1月2005
ASTRAL DOORS 85
Evil is Forever (2005)

スウェーデンの王道クラシック・メタル・バンド ASTRAL DOORS の 2nd アルバム。

Nils Patrik Johansson (vo) が存在感たっぷりに放射する暑苦しさ満点の強靭な Dio 型熱唱を主軸に展開される Tony Martin 期の BLACK SABBATH 的スタイルは前作と不変。 あえて言うならば、前作にて主にギター・ハーモニー等で感じられた気温低めのクリアな北欧風エッセンスをやや後退させて、よりストイックに英国的な様式派王道ハード・ロック路線を狙った作風と思えなくもないかな?

タイトル・トラック #3 “Evil is Forever” をはじめ #7 “Fear in Their Eyes”, #8 “Stalingrad”, #11 “Path to Delirium” と腰の据わったヘヴィ・チューンが4曲も存在することがそんな印象をもたらす一方、#1 “Bride of Christ”, #6 “Pull the Break”, #10 “The Flame” というこれまでになくエキサイティングな疾走チューン群もカナーリ強力。イントロが流れただけで無意識にメロイック&ヘッドバング必至だわ。

この ASTRAL DOORS って楽曲のスタイルこそ後期 BLACK SABBATH 風なんだけど、楽器陣(特にギター)がアンサンブル重視の淡白なプレイだったりするせいか本家 BLACK SABBATH 的なダークに引き摺る寓話性は希薄で、ノリ自体には DEEP PURPLERAINBOW に通じる Blackmore ルーツの軽やかなロケンロー・エナジーを強く感じるんだよね。なので、そのノリが良く似合う快活なミドル・ドライヴァー #4 “Lionheart”, #12 “Another Day in Hell”(日本盤ボーナス・トラック)あたりのタイプの楽曲がもうちょい増えてくれるとさらに嬉しいかも。

そんな贅沢を述べつつ、「あの頃」が DNA レベルで刷り込まれたヲサーン・メタラーとしては普通にツボで気持いい一枚ですわ。

 (Jan. 26, 2005)

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GRAVEWORM 84
(N)utopia (2005)

イタリアン・シンフォニック・ブラック・メタル・バンド GRAVEWORM の、ギターの片方とドラマーをチェンジしての 5th アルバム。

扇風機ヘドバン女王(萌)Sabine Mair タン (key) の壮麗シンフォニック・ベールに包まれて、パワフルなリフが重厚に疾走する・・・というゴシック風味を感じさせる基本的な路線は堅持しながらも、本作ではその作風を一気にシンプル&ダイナミックな方向にシフトさせた感のある、精力的なライヴ/ツアーで固めた足場を基にここで一気に飛躍に向けてスパートを掛けたかの印象。

最長でも4分台の長さにまとめられたコンパクトな楽曲(そのおかげで総ランニング・タイムは38分弱…)は、これまで以上にライヴ映えすると思われるキャッチーで緩急に長けた佳曲揃いで、そこにはメジャー感すら漂い始めているかのよう・・・

・・・なんだけど、相変わらずの器用さを見せるシンガー Stefano Fiori による絶叫/グロウルのスイッチの妙も、前述の Sabine タンの華麗なる白玉攻撃も確かに大活躍してはいるんだけど、それらがこれまで GRAVEWORM 最大の魅力ポイントと感じていた「荒れ狂う悲愴感」にイマイチ結びついてないっぽくないかい?・・・と思えるのが、聴いててなんとももどかしい感じだなぁ。。。

もともと個々の楽曲そのものの魅力というよりは、全体を包むその独特のミスティックな哀しさが生む良質のバランス感覚に惹かれていただけに、本来この物足りなさは致命的ではあるハズではあるんだけど、そこはさすが GRAVEWORM、本作で一本筋を通しているライヴ・ショウを見据えた「ノリ易さ」は確実に新しい魅力だし、終盤の 8# “Outside Down”#9 “MCMXCII”#10 “Losing My Religion”REM のカヴァー/限定デジパックのボーナス・トラック)で遅まきながら爆発する従来どおりの悶々としたメランコリーのおかげもあって、結局全体としてはそれなりに好印象だったり。(安堵)

まぁ、耽美な彫像アートワークがこれまでになくナイスな出で立ちなので、内容のそれとは別方向への進化を考えるとチョイト痛し痒しではあるんだけどね、やっぱ。

 (Jan. 26, 2005)

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LUMSK 89
Asmund Fraegdegjevar (2003)

ノルウェーの暗黒トラッド/フォーク・メタル・バンド LUMSK のデビュー・アルバムを今更 GET。(遅鬱)

女性シンガー&女性ヴァイオリン奏者(どちらも萌え度高し!←重要)を含む7人組にゲストの笛系+弦楽カルテット+混声合唱団を加えて情景的に描くのが、ノルウェーに古来伝わる伝説をベースとしたヴァイキング・ストーリーだってんだからコリャたまらない。

Siv Lena Waterloo Lautug タン (violin) がリードするモノホンに民謡な古楽アンサンブルにロウ・チューンでヘヴィに響くメタル・リフが融合し、Stine Mari Langstrand タン (♀vo) の純朴なクリア・ヴォイスが男声と絡み合いながらノルウェー古語で聴く者を荒涼たる中世の北欧に誘う「変り種」な感触の高暗黒度のサウンドは、ジャーマン・リッター(騎士)・ロック、そして ANEKDOTENANGLAGARD にも通じる辺境アート・プログレっぽさ満点の呪術的悶絶トリップ感が最高に心地イイ。

もし2003年のリリース時に GET してたら、確実にその年のハイライトの一つになってたな・・・(惜) もし新作でたら今度は速攻で GET せネヴァ!

 (Jan. 17, 2005)

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MASTERPLAN 87
Aeronautics (2005)

メンツ的にとっても短命そうなイメージだったのとは裏腹に、前作と同一メンバーでしかも約2年と言うまぁ順当なスパンでの新作投入にビックリな、独諾混成メロディック・メタル・バンド MASTERPLAN の 2nd アルバム。

Roland Grapow (g), Uli Kasch (dr) の血が染み出す微キーパーなメタル・エナジーと、歌鬼 Jorn Lande の強靭なる頂上歌唱が与えるアダルトなハード・ロック風味の独特のバランス感覚が美味しい欧州ヘヴィ・メタルは、前作よりもさらに渋みと落ち着きを増した感のある重厚で深みある味わいが塗布されている感じ。

そんな作風のためか、前作の名曲 “Enlighten Me” の流れを汲むリーダー・トラック #2 “Back for My Life” をはじめ #4 “I’m Not Afraid”, #9 “Dark from the Dying” らのキャッチーなミドル・ハード・チューンが特に印象的に響くね。 もちろんそれだけに留まらず、メロディック・メタル・チューンである #3 “Wounds”, #10 “Falling Sparrow”、そして本作のハイライトとも言えるこれまでとはやや毛色の違う10分弱のドラマティック大作 #11 “Black in the Burn” らも、思わず身を乗り出すこと必至の充実の出来具合。

ただ、この「Jorn Lande 寄り」とも思える大人びた路線だからこそ、バック陣のセンス/技量のアダルト方面への至らなさ(って、カナリ高次元の話だけど)が感じさせるミスマッチな違和感を前作以上に感じるのも確か。相変わらず Roland Grapow は音色も豊かでタメもあるまずまず悪くないプレイを披露しながらも、やっぱ所々破綻気味なのが気になるしさぁ。

 (Jan. 20, 2005)

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MASTERPLAN 80
Back for My Life (2004)

ニュー・アルバム “Aeronautics” からの先行 EP。

「3曲が国内盤未収録」と書かれていたので GET してみたが、「Non-Album Track」 とクレジットされた3曲のうち #3 “Love is a Rock” は国内盤にもボーナスとしてしっかり収録されているし、#5 “Killing in Time (Instrumental)” はその但書き通り #4 “Killing in Time” のヴォーカルなしヴァージョン(別アレンジ)・・・ということで、純粋に国内盤未収録「曲」なのは結局 #4 “Killing in time” 一曲のみ。。。

で、その #4 “Killing in Time” は・・・まぁソコソコな感じの3連チューンだけど、Jorn Lande の歌う曲は全部聴きたいから全然アリってことで。

 (Jan. 20, 2005)

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MISTHERIA 83
Messenger of the Gods (2004)

イタリア人キーボード・プレーヤ Mistheria 氏が主宰する、ネオ=クラシカル・プログレッシヴ・メタル・プロジェクト@Lion Music。

無名に近いコア・メンバ+ゲストの大勢の準ネオクラ系プチ著名アーティスト群で壮大に綴るのは、なかなかの柔硬の配慮っぷりを見せるテクニカル/プログレッシヴ・メタルに優美でスリリングなクラシカル・エッセンスをたっぷりとまぶした、非常に魅力的なスタイルの大仰な楽曲群。

メインでヴォーカルを努める Max Romano なるシンガーの James LaBrie を意識しまくった唱法と、中心人物 MistheriaRichard Andersson を髣髴させる良質にエゴイスティックな鍵盤魔人第2号っぷりが、“DREAM THEATER meets TIME REQUIEM”ってな表現をも生み出す・・・っつっても、音密度こそ高くもそれらが全く整理しきれていないイカニモ時間とお金をかけていない的なドタバタで乱暴な音像は“三流フォロワー的”なものなんだけど。(汗)

それでも、随所で炸裂しまくる豪華(?)ギタリスト陣と Mistheria の鍵盤の悶絶ネオ=クラシカル超絶技巧対決はなかなかの聴き応え。特に Mistheria 氏の見事にネオクラな弾き倒しっぷりっつったら、もし本作を2004年中に聴いていたら間違いなく Best Keyboard Player に選出していただろうと確信できるインパクト! ピアノもかなり上手そうだしね。

んな感じで、以下自分が聴く時に便利な主要ゲスト・リスト。

2. Zeus will Storm the Earth
    Rob Rock (vocals)
    Neil Zaza (guitar solo)
3. The Chimera
    Marcel Coenen (guitar solo)
    John Macaluso (drums)
4. The Beast of the Maze
    George Bellas (guitar solo)
    John Macaluso (drums)
5. King Midas
    Diego Reali (guitar solo)
    Maurizio D’Andrea (guitar solo)
6. Dynasty of Death
    Jeff Kollman (guitar solo)
    Rick Renstrom (guitar solo)
    Ron Thal (guitar solo)
    Tommy Denander (guitar solo)
8. Witch of the Demons
    Alex Masi (guitar solo)
    Michael Von Knorring (drums)
    Maurizio D’Andrea (guitar solo)
9. Dragon’s Teeth
    Barry Sparks (bass)
    Anders Johansson (drums)
10. Messenger of the Gods
    Maurizio D’Andrea (guitar solo)
11. Titans
    Rob Rock (vocals)
    Thorbjorn Englund (guitar solo)
    Tony Hernando (guitar solo)
    Max Arminchiardi (guitar solo)
12. Eternity
    Hubi Meisel (vocals)

店頭 POP には Roy Z, Joe Stump, Michael Romeo の名もあったハズだったんだけど・・・?(謎)

 (Jan. 20, 2005)

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PLATENS 90
Between Two Horizons (2004)

イタリアのシンフォ・エピック・メタラー THY MAJESTIE のシンガーだった Dario Grillo が興したメロディック・ハード・プロジェクト PLATENS のデビュー・アルバム。

Dario が本作に封入したのは THY MAJESTIE とは180度趣の異なる完全に「メロディック・ハード・ロック」なサウンドなんだけど、これが蓋を開けてクリビツテンギョウな全く予想もしていなかった驚きの出来の良さ!

北欧メタル的な透明感と80’s MTV ハード・ロックのメイン・ストリーム感覚を持ち合わせたスタイルの楽曲は、#1 “Here I am”, #4 “Into the Fire”, #7 “Angel’s Cry”, #9 “Chasm of Madness” といった往年の SHYFAIR WARINING に通じるハードなドラマティック・ナンバーのいわゆる「カッコいい悶絶感」はもちろん、その合間に配置された雄大に歌われるバラードがメロウな哀感を運んできたり、スチール・ギターが南部アメリカの風味を醸し出したり、SURVIVOR 等の名を想起させる落ち着き過ぎない大人びた大陸型 A.O.R 風味の美味しさを感じさせたりといった良質のヴァラエティ・バランスなのが非常にナイスで、哀愁に満ちた泣きテイストがしっかりと塗布されているのも◎。

特筆すべきは Dario の驚愕のメロハー・センスで、深みと伸びを両立させた適度に微ハスキーなナカナカに味わいのあるワイド・レンジ歌唱は当然のこと、彼の兄弟 Alessandro Grillo の手(足も/笑)を借りたドラム・パート以外の全ての楽器パート ―――時にネオ=クラシカル風味のファスト・ランニングや高速タップやを交えて整合感たっぷりにしっかりと弾きまくるギター、優美でふくよかな有機的オーケストレーション、そして彼一人が多重させたとは到底信じ難い壮麗なクワイア――― をたった一人で高次元に構築した天才的なサウンド・メイキングの手腕を持って描いた、堂に入った理想的メロハー・アンサンブルは奇跡的な見事さだ。

惜しむらくは、ややチープなプロダクションかな。内容に惹き込まれてしまえば全然気にならないけど、これがもっとリッチなプロダクションで聴こえてきたら・・・と思うと本当に恐ろしいだけに、ソコだけがやっぱ惜しい感じ。

 (Jan. 26, 2005)

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SPITZ 85
Souvenir (スーベニア) (2005)

ジャパニーズ・メランコリック・ロック・バンド SPITZ の2年4ヶ月ぶりとなる 11th アルバム。

“ハヤブサ” そして続く “三日月ロック” では止め処なく湧き出るメタリックともいえようロック魂のあからさまな吐露が顕著だったが、本作ではそのダークでワイルドな側面を一部の楽曲への反映に留め、あくまでポップ・ミュージックとして持ち前のセンチメンタルな郷愁を炸裂させた感のある「自然体」とも思える作風。

そんなバック・トゥ・ルーツなスタンスと 草野 マサムネ (vo) の反則哀愁ヴォイスのいつになくライトでクリアな伸びを見せる響き具合や何気に耳を捉えるシンフォニック・アレンジ(歌謡的なモノではあるけどね)の感触などからも感じ取れるここに来ての音像的な洗練のギャップの両者が想起させるのは、新ステップである次の10作期に向けて試行錯誤を恐れない凛々しい姿だ。

楽曲的にも、これまでのように心から自然に滲み出る SPITZ 節をそのまま封入したというよりは、現状のシーンに散らばる様々な要素を吸収~消化し、それを見事に SPITZ 色に染め上げたかの印象を受ける、ある種の「挑戦」を感じるモノが多いのが本作の特徴かも。

・・・ってな冷静っぽさを装ったイカニモな分析も、全編に漂う「腐っても SPITZ」な美味しい泣き虫センチメンタリズムの前ではホンの戯言に過ぎん!(苦笑) イントロから一撃必殺のいかにも SPITZ な名曲 #2 “ありふれた人生”崎山 龍男 (dr) のドラム・セットを破壊せんが如きのブルータルなヒットがヘヴィにドライヴするロケンローの中に切なさを封じ込めた #3 “甘ったれクリーチャー”、そして命果てるまでヘドバン必至の SPITZ 史上最速の疾走パートを持つ #13 “みそか” などには、やっぱり涙枯れ果てるまで悶絶しちゃうんだから。

まぁ、前記の近作で感じられた内省的な陰鬱さが希薄なのがやや物足りないのは、紛れもない事実なんだけどね。。。

 (Jan. 17, 2005)

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THE WICKED 79
Sonic Scriptures of the End or Songs to have Nightmare with (2004)

フィンランド産シンフォニック・ブラック・メタル・バンド THE WICKED の 2nd アルバム from Spikefarm。

Kimberly Goss (vo/SINERGY) や IMPALED NAZARENE のメンバーらをゲストに向かえ天才 Trollhorn (MOONSORROW/FINNTROLL) がプロデュースした本作は、サイバーでインダストリアルなソリッド・ヘヴィネスと古典的なシンフォニーの壮麗たる威厳が時空を超えて渦巻く、超シアトリカルなハイ・クオリティ作。

凄絶なブラスト、壮大なオーケストレーション、そしてマーシレスなレイヴ・ビートが目まぐるしく展開する幽玄な亜空間が描き出す、機械と宗教が支配する混沌とした近未来の破滅的世界観は、初期 VOIVOD meets MARILYN MANSON × FINNTROLL ってな強引な喩えが脳裏に浮かぶ圧巻の密度を誇っている。

74分近い長尺(って、そのうち17分弱の無音部分が存在するんだけど/汗)は確かにメッチャ冗長なんだけど、S.E. 的なトラックの情景描写の場面の多さが運んでくるサウンド・トラック的な酔わせ方に、聴いてる最中は意外と心地よくさせられるデス。まぁ聴き終わった後は全部忘れちゃうタイプのサウンドではあるんだけど。(苦笑)

 (Jan. 26, 2005)

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