグルーヴのレトロな味わいは、「新譜」と言われても信用性に欠ける寄せ集め感を生む統一感のないプロダクション含めて、前作と目だった大差なし。

そんなホドホドな楽曲の中で、情感豊かな Derek Frigo のスーパー・プレイの存在だけが空しい輝きを見せている様に接すると、なんともやりきれない気持ちがこの身を覆うね・・・。R.I.P.

あ、郷愁を誘いまくるアコースティック・ポップ #2 “Home Tonight” だけは、今後もし ENUFF Z’NUFF の MY ベストを作る機会がある時には必ずセレクトするだろう佳曲だったよ。(嬉)

 (Oct. 07, 2004)

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EUROPE 78
Start from the Dark (2004)

1992年にその活動を停止していた「北欧メタルの始祖」EUROPE が、12年もの歳月を経てまさかの復活作をリリース。

一応 “The Final Countdown” リリース当時のゴールデン・メンバー5人が再集合してはいるが、既にキラキラ北欧メタラーのグローリー・ロードからは残念ながら外れてしまっている彼らが現在の感性で作り上げた「クラシックなハード・ロック」は、淡白な暗さを残響感の少ない乾いた音像に滲ませた、ダウン・チューンの効いたグランジーなグルーヴが支配するややヘヴィな今時系北欧ロック。うーん、ほぼ予想通りのスタイルだな。

ということで、本作には過去の EUROPE らしさはほぼ皆無なんだけど、各メンバそれぞれがこの12年間にアウトプットしてきた内容が、この再結成における「初期の水晶の如きメロディを湛えたドラマティックなヘヴィ・メタルの再現」への期待を既に完全に諦めさせてくれていたので、それによるダメージもこれまたほぼ皆無。

ってか、ダメージ云々どころか、過去の EUROPE と切り離して考えれば本作の内容は決して悪くないよ。コレ。ほの暗い中に美しさを確実に染み込ませた北欧の情景的な哀愁を漂わせるタイトル・トラック #2 “Start from the Dark” をはじめ、適度な淡白さを持った適度な郷愁感が田園ドライヴのお供に最適・・・って感じの、気負わずに聴ける好盤になるかも。

ま、過去と楽曲スタイルが違うものだとしても、Joey Tempest の明快な歌声と John Norum のエモーショナルな野太いギター・ワークのコラボレーションが生む懐かしい響きが、なんだかんだ言ってある種のノスタルジを運んできちゃうのは確かなんだけどね。ボーナスとして収録された Sweden Rock Festival 2004 でのライヴ・トラック #13 “Seven Doors Hotel”, #14 “Wings of Tomorrow” を聴くと、なおさらそう感じるわ。テンポ超遅いけど。(汗)

 (Sep. 25, 2004)

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GLORIA MORTI 84
Lifestream Corrosion (2004)

フィンランドのメロディック・ブラック・メタル・バンド GLORIA MORTI のデビュー・アルバム from World Chaos Productions。

ヴォエヴォエなグロウルに絶叫スクリームを絡めた邪悪ヴォイスがブラスト・ビート乗って荒れ狂いまくるブルータルな印象が支配するのも束の間、その凶暴な肉体にシッカリと脈打つメロディックな血流と、それが司る普遍的なヘヴィ・メタルの「メリハリ」の吸引力にズッポリと引き込まれてしまったデス。

特に #3 “The Ennightenment”, #7 “The Orphanage” らの楽曲で聴ける、十分な推考が感じられる叙情的に構築されたギター・ワーク、そして萌え系鍵盤姉さん Jenni Kemppainen タンによる荘厳な暗黒シンフォニーが齎す、十分に「耽美」と表現可能な程の泣き度の高さは魅力的この上ない。

全編で漂う無機質でマーシレスな近未来感を独自のテイストとしようとする努力は感じられるも、まだまだ決め曲に欠けるやや類型的なサウンドであるのは否定できないけれども、DIMMU BORGIR, CRADLE OF FILTH という大御所に引けを取らない高クオリティなプロダクションのせいだけではなく、ただのフォロワーの域には留まらない「大物感」を漂わせてまくるのに成功している所が興味深いな。 前出の2バンドの系統にあるメジャーな感触(ってのも変だけど/苦笑)を感じさせつつも、同時にかの EMPEROR に通じるアンダーグラウンドな背徳の空気を発散しているのも面白いし。

いやはや、マジで良いバンドが登場したッスね。

 (Oct. 18, 2004)

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GOD FORBID 81
Gone Forever (2004)

米ニュージャージーのエクストリーム・メタル・バンド GOD FORBID の、本邦デビュー作となる 3rd アルバム。

リリース以来、Travis Smith の手による耽美なアートワークにメッチャ惹かれつつも、「米国産のハードコア系」いう苦手なキーワードのせいでずっと意識の外に置かれていた本作だったが、先日の来日公演でのネオ=クラシカル/様式美的な評判(ってどんなんや!/苦笑)に煽られたとたんに掌を反したように速攻 GET。

尖ったリズムが爆発するザクザクのスラッシュ・リフとハードコアな怒号/絶叫に北欧ブルータル・メタルのメロディックな影響が覆い被さる、マサチューセッツを震源とするニュー・ウェイヴ・オヴ・アメリカン・ヘヴィ・メタルの潮流にあるスタイルの範疇に位置するサウンドではあるのだが、その上で暴れまくるテクニカルなギター・ワークは、確かにネオ=クラシカル的な悶絶感を呼び込む非常に特徴的な要素だ。

その Dallas & DocCoyle 兄弟のギター・チームによってブルータルな楽曲群にたっぷりと塗布されたメロディックなギター・パートの扇情力は強力で、時にハーモニーをも絡めるメロディの妙とテクニカルなスピード・プレイの弾きまくりの交錯が、欧州メタル真っ青な整合感を持って構築される様は、彼らが敬愛する ARCH ENEMYAmott 兄弟のそれを想わせるほどスリリング。(当然、全然及びはしないけどね…/汗)

メッセージを暴力的に吐き捨てる黒人シンガー Byron Davis のヴォーカルにハードコア色が強めなのが聴いててちょっとシンドイ反面、リフの雰囲気的にはナニゲに80’sベイエリア・スラッシュ風味が満載だったのはチト嬉しかったり。

 (Sep. 20, 2004)

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LAKE OF TEARS 81
Black Brick Road (2004)

スウェディッシュ・ゴシック・メタル・バンド LAKE OF TEARS の 6th アルバム。

前作のやや期待外れ気味だった内容とこのハゲ×3の余りにもアレなジャケの相乗効果で、一抹どころか六十九抹くらいの不安を感じつつもやっぱ惰性で購入しちゃったんだけど・・・今回は、全盛期には程遠いけど、決して悪くはないじゃん?

要所にオルガンを配してピースフルでフラワーなサイケデリック・フィーリングを漂わせる、適度にレイドバックしたメランコリックなゴシック・メタルから流れ出る漢のロマンティシズムはやや息を吹き返したようで、冒頭の #1 “The Greymen” でいきなり溢れ出る男の哀愁に思わず頭を垂れさせられてしまったり。

所々で隣国フィンランド発祥のノリノリ・メランコリック・ゴシック勢に通じる裏拍強調のキャッチーなヴァイブに色気を見せながらも、それがグラム/ヴィジュアルな切り口ではなくあくまでヲサーンでしか有り得ない老獪なロック・スピリットで調理されているのも、さすが LAKE OF TEARS って感じ。 #6 “A Trip with the Moon” なんてソレ系の中では間違いなく名曲レベルに達してると思うもん。

まぁ、中には前作同様退屈な曲もあるんだけど、そんな曲々の中でも確実にフックとして活躍する、これまで同様にゲスト扱いのリード・ギタリスト Magnus Sahlgren のテクニカルな素地の存在を確信させるエモーショナルなギター・プレイが、やっぱホント素晴らしいんだよね。 荒ぶる男泣きが荒野を吹き抜けるスロー・バラード #5 “The Organ” の泣きっぷりなんてマジで Ritchie 師匠に迫る勢いでっせ。

 (Oct. 18, 2004)

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LUNATICA 82
Fables & Dreams (2004)

スイスのシンフォニック・メタル・バンド LUNATICA の 2nd アルバム。

なかなかに惹きのあるその幻想的なバンド名と、それにマッチする美麗なアート・ワークに魅せられるうち、スタート・ボタンを押して流れ出たイントロダクション #1 “The Search Goes On” の雄大な情景を瞼に浮かばせる有機的なシンフォニック・オーケストレーションの妙味にまずは驚愕。

そして #2 “Avalon”, #3 “Elements”・・・ と続いてゆく、軽やかにヒットするストリングス・リフの上で、悪く言えば素人クサい・・・良く言えば純朴で可憐な Andrea 嬢のクリア・ヴォイスが癒しフィーリングを振りまく NIGHTWISHEDENBRIDGE の系譜に連なる楽曲のドラマティックかつキャッチーな魅力の発散具合も実にナイスだ。

とにかく、Tuomas (NIGHTWISH) に通じる不敵な笑みを湛える鍵盤奏者 Alex と本作のアレンジ&プロデュースを手がけた Domencio Livrano が共同作業で構築した、上辺だけではないシッカリとしたクラシック・アンサンブルの素養を感じさせるオーケストレーションのクオリティとそれが生む悶絶感はかなり美味しいな。女声耽美ゴシックの香りを漂わせる EVANESCENSE 風味のデジタルな装いの導入など、なかなか豊富なアレンジ力を感じさせるのも◎。

そんなにウワモノの充実度に反して、楽曲やそれを構成するメロディのパターンの少なさや、捻りの少ない正攻法な展開の連続によるスリルの欠如など、根本的な中枢部分に物足りなさを感じてしまうのが惜しいところ。あ、ギターの活躍度も低いしね。(苦笑)

とはいえ、本編ラストの #10 “A Little Moment of Desperation” で聴ける「NIGHTWISH 化した BLACKMORE’S NIGHT」とも形容できる民謡ちっくな悶絶フレーズ攻撃をはじめ、殺傷力の非常に高い一瞬一瞬の場面に遭遇することは決して少なくないではあるので、この LUNATICA の今後の作品に期待をし続けることは間違いないデスわ。

 (Sep. 25, 2004)

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PILGRYM 80
Pilgrimage (2004)

英国の新参ネオ=シンフォ・プログレシャー PILGRYM のデビュー・アルバムは、そのファンタジックなアートワークから類推できるとおり当然ジャケ買いなわけだけど(笑)、内容の方もまずまずだったんでまずは一安心。(安堵)

こーゆーキラキラなシンセをはじめとする多彩なキーボード・ワークを中心にドラマティックに場面転換するコンパクト&タイトにまとまった十分に歌物でもあるサウンドって「80’s 産業プログレ風味」・・・って、ゆぅぢゃなぁ~い?

・・・って、モロに ASIA なんですけどコレッ! シンガーの渋さも John Wetton にクリソツ斬りぃっ!

でも拙者、そんな中でメロトロンを武器に混沌がヘヴィに渦巻く #7 “Black Sun”KING CRIMSON 風味に一番惹かれちゃってマス!・・・切腹ゥッ!

 (Oct. 07, 2004)

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RHAPSODY 94
Symphony of Enchanted Lands II – The Dark Secret (2004)

「メタル」と名が付く付かないに関わらず、全ての「音楽」の頂に鎮座する奇跡のロック・バンド RHAPSODY の 5th アルバム。

前作を持って興奮のうちに完結した “The Emerald Sword Saga” の伝説を受け継ぐ新たな暗黒活劇 “The Dark Secret Saga” の幕開けを壮大に告げる本作は、The Bohuslav Martinu Philharmonic Orchestra や50人編成のクワイア隊までもを導入した過去最高にシネマティックな風合いの一枚だ。

名優 Christopher Lee の激渋ヴォイスによるプロローグに導かれる「RHAPSODY 全部入り」とも言える名曲 #2 “Unholy Warcry” から始まる、極限の高揚感を齎す大仰極まりない極上のイタリアン・シンフォニック・メタルは、始まったばかりの物語の全体像をマルチ・アングルで目まぐるしく解説するかの、起伏に富んだ超大作となっている。

前章完結作 “Power of the Dragonflames” を覆っていたクライマックスならではの切羽詰った緊迫感は希薄で、どちらかというと眼下にアルガロードの壮大な情景が広がる緩やかな流れを感じさせる部分が支配的な印象だけど、まぁそれは本作がこれから数年間続くことを約束された大いなるお楽しみのホンの序章に過ぎない・・・っつーことで、全然アリっしょ!大アリ!

そんな、作を重ねてエスカレートしきったオーケストレーションが響きまくる巨大スケールの楽曲群の中で、それらと見事に融け合う #3 “Never Forgotten Heroes”, #7 “The Last Angels’ Call” といった 1st “Legendary Tales” の雰囲気に通じる、Fabio Lione のこれまでよりピッチをやや上げ気味にした感のある瑞々しい歌唱で歌われるメロディが切なく響く歌メロ・オリエンテッドな中庸ナンバーの存在には、今後の続編へのさらなる期待を沸き立たせられるね。

そして忘れちゃいけないクラシカルな大曲 #9 “Sacred Power of Raging Winds” の、祖国の多くの伝説的先人達を過去に葬り去るが如きの凄まじいまでのユーロ・ロックっぷりも、マジ眩暈を覚えるほど嬉しいわ。

・・・と絶賛モードながら、冷静に考えれば冗長で新味に欠けまくりなのは確かなんだけど、そんな不満も「音楽という文化に沸き起こった奇跡」である前作 “Power of the Dragonflames” と比較すればこそ。 本作が、突如地球を訪問した宇宙人にこの惑星の文化をただ一枚の CD で説明しなければならないシチュエーションがあったとしたら、その時に地球を代表する使者が迷いもなく差し出すに値するレベルをいとも簡単に超越した内容であるという事実を疑う余地は皆無ですな。(自己暗示)

 (Oct. 09, 2004)

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SEAR BLISS 87
Glory and Perdition (2004)

ハンガリー産メロディック・ペイガン・トロンボーン・ブラック・メタル・バンド SEAR BLISS の 5th アルバム。

3rd “Grand Destiny” のあまりの不甲斐なさが購入を躊躇させつつも(4th は未聴)、邪悪な三人衆が累々たる死屍の上でホルンを吹き鳴らす様を描いたアート・ワークが内容を如実に表していそうな予感がして一か八かで GET してみたが、コレが見事に大正解の巻ぃ。(嬉) イマサンな内容が残念極まりなかったその 3rd の悪夢が生んだ諦めにも似た気持ちを吹き飛ばすことに成功した快作だコリャ。

確かに、ココには名盤 “The Haunting” で聴けた超テクギタリスト Victor max Scheer (脱退済) による情感豊かな泣き泣きの超絶スピード・プレイは無いが、それを十分にカヴァーする要素がたっぷりと感じられるのが嬉しいんだよね。

DISSECTION にも通じるドラマティックさを兼ね備えた怒涛の哀愁ブラストが邪悪に荒れ狂うペイガン・ブラック・メタルに、トロンボーンの♪ポワヮァ~~~♪ポワォ~~~ゥってな哀愁の響きが、控えめながら効果的なシンフォ・アレンジと好バランスで併走しながら良質のフックとして終始鳴り渡り、ピアノが絶望的に響く辺境バンドならではの荒涼感を醸し出す様は、何をどう考えてもバッチグー。(死語)

整合感もバッチリなハイ・クオリティな音像の中で、各楽器が見事に自己を主張しながら緩急たっぷりに聴かせどころを際立たせているその心意気が伝わってくるのもオイシイです。

 (Oct. 07, 2004)

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SHADOWS FALL 83
The War Within (2004)

米国マサチューセッツのエクストリーム・メタル・バンド SHADOWS FALL の 4th アルバムは、現在威力をさらに増大しつつある N.W.O.A.H.M. ムーヴメントの旗手たる自覚を強烈に発散する、「ヘヴィ・メタルであること」への意欲と自信に溢れた好盤。

従来どおり MA メタルらしさの象徴ともいえる IN FLAMES に代表される Gothenburg 系北欧メロディック・エクストリーム風味を下敷きにしつつも、ダイナミックな展開と共に泣きのアルペジオや哀愁のギター・ハーモニーを絶妙に切り込ませる80年代的ギター・サウンドがリードするメロウな質感をこれまで以上にたっぷりフィーチュアした「より普遍的メタル」な作風になってきてるのが嬉しいな。

無条件にヘッドバングを誘う肉食人種ならではのパワー漲る強靭なリズムの上で、ストリートなフィールを伴いながら吐き捨てられるメロディに漂う妙な「メジャーさ」が、IRON MAIDEN の影響下にある80年代終盤~90年代初頭のスラッシュ・メタル勢・・・中でも、LAAZ ROCKIT, WRATHCHILD AMERICA 両バンドの名を思い起こさせるのが面白い。その懐かしさに満ちている感じがなんだかイイんだよね。

 (Oct. 09, 2004)

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SONATA ARCTICA 77
Reckoning Night (2004)

フィンランドが誇るメロディック・メタルの雄 SONATA ARCTICA の 4th アルバム。

いきなりのオルガン・サウンドが鳴り響く幕開けが意表を付く本作だが、その全体的な作風は、大人びた端整な脱童貞サウンドで一気に垢抜けを見せた前作 “Winterheart’s Guild” の延長線上にある洗練されたもの。

完全に安定の域に達したスピーディな欧風メロディック・メタルは、所々でその哀愁アンサンブルが確実に悶絶感を生んではいるんだけど、頭の良さをアピールするかの風変わり一歩手前の一捻りしたアレンジが狙いをやや外し気味だったり、機械的なリズム隊の平坦さがスリルに欠けるものだったり・・・と、どうしてもマイナス点が目に付いちゃう感じ。

楽曲の主役である Tony Kakko (vo) の歌唱も、類稀なタフさを見せ付ける素晴らしいシンガーであることは伝わってくるものの、殆どのパートをコーラス・ハーモニーで覆ったが故の旋律感の希薄さと「終始歌いっぱなし」な抑揚の欠如が、初期のゾクゾクするような刹那なる悲愴感を殺いでしまっているし・・・。

前作レコーディング後に加入し本作がスタジオ・フルアルバムでは初お披露目の場となる Henrik Klingenberg (key) によるオルガン、ピアノを絡めたオーガニックなアレンジは新鮮だし、持ち味であるセンチメンタリズムを撒き散らしながら疾走する #3 “Ain’t Your Fairytale”, #7 “My Selene” の2曲も決してキライぢゃないんだけど・・・残念ながら今回はなんかのめり込めないわ。

 (Oct. 18, 2004)

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VANITAS 82
Lichtgestalten (2004)

オーストリアの耽美派ゴシック・デス・メタル・バンド VANITAS の 3rd アルバム。

前作 “Der Schatten Einer Existenz” での悶絶フォークロア炸裂な耽美クサ・ゴシックに見事に腰を抜かされた体験は未だに記憶に新しく、それが生む並々ならぬ期待を持って対峙せざるを得ない・・・というのは「名盤の次作」に共通の宿命なんだけど、本作はまさにその宿命の渦に飲み込まれてしまった感じ。

悶々としたクラシカルな耽美さとヘヴィ・メタルのパワフルな推進力が融合した魅惑極まりない美味しい路線は前作同様なんだけど、今まで壮麗なシンフォニーに覆い隠されていた「チープさ」が、本作でグッと増進させられたメタリックでモダンな勢いに便乗して表層に現れてきちゃったっぽいんだわさ。

ってか、そんな残念フィーリングもあくまで名盤だった前作と比較して・・・の話で、ここに収録された欧州の歴史ロマンに満ちた大仰な悶絶バロック・メタルの数々は、本作単体で見た場合には十分に満足できるもの。

哀しく弾むピアノの音色に Maria Dorn タンのドイツ語ウィスパーのエロさがタマラン #4 “Sammelleidenschaft”、高貴なる弦楽の響きに導かれてヴァイキング風味が爆発する #7 “Kontrollverlust” なんてマジで悶絶を禁じ得ないもんな。

まぁ、次作に期待しながらも、これからどんどん聴き込んでみよう。音造りが濃密なだけに、聴けば聴くほど段々良くなってくるタイプだってのはもう解ってるからね。

 (Oct. 18, 2004)

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