7月2008
ARI KOIVUNEN 88
Becoming (2008)

5月末の FINLAND FEST 08 での初来日公演も記憶に新しいフィンランドのメタル・シンガー Ari Koivunen 君の2ndアルバム。

往年の北欧メタル風味を現代フィンランドらしさでアップデートした傑作だったデビュー作の印象が生んだ期待が、冒頭から頭3曲の間続くダークで思慮深い地味テイストの前に崩れかけそうになるが、その後に続く待ってました!のスカンジナヴィアン・ドライヴァー #4 “Sign of Our Times”、薄暮の疾走に身悶える #5 “Sweet Madness”、叙情が躍動する北欧ハード・ポップ #7 “Keepers of the Night”、劇的に疾走するスピード・チューン #9 “Hero’s Gold” に代表される前作の北欧カラーを引き継ぐ佳曲の連続に一安心。

パフォーマンス的にも、線の細さと強靭さが微妙なバランスを見せるハリのある Ari のハイトーン・ヴォイスのいい意味での青臭さ&透明感が募らす北欧らしさはやはり魅力的だし、リード・ギタリスト Erkka Korhonen (URBAN TALE) によるいかにも北欧プレイヤーらしいネオ=クラシカル素地をのテクニカル・プレイも実に美味しいし。

確かに、全体的にやや暗めでシリアスな色調にシフトしているではあるけど、100本を越えるライヴを共有し堅牢なチームとなったバンドによって書かれた楽曲はどれもタイトなケミストリーに満ちており、そういう意味では本作は、コンテストに優勝した「メタル・アイドル:Ari Koivunen」に著名なメタル・アーティストが楽曲を提供した御褒美的作品の次作というよりは「バンド:ARI KOIVUNEN」のデビュー作と捉えるべきかも。 あ、そういうポジティヴなマインドで繰り返し聴いてたら、前述の頭3曲からも北欧の味わいがジワジワと滲み出てきた。(笑)

シークレット・トラックの IRON MAIDEN のカヴァー #13 “The Evil that Men Do” のアコースティック・バージョンもしっとりと北欧っぽくてイイ感じ。

問題:さて、文中で何回「北欧」と連呼したでしょう?(笑)

 (Jul, 04, 2008)

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HOUSE OF LORDS 87
Come to My Kingdom (2008)

米産メロディアス・ハード・ロック・バンド HOUSE OF LORDS の6thアルバム。

Gregg Giuffria (key) の完全離脱によってキーボード・パートは(たっぷりと鳴りつつも)あくまで裏方でのサポート役に徹し、James Chiristian (vo) のハスキーなエモーショナル・ヴォイスと前作から加入した Jimi Bell (g) のよく泣く情熱的ギター・ワークの二本柱を前面に立て、その強靭なバランスで描く各曲の訴求力の高さはめちゃくちゃ頼もしい。

必殺バラード #5 “Another Day from Heaven” をはじめとする適度にハードな圧力に乗せた切ない哀愁メロディの波状攻撃はやはり強力で、神懸った出来の良さだった前スタジオ作 “World Upside Down” には今一歩及ばぬものの、同路線を質高く追求した本作もこれはこれで十分に傑作レベルですわ。

HOUSE OF LORDS ってデビュー当時からアートワークやタイトルに欧風な様式色を滲ませてて、そのイメージと実際の楽曲の重厚な潤いとのマッチングがこれまた非常に良い・・・ってことが、Myツボを強く刺激し続けているんだな。

 (Jul, 14, 2008)

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KANSAS 97
Two for the Show [30th Anniversary Edition] (2008)

アメリカン・プログレ・ハードの雄 KANSAS の初期の名ライヴ盤が、リリース30周年を記念して “30th Anniversary Edition” として再発。

リマスター、そしてオリジナルLPと同様に2枚組とすることで、以前1CD化の際に収録時間の問題でカットされた “Closet Chronicles” を再収録すると共になんと当時の未発表ライヴを10曲も追加収録!? いやーこれはまさに「真・偉大なる聴衆へ」と呼んでしまいたい!!(大興奮)

それにしても、この Steve Walsh (vo,key), Kerry Livgren (g,key), Phil Ehart (dr), Rich Williams (g), Dave Hope (b), Robby Steinhardt (vo,violin) という初期の神々しい黄金ラインナップでの当時のショウは、今改めて聴いても本ッ当に強力。 結成40周年に届こうとする今現在でも意外なほどに老化を感じさせてはいないバンドだけど、当時の若々しいエネルギーとスピーディな切れの良さで、現代プログレッシヴ・メタルの礎にもなったアーティスティックな名曲群が超ドラマティックかつ超キャッチーに奏でられる様はマヂで圧巻。

あぁヤヴァい・・・。 人生何度目かの「マイ KANSAS 大ブーム」が巻き起こりそうだ・・・。
 (Jul, 05, 2008)

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KEEP OF KALESSIN 92
Kolossus (2008)

ノルウェー産イケメン・メロディック・ファスト・ブラック・メタル・バンド KEEP OF KALESSIN の4thアルバム。

Attila (vo/MAYHEM, SUNN O))), etc.), Frost (dr/SATYRICON, 1349, etc.) というカリズマ・ブラック・メタラーズのヘルプ期を経て現在の4人のメンバが揃った前作 “Armada” 同様の、ブラック・メタルらしいプリミティヴな暴虐さと正統メタル的なモダンなメロディック感を両有したスタイルは、本作でさらにその配合を奇跡的な黄金率へと昇華。

不協に掻き毟られる中にメランコリックな荒涼叙情を封じ込めたトレモロ・リフと凄絶な激烈ブラストが渦巻く邪まなアンダーグラウンド・サウンドは、Thebon (vo) の悲愴なる濁声シンギングに詰め込まれたキャッチーともいえる旋律感によって、非常に聴き易い形へとオプティマイズ。 硬派な潔さを発するギター・オリエンテッドな音像をベースとしながらも、ここぞの効果的なオーケストラル・アレンジやアーティスティックな緩急が生む、アースシーの幽玄なる太古の光景を目前に浮かばせる劇的な民族テイストの印象強さも◎だ。

この手のバンドでは珍しい各プレーヤの個性的なプレイアビリティの高さも大きな魅力で、ドラマティックな構築美を描く変幻自在のリフ・ワークとクラシカル&エモーショナルな泣き系ソロ・ワーク (#6 “Escape the Union”, #9 “Ascendant” は激ヤヴァ) を両立させる天才肌のリーダー Obsidian C. (g,syn/SATYRICON(Live Member))、そしてアンビリーバブルな激速バスドラを常時繰り出しながら心地好いグルーヴをもコントロールする超絶鬼神ドラマー Vyl さん (何故かさん付けしたくなるwww) の2人の存在感はあまりにも強力。

それにしても・・・4人ともイケメン過ぎ。(羨) もし来日でもしたら AMORAL ん時のようなことになるなきっと。(^o^;
 (Jul, 01, 2008)

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MOON MADNESS 90
All in Between (2008)

フィンランドはタンペレのメロディック・ハード・ロック・バンド MOON MADNESS の1stフルレンス・アルバム。

“女神の二の腕”を持つむっちり美女シンガー Heidi Bergbacka 嬢 (マヂで結構好みデス/照) をフロントに立て、かつての ALYSON AVENUE や最近のところでは AGNES に通じるキャッチーな北欧ハード・ポップ/ロックを展開しているんだけど、バック陣によるアレンジメントが何故かハモンド鳴り捲りの DEEP PURPLE 系70年代風味ガッツリってところがMYツヴォにハマり過ぎでヤヴァい。

その特徴的なオルガン・サウンドを操る鍵盤奏者 Turkka Vuorinen (key/ex-DREAMTALE) のプレイに呼応するように、ギタリスト Otto Hallamaa もイイ感じに指が引っ掛かり系の Ritchie Blackmore 直系なエモーショナル・プレイを連発する様も美味しい・・・って、この感触ってフィンランドっつーよりスウェーデン産のバンド的だよなホントに。

全編悶えドコロ満載なんだけど、現代フィンランドのバンドらしいクリアなメランコリアと70年代テイストが融合した #7 “Ain’t No Angel”、バンド名の由来はやっぱ CAMEL なの?と考えさせられるムーディなバラード #8 “Victims of the Moon”、そこから一転してハモンド&ギターがバトるエキサイティングな疾走チューン #9 “Thunder”、そして Ritchie 度高し!(笑) のアラビアンな終曲 #10 “On the Edge of Madness”・・・ってな終盤の盛り上がりは特にタマランです。

 (Jul, 01, 2008)

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OPETH 90
Watershed (2008)

ここ数年の OPETH の大きな躍進を支えた Martin Lopez (dr), Peter Lindgren (g) 両名が離脱するという大きな危機を、Martin Axenrot (dr/BLOODBATH, WITCHERY), Fredrik ?kesson (g/KRUX, ex-TALISMAN, ARCH ENEMY, etc.) を後任に迎えて乗り切らんとする転機の9thアルバム。

メロウだ。 これまでの作品同様、グロウルやブラストを孕みながらアグレッシヴに混沌を極める変態パートをガッツリと配しながらも、女性シンガー Nathalie Lorichs 嬢の廉潔なゲスト歌唱をフィーチュアしたオープニングのアコースティックな叙情チューン #1 “Coil” から涌き出る穏やかな印象が最後まで続く。

そんな風に、本作には暗黒の中に狂性を渦巻かせる「僕らの OPETH」の姿はなく、来たる日本公演の最前列に自称コアメタラーな北欧大好き女子軍団を陣取らせるだろう、恐ろしいまでの甘美さが強く主張している。 ・・・が、その日和ったかの甘ったるささえもヤヴァいほどに魅力的なのが OPETHOPETH たる凄みだ。

その最たる極みが、レトロ・バラード #4 “Burden” の存在。 Per Wiberg (key/SPIRITUAL BEGGARS) のインプット満載な70年代プログレHR風味の中、Mikael Åkerfeldt (vo,g) が眉尻を完全に八の字になりっぱなしにしてる感じでオッサンの色気全開のクリーン・ヴォイスで迫り、エンディングでは MikaelFredrik が泣きソロ合戦を繰り広げるうちに、その旋律は美麗なハーモニーへと溶けてゆく・・・か、完璧やん!(泣)

と、甘口に洗練された今の OPETH もメッチャ堪能できるわ。 初期のアノ味わいが恋しければ、その当時の彼らの名作群を聴けば何の問題もなくコトが足りるしね。

 (Jul, 14, 2008)

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TODESBONDEN 89
Sleep Now, Quiet Forest (2008)

米ヴァージニアのゴシック・メタル・バンド TODESBONDEN の1stフルレンス・アルバム。

ピアノ、フルート、ヴァイオリンが織り成すフォーキー&クラシカルなアンサンブルに、アダルトなダイナミズムを発する老獪なメタル・パートが絡み、そこに Laurie Ann Haus 嬢 (♀vo/AUTUMN TEARS, ex-RAIN FELL WITHIN) のソプラノ歌唱がエンジェリックに舞い降りる。 そうして紡がれるドリーミングなダーク・ワールド・ミュージックは、まるで Loreena McKennitt の世界を THE 3RD AND THE MORTALDARK SANCTUARY の中間あたりのスタイルで再構築したような、魅惑の異世界を瞼裏に浮かばせる。

それにしても、Laurie 嬢の歌唱が素晴らしい。 そのプロフェッショナルなクリアネスが澄み渡る静謐なるアトモスフィアの心地良さはマヂ絶品で、弾く時はちゃんと弾くギタリストを中心にプログレッシヴなドラマティカを見事に司るメタル・パートの登場頻度が少ない物足りなさを、完全にカヴァー。

今のところ、今年聴いた女声ゴシック系の中では最もビビっと来てるかも。カナーリ気に入ったデス。

 (Jul, 14, 2008)

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