5月2010
BARREN EARTH 95
Curse of the Red River (2010)

初期 AMORPHIS のベース・プレーヤーだった Olli-Pekka Laine (MANNHAI, ex-CHAOSBREED) を中心に、Mikko Kotamäki (vo/SWALLOW THE SUN, ALGHAZANTH, ex-ENTER MY SILENCE, FUNERIS NOCTURNUM), Janne Perttilä (g/MOONSORROW Live Session Member), Sami Yli-Sirniö (g/KREATOR, WALTARI), Kasper Mårtenson (key/ex-AMORPHIS, MANNHAI), Marko Tarvonen (dr/MOONSORROW, ARTHEMESIA, THY SERPENT, OCTOBER FALLS, CHAOSBREED) らが結集し、「フィンランドの裏スーパー・バンド」的な様相を見せるドゥーム/ゴシック・メタル・バンド BARREN EARTH の1stフルレンス・アルバム。

いや〜これが凄い! AMORPHIS 直伝の荒涼としたメランコリーに OPETH の香りを匂わせる幽玄なダークネスが融け合い、そこにさらにメンバーとして名を連ねる歴戦の勇者達それぞれに流れる黒き血潮が染み込んでいくという辛抱タマラン方向性の楽曲が放射するいかにも北欧らしい極限の暗黒美、そして死臭漂う川底からサイケデリックに拡散する70年代アンダーグラウンド系ハード/プログレッシヴ・ロック風味・・・あまりにも・・・あまりにも美味しすぎる。(悶)

ディープなグロウルとノーマル・ヴォイスを巧みにスイッチしながら鬱気をコントロールする Mikko、そしてそれを支えるように心に突き刺さる叙情フレーズを終始紡ぎ続ける SamiJanne の冷気と熱さを兼備するギター・ワークも本作の重要な魅力には間違いなくが、やはりキーマンは鍵盤奏者 Kasper Mårtenson その人だろう。 メロトロンやアナログ系の音色によってプログレッシヴに彩られる空間に、かつて彼が参加した AMORPHIS の名盤中の名盤 “Tales From The Thousand Lakes” に漂っていたものと同種の粒子が充満する様子には嬉しさを隠せない。

個々の楽曲の充実度もハンパなく、曲中に登場するゲストの Erno Haukkala による JETHRO TULL 的フルートに瞬殺のオープニング・タイトル・トラック #1 “The Curse of the Red River” から、叙情フレーズをダイナミックにドライヴさせるパワー・チューン #5 “The Leer” らを経てラストを劇的に締め括る泣っき泣きのドゥーム・バラード #9 “Deserted Morrows” まで、全ての曲がMY好みド真ん中♪

Travis Smithの手による雰囲気満点のアートワークも最高な、今年2010年を代表する一枚になるかと!

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DARE 86
Arc of the Dawn (2009)

THIN LIZZY のキーボード奏者 Darren Wharton (vo,key) 率いるアイリッシュ・メロディック・ロック/AORバンド DARE の約5年ぶりとなる6thアルバム。

穏やかなアコースティック・ロックがアイルランドの美しき大地に郷愁のメロディを広げていく DARE 独特のスタイルは、本作でもしっかりと健在。 今回もまた、初期から考えると相当マターリし過ぎなヌル〜い柔和さに支配されてはいるんだけど、それでもやはり Darren の渋いアダルト・ヴォイスとケルティックな旋律美からダダ漏れする憂いを帯びた哀感ったら、これでもかと心に染み入ってくるんですよ。(悶)

これまでエモーショナルなプレイで聴く者を魅了していた名手 Andrew Moore (g) が脱退したことで心配されたギター・パートは、音色/プレイ共に Andrew に勝るとも劣らぬセンスを見せ付ける後任の Richie Dews (g) の健闘により大きな穴はなし・・・どころか、前2作以上にウォームな泣きのギターが大きくフィーチュアされる結果になっているのは嬉しい誤算だ。 その Richie の味わい深い極上プレイをフィーチュアした #2 “Shelter in the Storm”, #9 “Still Waiting”, #11 “Circles” あたりがガッツリと名曲フラグを立たせまくっていることから、今後への期待も大きく募るしね。

#4 “King of Spades”, #5 “I Will Return” の2曲は 1st “Out of Silence” 収録曲のセルフカヴァー (後者は旧曲名 “Return the Heart”) 、そして CHEAP TRICK#8 “The Flame”THIN LIZZY#6 “Emerald” という2曲の名曲カヴァーも収録。

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DIABLO SWING ORCHESTRA 87
Sing-Along Songs for the Damned and Delirious (2009)

スウェーデンのアヴァンギャルド・メタル・バンド DIABLO SWING ORCHESTRA の2ndアルバム。

昨年(2009年)9月に米アトランタの ProgPowerUSA で何の予備知識もなく彼らのショウを体験し、その予想もしなかったド素晴らしさに感激して終演直後に物販にダッシュしてゲットしたのがコレ。(2006年リリースの1st “The Butcher’s Ballroom” も併せてGET)

そのサウンドは「独特」という二文字ではとても表現し得ない程にあまりにも独特だ。 太っ腹な看板女性シンガー Ann-Louice Lögdlund 姐さんの「完ッ全に本物」なオペラ歌唱とダンディな男声が絡むのは、専任チェロ奏者とゲストのホーン・セクションがジャジーに攻めるまるで戦前のダンスホールやナイトクラブにタイムスリップしたかのヴォードヴィル風味満点のヘヴィ・メタル。 冒頭に記した ProgPowerUSA でのショウを観てる間は勝手に「上海バンスキング・メタル」(笑)って呼んでたけど、俺的にはやぱそれが最もしっくり来る喩えかも。

アグレッシヴな「ダンサブル軍歌」(ナニソレw)とでも呼べそうなインパクト絶大の #7 “Vodka Inferno” をはじめとするオンリーワンな個性を発しまくる楽曲が並ぶ本作、なんつーか・・・上手く言えないんだけど、スタイリッシュなヲサレ感を強く漂わせるジャジー&ムーディな旋律&リズムとその中にしっかりと埋め込まれた(エクストリームですらある)メタルならではのエキサイトメントとの相乗効果のおかげで、聴いてると身体が自然に変な動き方するんですわ。(汗)

ちなみに今年(2010年)に入ってドラムの交代劇があり、新ドラマーは元 THERIONPetter Karlsson とのこと。

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DREAM THEATER 84
Uncovered 2003-2005 (2009)

2003〜2005年の間に録られたカヴァー曲を集めたオフィシャル・ブートレッグ。

ツボを突きまくる見事な選曲センスでセレクトされたのは以下の10曲。
1. Death on Two Legs (QUEEN)
2. Heart of the Sunrise (YES)
3. Heaven and Hell (BLACK SABBATH)
4. Paradox (KANSAS)
5. Mother Father (JOURNEY)
6. Machine Messiah (YES)
7. Since I’ve Been Loving You (LED ZEPPELIN)
8. Diary of a Madman (OZZY OSBOURNE)
9. Cemetary Gates (PANTERA)
10. Won’t Get Fooled Again (THE WHO)

時折、鍵盤とベースから原曲に対するリスペクトが感じ辛い場面もあれど(苦笑)、「カヴァーだからこそ」存分に伝わってくる Mike Portnoy (dr) と John Petrucci (g) の凄みはハンパない。  特に #7 “Since I’ve Been Loving You” での Petrucci のエモーションの爆発はマヂヤヴァい!

その反面、James LaBrie (vo) の細めの声色はどうもどの曲にも合っていないような・・・。 声質/唱法が特徴的なだけに原曲との差異が気になるのか、もしくは俺自身が昔は大好きだったハズの LaBrie の歌がここんとこ全ッ然好みじゃなくなってきたのか・・・たぶん後者です。はい。(苦笑)

そんなこともあって、収録曲の中でも最も気に入ってるのは、Russell Allen (vo/SYMPHONY X) と Burton Bell (vo/FEAR FACTORY) 両名がヴォーカルで(+ Dave Mustaine (MEGADETH) がギターで)参加する PANTERA の名曲 #9 “Cemetary Gates”。 原曲のアグレッシヴかつメロディックな特徴を上手く DREAM THEATER のフィルタで処理した好カヴァーですな。

ってゆーか、#1〜#5はライヴ前のサウンドチェック時に、#6〜#10はライヴ本番にて収録されたテイク・・・って、生演奏で(後で各所を修正しているにしろ)このクオリティの高さはどう考えても異常w。

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ELYSION 85
Silent Scream (2009)

ギリシャ出身の4人組ゴシック・メタル・バンド ELYSION のデビュー作。

妖艶なエキゾチック美女シンガー Christianna 嬢を看板に据えてゴシカルなダークネスをメジャーなドライヴ感で包み込んだ魅惑のフィメール・ゴシックは、LACUNA COILEVANESCENCE 譲りのヘヴィなモダンニズムに加え WITHIN TEMPTATION に通じる優美で気高いしなやかさをも高次元で備えた楽曲を MADONNA らトップ・アーティストの数々を手掛けてきた世界的エンジニア Ted Jensen の手による完全にメジャー級のプロダクションが支える、「ギリシャからの新人」らしからぬハイスペックなもの。

とにもかくにも曲がいい! EVANESCENCE 色がやや強くも印象的な歌メロが耳から離れない #2 “Killing My Dreams” をはじめ、「可憐な悪女」とでも呼べそうな独特の存在感を発する Christianna タンの艶やかに伸びる美声、そしてそれで歌われる愁いたっぷりのメロディが司るフックの連続が漂わせる風格と質の高さには、ただただ驚愕するばかりだ。

キャッチーかつコンパクトな曲中に“ロック”なアクセントをマークする、中心人物 Johnny Zero (g,key,programming) による熱さ滾らすギター・ソロ・パートの存在もイイ感じ。 印象的なアートワークも含め、ダークに燦く華に包まれた魅力的な一枚デス。

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FOREST STREAM 88
The Crown of Winter (2009)

2本のギターと女性キーボーダーを擁するロシア産6人組シンフォニック・ブラック/ドゥーム/ゴシック・メタル・バンド FOREST STREAM の2ndアルバム。

ポンプ・ロック的な朴訥ノーマル・ヴォイスが響くダークなドゥーム/ゴシック色、そしてその静寂の傍らでブラック・メタルの暴虐さが絶叫を伴って蠢くという激ドラマティックな装いの楽曲群は、暗雲立ち込めるバレンツ海を照らさんが如く水面に広がるアンビエントなキーボードの輝度高い煌めきが特徴的。

イントロ/アウトロを除くと7〜11分台(多くは9分台)という大作主義を貫く初期 KATATONIA meets EMPEROR といった塩梅の雄大なサウンドのクオリティは出身国のイメージを覆すほどに非常に高く、壮麗な暗霧の中で陰鬱ドゥームとダーク・ブラックがお互いを融解しあう様から漏れ出す美しさには息を呑まんばかり。

スローに沈み込む沈痛な暗黒美に EMPEROR 色の強いアグレッションをカウンターとして効かせる佳作 #4 “Bless You to Die”, #6 “The Seventh Symphony of Satan” らが放射する狂おしきダイナミクスにもうクラクラですわ。

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GOTHMOG 86
A Step in the Dark (2009)

スペインのメロディック・ブラック・メタル・バンド GOTHMOG のデビュー・アルバム。

ブラックな爆走と正統派メタル風味の劇的旋律を程よくミックスしたスタイルは、DARK FUNERALNAGLFAR の中間あたりに位置すると思える感触で、激ファストに叩き込まれる暴虐なリズムの地盤の上で甘すぎない美メロがシンフォニックな鎧をまとって乱舞する様子は「一聴必殺」なドえらいカッコよさ。

ヴォーカル、ギター(2人のうちの1人)、キーボードの3名がメロディック・パワー・メタル・バンド CAIN’S DINASTY のメンバーでもあるということでソッチ系にも通じる判り易いメロディ&ドラマティカが配されているのが強みだと感じる一方、そんなパワメタ人脈であること+スペイン産という地理的条件にも関わらず、意外なほどに本場北欧ブラック・メタルの暗く寒々しい空気感を含めることに成功しているのが凄い。 特に シンガー Pikaath こと Rubén Picazo López の、CAIN’S DINASTY でのメロスピハイトーンからは想像もつかない邪悪なグリム・ヴォーカルのそれっぽさは、同一人物の歌声とはにわかに信じ難いほどだ。

大仰なクサメロを終始疾走させ続ける悶絶ファスト・ブラック・チューン #9 “Art of War” はキラー!

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HOLYHELL 84
Holyhell (2009)

グラマーな体躯のアメリカン美女シンガー Maria Breon 嬢をフロントに立てる米ニューヨークのパワー・メタル・バンド HOLYHELL の1stフルレンス・アルバム。

2007年春に独ミュンヘンでショウを観た時に、ドラマーが元 MANOWARRhino さん (FORGOTTEN REALM, ANGELS OF BABYLON) で鍵盤も MANOWAR をサポートする Francisco Palomo、そしてMagic Circle Music所属・・・ってな先入観も手伝ってかなーり大味なアメリカン・メタルな印象を受けてたので、本作の随分と本格的な欧風シンフォニック・メタル風の仕上がりには大きく驚かされた。

いやよく聴けばやっぱり確かに大味なんだけど(汗)、Maria 嬢のパワフルに伸びる歌声が呼び込む米産バンドならではの骨太なキャッチーさと元レーベルメイト RHAPSODY OF FIRE 譲りのシンフォニックなエピック・テイストとを力技で撹拌した劇的サウンドは、意外にも(失礼!)惹かれる部分多し。

その一つとして外せないのが、ギタリスト Joe Stump の存在だ。 Joe Stump・・・そう、かつて“C級 Yngwie クローン”として名を馳せていた彼! いや〜人間ってものは成長するもので、以前の彼のプレイを支配していた「粗さ」を「エモーショナルなエネルギー」へと転化させた現在のプレイは、昔の悪印象を消し去る程にイイ感じ。 元々、プレイの方向性としてはコッテコテな本流ネオ=クラシカル志向だった人だけに、本作の随所で聴けるいわゆる“メロスピ的ピロピロ”とは一線を画す「まともなネオ=クラシカル・パート」は、ネオクラー的には非常に高ポイントです♪

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KALMAH 89
12 Gauge (2010)

Pekka (vo,g), Antti (g/ex-ETERNAL TEARS OF SORROW) の Kokko 兄弟率いるフィンランド産メロディック・デス・メタル・バンド KALMAH のこの6thアルバムは、若干小粒にまとまった感のあった前作の印象を払拭する会心の出来。

美麗なるアグレッションをタフ&スラッシーに爆走させる #1 “Rust Never Sleeps”#2 “One of Fail” という序盤の流れからして、名作 4th “The Black Waltz” を思わせる逞しい質感が見事に回復! その後も、Pekka の獣性たっぷりのグロウルとジャキジャキとささくれ立ったブルータリティが怒涛のように押し寄せるフィジカルな攻撃性と、Antti の技巧派クラシカル・ギターに Marco Sneck (key/POISONBLACK, ex-CHARON, REFLEXION) が漂わすゴシカルな冷気が絡んで生み出す寒々しい旋律美とが渾然一体となって迫り来る音塊の前に、この身はブザマに震えるのみだ。

後半の、極北の悲愴ブラスト渦巻く慟哭大爆発な #7 “Godeye” からフォーキーなイントロを経て「KALMAH 節全部入り」なタイトル・トラック #8 “12 Gauge” へと雪崩れ込むカッコ良さも最高〜。

KALMAH は2002年のWackenで一度観てて、その時も予想してたよりも肉感的なパフォーマンスに驚かされたんだけど、現在のアグレッシヴなスタイルでのライヴも是非体感してみたいなぁ。 また観る機会が訪れますように・・・。(祈)

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KNIGHT AREA 79
Realm of Shadows (2009)

オランダ産プログレッシヴ/ポンプ・ロック・バンド KNIGHT AREA の3rdアルバム。

1stの感想として書いた「GENESIS の寓話的な空気感、CAMEL の大人びた泣き、そして PENDRAGON のポンプな牧歌風味を KAYAK のキャッチーさで仕上げたかのよう」というスタイルは本作でも健在。 壮麗なシンセの波が穏やかな旋律を運ぶ傍ら、時折顔を出す緩めの変拍子パートがダークなスリルを彩ったりもする円熟の音像は実にダイナミックで、淡い泣きを伴った美メロがたおやかに広がる様にマターリと身を浸すという、心地好い「ユーロ叙情シンフォ・タイム」が楽しめる。

ただ、サウンドと雰囲気の良さ的には1stから随分とグレードアップしていると思えるものの(2ndは未聴)、個々の楽曲のフックに関しては随分と弱くなっちゃった印象。 ASIA 風味のキャッチーさを備えた #8 “A Million Lives” はイントロからしてビビッとくる佳曲なんだが・・・全体的にはちょっと“渋さ”が目立つかもなぁ。

それでもなお、オランダ産にもかかわらずなぜか全編で漂わせている“東欧っぽさ”は充分に魅力的ではあるんだけどね。

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LYRIEL 82
Paranoid Circus (2010)

♀シンガー Jessica Thierjun 嬢と♀チェロ奏者 Linda Laukamp 嬢(2ndヴォーカル的な重要コーラスも担当)の二人の美女プレーヤが専任ヴァイオリン奏者を含む5人の野郎どもを従える、ドイツの7人組ゴシック・メタル・バンド LYRIEL の3rdアルバム。

BLACKMORE’S NIGHT 的なジプシー調トラッド風味とドタバタ気味なメタル・パートがお互いを牽制しながら不思議な融合を果たしていた前作は、ややチープな装丁をも魅力へと転化させたドリーミングなフォーク色が美味しかったが、今回はそこに優雅な王道ゴシック・メタル・テイストを大幅に付加。 サウンドのクオリティも随分とUPし、一聴してバンドの「成長」を実感することができる仕上がりになっている。

前作と比べて牧歌的な土着感はやや薄まり、場面によってはモダンな感触すら浮き立たているものの、それでもなお猛威を奮うフォーキーな叙情旋律に Jessica 嬢の魅惑の純朴ナチュラル・ヴォイスが寄り添う姿は、「哀愁派フォーク/ゴシック・メタル」として充分に味わい深く楽しめる。

ただ・・・前作の “My Favourite Dream” に相当するようなキラー・チューンは見当たらなかったりするんだよなぁ・・・。(惜)

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OPERA MAGNA 92
Poe (2010)

ツインギター+キーボードを擁する7人からなるスペインはヴァレンシアのメロディック・パワー・メタル・バンド OPERA MAGNA の2ndアルバム。

クサメロ満載だった2006年のデビュー作の好盤っぷりが次作への期待を駆り立てていたが、ここに届いた本作は・・・その期待を遥かに超える尋常じゃないクサさに包まれた凄まじい仕上がりに!(嬉) そのシンフォニックな装いの超ドラマティック・メタルは RHAPSODY(あえて OF FIRE は付けないぜ!)や DARK MOOR の系列に並ぶ華麗な疾走感を打ち出したものだが、巻き舌スパニッシュ・ハイトーンが呼び込む魅惑の辺境色、そして要所で展開のキーとして機能する「メロスピのピロピロ」とは一線を画す潤い高きネオ=クラシカル・ギター・プレイの妙味はこの OPERA MAGNA 独自の味わいだ。

シンフォニックなイントロに導かれて爆発する超強力なスピード・チューン #2 “El Pozo Y El Pendulo” で凄絶に幕を開ける悶絶クサメタル・ワールドは、かの ATHENA が遺した名盤 “Twilight of Days” にも通じるナイーヴな優美さを蒼さ満点に漏らし続ける一方で、大きなヴィブラートと共にMYネオ=クラシカル欲を深く満たしてくれる泣きのテクニカル・ギターが SYMPHONY XADAGIO を思わせる整然としたプログレスを創出するという奇跡的なバランスがヤヴァいくらいに刺激的。

いやはや、ANCIENT BIRDS, DERDIAN, DELIRION らの健闘、RHAPSODY OF FIRE の復活、そして本作・・・今年のコレ系の充実は、マジ「XaMetal復権!」と叫んでもいいのかも? 試しにしばらく NWOBXM(ニュー・ウェイヴ・オブ・馬鹿馬鹿しいまでの・クサ・メタル)ってのを使ってみるかwww

ちなみに本作、怪奇/幻想作家 Edger Allan Poe の生涯を描いたコンセプト・アルバムとのことらしいんだけど、全編スペイン語で何歌ってるか全ッ然わからんので、その点はスルーでOKッすよね? (あ、国内盤には英訳が封入されてます)

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OPTIMYSTICAL 71
Distant Encounters (2009)

スウェーデン人ギタリスト Robin Vagh によるメロディック・ハード・ロック・プロジェクト OPTIMYSTICAL のデビュー・アルバム。

MAJESTIC, POLE POSITION, REPTILIAN 等で活動していたシンガー Jonas Blum を2曲に、その他全曲に地元のロック・シンガー Ronnie Hagstedt を配して、北欧臭強めのメロディアスなハード・ロックをプレイしている。

手作り感溢れるマイナーなプロダクションや有り得ん程に地味なリズムの相当な野暮ったさが激しく気後れを誘う一方で(汗)、全体を包み込む FORTUNE, ALIEN, TALK OF THE TOWN らに通じる仄かな様式色を孕んだ「北欧哀愁メロハー」ど真ん中なアトモスフィアはピンポイントで高い殺傷力を発揮・・・という、まさに北欧メイニア泣かせな一枚。

どこか SHY 風味な叙情的キャッチーネスが光る #2 “Happen”DEEP PURPLE の名曲 “Burn” へのオマージュを込めた(←なんて好意的書き方www)王道ハード #8 “In Our World” など耳を惹く佳曲も少なくないが、全体的には「これ全部どこかのアルバムのボーナス・トラック?」的な淡白さが・・・。

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SERPENTINE 88
A Touch of Heaven (2010)

SHY 〜 現 TNT の実力派英国人シンガー Tony Mills をフィーチュアしたUKメロディック・ロック・バンド SERPENTINE のデビュー作。

こ、これは・・・“初期 SHY 度”、メッチャ高いやんけ!(驚嬉) SHY 脱退後、様々なバンドやプロジェクトで歌い、先頃も CHINA BLUESTATE OF ROCK などハイペースなリリースが続いている Tony だが、本作にはその間に残されたどの作品よりも初期 SHY ファン(≒俺w)が Tony に求めるものが詰まっている。

当時の SHY と比較してしまうと、この SERPENTINE の方には JOURNEYTOTO に通じる都会的な洗練を強く感じることができるが、英国らしい湿った哀愁と決して煮え切ることのない微妙な爽快さが交互に顔を出す瑞々しい楽曲と、透明感に満ちたハイトーンを伸びやかに響かせる Tony の素晴らしい歌唱とのマッチングが生んでいる空気感は、まさに当時得ていた感触そのものだ。

俺を含め、永遠に Tony に初期 SHY の幻影を追い求めだろう頑固なファンの溜飲を下げること必至の納得の一枚かと!

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SUBWAY TO SALLY 83
Kreuzfeuer (2009)

ドイツの中世ロック/メタル・バンド SUBWAY TO SALLY の10thアルバム。

専任女性ヴァイオリン奏者 Frau Schmitt 姐御を擁してトラッド/フォークな風合いを創出するも、そのサウンドの骨格を成すのは都会的ですらあるモダンなソリッド感とエキゾティックだったりシンフォニックだったりするゴシック風味が交錯する、アダルトな現代的ロック・テイスト。

そんなヴァラエティに富んだメジャーな音像ながら、演奏陣のメタリックな手法と楽曲に仕組まれたドラマティックな技法、そしてカリスマ・オッサン・シンガー Eric Fish が母国語で語るように歌うそのダミ声から漂わすいかにもドイツらしい堅牢な威厳が、この SUBWAY TO SALLY を違和感なく「ドイツ産ヘヴィ・メタル・バンド」としても成立させているのが面白い。 そのあたりのバランス感覚は、共にジャーマン・リッター・ロック・シーンを牽引する IN EXTREMO と同じやね。

#3 “Besser Du Rennst” に代表される大衆的なキャッチさをメタリックなドライヴ感に乗せた「陽」の楽曲群にも身体を揺らされるけど、ゴス=ポップ・バンド EISBLUME の美女シンガー Ria 嬢 による可憐なイノセント・ヴォイスがヤヴァい重厚チューン #7 “Komm In Meinen Schlaf”、民族色強く哀愁を漂わす #8 “Angelus”、そして欧州慕情がアコースティックに揺れる #11 “Versteckt” ら「陰」サイドの曲が特に染みますな〜。

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TREAT 90
Coup De Grace (2010)

80年代北欧メタル・ムーヴメントの一翼を担った名バンド TREAT が約18年の時を超えて放つ超待望の6thアルバムは、長いブランクの存在など微塵も感じられない、まるで「“Organized Crime” の数年後に順当にリリースされた傑作」とさえ思える素晴らしい出来。(Mats Levin を迎えた5th “Treat” も結構好きだけどね)

再結成を果たした2006年にリリースされたベスト盤 “Weapons of Choice 1984-2006″ に収録されていた2曲の新曲、“I Burn for You”, “Go!” の想像を越えた出来の良さにビビったことを昨日の事のように思い出すが、あれから4年もの月日を経てようやくここに届いた復活フルアルバム・・・いやはや、先の2曲が霞むほどに粒揃いの楽曲がぎっしりと詰め込まれた充実の内容に、とにかく驚くしかないですわ。

初代シンガー Robert Ernlund による初期同様の青臭さを保つと同時に円熟の旨みも得た懐かしい歌声が流れ出す楽曲は、新たなメロディ構築のコツを完全に掴んだかのように現代的な新鮮味を伴ったキャッチーな旋律美を連発。 往年と変わらず多彩なヴァラエティを含有する楽曲スタイルの中、やはり耳を強く捉える #2 “The War is Over”, #4 “Papertiger”, #5 “Roar”, #8 “Skies of Mongolia”, #10 “I’m Not Runnin’” らの作品の中核を成すマイナースケールの「カッコいい系」の曲はもちろん、全編で聴けるその垢抜けたフックに漂う過去のそれとは少々異なる肌触りが、かの名ソングライター Desmond Child の作品群との共通点を感じさせている点が興味深かったり。

そして俺的には TREAT と言えば、以前から勝手に「世界で数少ない Michael Schenker の正当な後継者の一人」と言い続けている Anders Wikstrom (g)。 年輪を重ねて色艶を増したギター・トーンで奏でられるエモーショナルな劇的ソロ・・・18年前と同様に、激しく悶絶でございます。 ヤベー、今のライヴがスゲー観たい!

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TYR 91
By the Light of the Northern Star (2009)

ノルウェー西海岸とアイスランドの間に浮かぶデンマーク自治領フェロー諸島出身の4人組ヴァイキング・メタル・バンド、TYR の5thアルバム。

プログレッシヴな独自性を発する奇妙な展開、朗々と謳われるノーマル・ヴォイス、場違いな程にネオ=クラシカルな技巧派ギター・ワーク・・・それらが奔放に絡み合いながら淡々と土着的な風合いを描いてきたサウンドは、本作で大量のパワー・メタル・エッセンスを付与され驚きの大進化を遂げている。

これまで内面に向けて集積していたエネルギーを一気に外側に放射するよう方針転換を図ったかのような「解り易さ」を得た楽曲は、バンドがこれまでも強調してきた哀愁の詠唱ヴォーカル/コーラスが、往年の BLIND GUARDIAN を想わせる明快な高揚感を噴出させるようになったのが大きなポイント。 元々、他の多くのデス系ヴァイキンガーズほどアグレッシヴな手法を取っていないにも関わらず、出身地のイメージも手伝ってそれら以上に「真性」なヴァイキング・マインドを強く伝えてくる所がなんともユニークではあったんだけど、今回楽曲に取っ付き易さが加わったことでその伝わり方がよりダイレクトになった気が。

とにかく、冒頭いきなりテンション最高潮な強力オープニング・チューン #1 “Hold The Heathen Hammer High” からラストまで、各曲に置かれたたっぷりの歌いどころ/叫びどころに翻弄されながら自身をシンクロさせていくカタルシスがハンパなく気持ちイイ! 2007年のWackenに出た時は、W.E.T. ステージが大混雑で全く観られず悔しい思いをしたので、今年出演が決まってるWackenそしてProgPowerUSAでは万全の体制でヲーヲー歌いまくってくる所存です。

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