6月2009
ADAGIO 84
Archangels in Black (2009)

超絶マエストロ Stéphan Forté (g) 率いるフレンチ・プログレッシヴ・メタル・バンド ADAGIO の4thアルバム。

本作ではシンガーを Christian Palin (RANDOM EYES) にチェンジすると共に Stéphan の北欧シンフォニック・ブラック・メタル趣味をさらに明確に増進し、メロディック・メタルの境界線付近で背徳の暗黒耽美色をドラマティックに描く、ハイブリッドな進歩を感じさせる一作となった。

ただ、StéphanKevin Codfert (key) によるセンス溢れる妙技をメインに構築された各曲が劇的な起承転結に包まれているのに、アルバム全体を俯瞰しようとすると、なぜかやや平坦な感触が強まってくる。 また、難易度の高い複雑なアンサンブルを具現化するために、バンド・サウンドならではのグルーヴ感がやや薄まってしまっているのも気にかかるな・・・。

・・・てな感じに、期待が非常ぉーーーーーに高いだけに、どうしても要求も高くなっちゃいますな・・・。

 (Jun, 15, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

AMBERIAN DAWN 91
The Clouds of Northland Thunder (2009)

フィンランド産シンフォニック・メタル・バンド AMBERIAN DAWN の2ndアルバム。

女性シンガー Heidi Parviainen 嬢 のフェミニンなソプラノ・ヴォイスを軸に展開する、初期 NIGHTWISH をネオ=クラシカル方向にググッとシフトさせたスタイルの流麗ドラマティック・メタルは、デビュー作を遥か上回る充実度。(嬉)

#2 “Incubus”, #5 “Shallow Waters”, #10 “Lionheart” という素晴らしい疾走曲群に加え、インパクト抜群の好オープニング・チューン #1 “He Sleeps in a Grove”、キャッチーな哀感が切ない #3 “Kokko – Eagle of Fire”、3連リズムの王道ネオクラ魂が炸裂する #8 “Saga” など聴きどころ満載の楽曲は、殆どの曲が3~4分台というコンパクトさは相変わらずながら、端々から仄かな民謡フレーバーを漂わせる印象的なメロディの質の向上とそれを生かすダイナミックなアレンジの深化が短さを全く感じさせない濃密な時間を提供してくれる。

前作ではギターを担当していた中心人物 Tuomas Seppälä (ex-VIRTUOCITY) が本来のキーボードに専念し、ギター・パートは Kasperi Heikkinen (g) が担当しているが、彼による悶絶プレイが(冷静に聴けばフィンランドらしい平坦さはあるものの)イイ感じにMYネオクラ魂を刺激するですよ。 いわゆる「北欧の水晶の如き透明感」を、今、最も体現しているバンドかと。

ちなみに、本作収録後に若き超絶シュレッダー Emil “Emppu” Pohjalainen (g) が加入したとのことで、今後の作品も一層楽しみッスな~。

 (Jun, 16, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

BLACK MESSIAH 90
First War of the World (2009)

ドイツの6人組フォーク/ヴァイキング・メタル・バンド BLACK MESSIAH の4thアルバムは、戦争と死を司る最高神 Odin を語り部に北欧神話“エッダ”の世界を描くストーリー・アルバム。

デス/ブラックなエキサイトメントの中でヴァイオリン、ホイッスル、マンドリン、ハープを駆使したフォーキーなクサメロが悶々と乱舞する至高のスタイルを維持しつつ、これまでの EQUILIBRIUM 的なキラキラ感を抑える反面 SUIDAKRAEINHERJER にも通じるシリアスな武骨さを強く発揮し始めたその“本格派”な手触りに、MYヴァイキング魂は炎上しっぱなし。

英語とドイツ語をスイッチしながら詠われる神々の壮絶な戦いは、随所にナレーションやS.E.を挟みながらスケール大きく展開される超ドラマティックな佇まい。 しかしながら個々の楽曲を取り出してもそれぞれが個性的なフックを備えているのが心強く、フォーキーな哀愁全開の #3 “Gullveig”、シャキィーーーンッ!ってな剣の音に導かれて始まる様に既に悶絶の #6 “Vor den Toren Valhalls” らから漏れ出す名曲オーラには悶えるばかり。

いや~何度聴いてもいいです。 紛れもなくバンドの最高傑作であり、今年のフォーク/ヴァイキング系を語るに欠かせない傑作スね。

 (Jun, 19, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

CRYSTAL VIPER 89
Metal Nation (2009)

ポーランド産ピュア・メタル・バンド CRYSTAL VIPER の2ndアルバム。 前作で「“完全に超 Spiritual Beast タイプ”(苦笑) な逸品」と書いたとおり(?)、本作はそのスピビーからのリリースwww

紅一点の看板美女シンガー Leather Wych こと Marta Gabriel 嬢 による Doro Pesch (ex-WARLOCK) をワイド・レンジにしたかの強靭なハイトーン・スクリームが判り易いクサメロを歌い上げる、ジャーマン・メタルな硬質エッジとU.S.スピード・メタル的な疾走感を戦わせながら IRON MAIDENMANOWAR、そして極初期 HELLOWEEN ら伝統的バンドの名を浮き上がらす楽曲群は、前作同様にまさにヘヴィ・メタルど真ん中。

イントロ #1 “Breaking the Curse” に導かれて爆走する #2 “Metal Nation”、サビのジャーマン系漢コーラスに胸が躍る #5 “The Anvil of Hate”、勇猛なエピック・ミドル #9 “Gladiator, Die by the Blade” そして本編ラストで爆発する名曲カヴァー #10 “Agents of Steel” まで、全編、燃え滾る拳を熱く握り締めてヘドバンヘドバンまたヘドバンの至福のメタル・タイムを過ごすことができる。

Manni Schmidt (g/GRAVE DIGGER, ex-RAGE), Lars Ramcke (vo/STORMWARRIOR), Frank Knight (vo/ex-X-WILD) らがゲスト参加・・・ってどんな暑苦しい顔ぶれだ。(苦笑)

 (Jun, 16, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

DREAM THEATER 88
Black Clouds & Silver Linings (2009)

プログレッシヴ・メタル・パスファインダー DREAM THEATER の記念すべき第10作目。 前作 “Systematic Chaos” は一部の曲を除いて非常に散漫な印象だったけど、今回はその残念さを払拭するようにかなりイイんじゃないのコレ!?

本編の75分という長丁場を構成する今回の6曲(うち4曲が10分超)は、いきなり16分に亘ってダークなドラマティカを炸裂させる #1 “A Nightmare to Remember”、前4作に亘って“The Glass Prison”“This Dying Soul”“The Root of All Evil”“Repentance” とストーリーを重ねてきた組曲 “Alcoholics Anonymous Suite” の最終章となる #4 “The Shattered Fortress”、頬が綻ぶ RUSH テイストと泣っき泣きのエンディングのコントラストがタマラン Mike Portnoy (dr) が亡き父に捧げた #5 “The Best of Times” など、どれも長さを感じさせない必然的な造りとキャラ立ちの強さが好印象で、アルバムとしての曲順の流れも秀逸。

残念ながらここ数作で顕著だったバンドとしてのケミストリーの希薄化はここでも止まっておらず、音からも “Portnoy & Petrucci Band” (笑) の様相がはっきりと伝わってくるほどになっているが、今回は John Petrucci (g) によるネオ=クラシカル側に強く傾倒した鬼神プレイの大きな充実が、その残念さを見事に帳消しにしているのが嬉しい。 Mikey の“ジャイアン・ラップ”(苦笑) もバンドの風物詩だと思って慣れちゃえば大丈夫だしね。(^-^;

おまけ(?)のカヴァー集 DISC-3 も、RAINBOW, QUEEN, DIXIE DREGS, ZEBRA, KING CRIMSON, IRON MAIDEN という絶妙なのか外し気味なのかよくわからない(苦笑) DREAM THEATER らしい選曲で楽しめる。 中でも QUEEN メドレーでの James LaBrie (vo) の歌いっぷりは、本編で聴けるどのテイクよりも見事。 前出の“ケミストリー”やバンドの地力は(収録された時期の関係もあると思うけど)、このカヴァー集からの方が強く感じ取れるような気がする。

 (Jun, 28, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

RAVEN 86
Walk Through Fire (2009)

英国が誇る愛すべき馬鹿メタル・トリオ RAVEN の12thアルバム。

約9年前に前作がリリースされて以来、Mark Gallagher (g) の怪我やそれをおしての活動の様子が断片的に伝えられるだけの時期が続いていたが、こうして充実の新作が届けられ、さらには14年振りとなる奇跡の再来日公演までもが先日実現して嬉しい限り!

John Gallagher (vo,b) が手抜き一切ナシの全力スクリームを轟かせるハイ=エナジーなメタル’n'ロールは、初期のテンションの高さを取り戻した感のあるまさに“アスレチック・メタル”な風合い。 先日のライヴでも演奏されたドライヴィング・チューンズ #3 “Breaking You Down”, #5 “Walk Through Fire” は、今後も代表曲としてプレイされ続けられていくだろう出色の出来だ。

いやしかし、こないだのライヴは本当によかったねぇ・・・。(感涙)

 (Jun, 15, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

WOLF 88
Revenous (2009)

スウェーデン産ピュア・メタル・バンド WOLF の5thアルバム。

前2作はなーんだか妙なスマートさが気になってイマイチ響いてこなかったんだけど、今度のはキテますわ! プロデューサーに名人 Roy Z を迎えた効果か、バンドに遺伝レベルで組み込まれている IRON MAIDEN 要素に加えてこれまで仄かに漂わせるに留まっていた MERCYFUL FATE 風味の妖しさまでもを一気に表層に浮き立たせ、準メジャー級の風格と共に「今のメタル」として再構築することに見事に成功。

ツイン・ギターを主体としたN.W.O.B.H.M.インフルエンスの古風なストラクチャーの中、シンプルながらアイデアを練り込んだリフとシンガロングを誘うタフなメロディで鍛えられたダイナミックな楽曲の数々は熱いパッションを発しまくりで、印象的な好オープニング・チューン #1 “Speed On” からしてステージ前に激しく波打つヘドバンの荒海が目に浮かぶよう。 ライヴ感溢れる生々しいパワーが生む、BPM的な数値速度に頼らぬ実速度以上の疾走感がスゲー気持ち良い~。

Hank Shermann (g/MERCYFUL FATE, FORCE OF EVIL, etc.), Mark Boals (vo/ROYAL HUNT, ex-YNGWIE MALMSTEEN, etc.) がゲスト参加。

 (Jun, 19, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes

YNGWIE MALMSTEEN 70
Angels of Love (2009)

“王者”Yngwie Malmsteen による、これまでの作品からピックアップしたメロウ・サイドの楽曲をアコースティックにリ・アレンジして再録(+新曲1曲)したインストゥルメンタル作。

スピード/スリルと共に Yngwie の比類なき魅力を形成する「叙情的な泣き」の側面を追求するという意味では非常にそそられる企画ではあったんだけど、実際に聴いてみると・・・うーん、なんかすげーBGM的・・・。

どの曲もアコースティック化することによって元々の感傷的なメロディが更に浮き立ち、Yngwie のメロディ・メイカーとしての才能を改めて再認識させられるんではあるけど、アルペジオをはじめとするアレンジの手法が極めてワンパターンなせいか全体的に抑揚に乏しい感じ。

オリジナル・アルバムの中でも感じられてきた「静の Yngwie」の魅力は、ファストに弾きまくる姿とのコントラストがあって初めて生きてくる・・・ってことですかね。

 (Jun, 19, 2009)

Buy this album via Amazon   Download MP3 via Amazon   Buy this album via iTunes