6月2010
DIABULUS IN MUSICA 85
Secrets (2010)

スペインのシンフォニック・ゴシック/パワー・メタル・バンド DIABULUS IN MUSICA のデビュー・アルバム。

紅一点の歌姫 Zuberoa Aznárez 嬢 (ex-DRAGON LORD) による可憐さと気高さを兼備した柔和なソプラノ・ヴォイスが美麗に舞い踊る、ドラマティックなシンフォニック・メタル。

クラシカルな気品に憂う重厚なプログレッシヴ・シンフォ・ゴシックが EPICAAFTER FOREVER 的な風合いを見せたかと思うと、SIRENIADELAIN らにも通じるモダニズムすら漂うキャッチーなドライヴ感を弾ませる・・・という、よく言えば幅広い、悪く言えば節操のないスタイルながら、決してパンチのあるタイプではないが相当な上手さであることが容易に確信できる Zuberoa 嬢の魅惑の歌声がなぞる充実のメロディとコッテコテの展開美が、全体を統一した色味で彩っている。

なぜか終盤、#9 “Ishtar” に始まって #11 “Beyond Infinity” をピークに、デスヴォイスを伴いながら壮麗なシンフォ・ブラック・テイストを劇的に打ち出しているが、それがまた CRYSTAL ABYSSTVANGESTE (懐かしい!) らのロシア勢を想い起さたりして決して悪くない感じ。

METAL BLADE には珍しいタイプのバンドでスペインの新人にしてはオーケストレーションもエライ頑張ってるなーと思ったら、Sascha PaethMiro が関わってんのね。なるほど。

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GALNERYUS 88
Resurrection (2010)

多くのファンに惜しまれながらバンドから離脱することになった YAMA-B (vo/AXBITES) の後任として 小野 正利 (vo/ex-FORT BRAGG) を正式加入させた新体制 (同時にベーシストも交代) で放つ、新生 GALNERYUS の待望過ぎるほどに待望の6thアルバム。

昨年5月のPURE ROCK JAPAN 2009@川崎CLUB CITTA’で「小野ネリウス」が初お目見えした時の大きな感動、そしてその後9月初旬の奇跡の正式加入アナウンスを経て行われたLOUD PARK公演の問答無用の素晴らしさ・・・それらが生み今日まで順調に育まれてきた多大な期待。本作はそれらに見事に応えてくれた起死回生の一作と言っていいだろう。

YAMA-B が発していた拳を握る熱さとは意を異にする小野の爽快感溢れるクリアなハイトーンの存在感は圧倒的で、メロディの推移を主体にドラマを展開させていく GALNERYUS のスタイルとの相性も、これまで2度のショウで証明されているとおりに◎。イントロに続く超強力なオープニング・チューン #2 “Burn My Heart” や先にDL配信された劇的チューン #10 “Destiny” に代表される激速疾走を効果的に配した高殺傷力の楽曲を背に、小野が「ミリオンヒットを持つ紅白歌手」らしい安定した巧さをもってどこまでも伸びるハイトーン・ヴォイスを天高く駆け巡らす様は、得も言えぬ快感を運んでくる。

楽曲に対するアプローチとして近作同様、初期のグローバルなネオ=クラシカル/シンフォニック・メタルへの傾倒からそれにこだわらない幅広いメロディアスかつテクニカルな魅力の追求へとシフトを強めているが、今回はキャラクタの異なるシンガーを擁する新布陣による「新章」ということで、むしろ前作よりも GALNERYUS らしい持ち味が感じられて違和感なしという結果に。

それよりも、現在の我が国でトップ・クラスに位置すべき先進メタル・バンドが、いくら元ハードロッカーとはいえどう贔屓目に見ても「現役メタラー」とは言い難い人物をフロントに据えている・・・という事実のなんとも言えない居心地の悪さの方がよっぽど気になるというかなんというか・・・。出音が文句なく素晴らしいんで普段は何とも思わんけど、ふとした拍子についそんな「汚ッ惨メタラーの老害メタル視点」で視てしまう瞬間があるのも確かなんだよなぁ。

・・・と、今この時点では小野さんの歌声にゾッコンなので Syu (g) のギターまでイマイチ意識が届かないんだけど(苦笑)、YUHKI様 (Key) が #9 “Fall in the Dark” のソロで聴かせる「至上の Jens Johansson 愛」(笑) だけはしっかりと伝わった!www

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H.E.A.T 80
Freedom Rock (2010)

スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンド H.E.A.T の2ndアルバム。

80年代アメリカン産業ハードに北欧メタルの叙情味を絶妙に染み込ませた見事な出来のデビュー作、そしてその後のLOUDPARK公演で見せたナイスなショウでさらに期待が高まっていたが・・・それだけに、ちょっと肩透かし気味?

確かに路線もそのままだしサウンドの質もグッと向上してるんだけど、前作に満載されてたツボを突く哀感が溌剌とした爽快感の脇役に回ってしまった印象で、全体的に優等生的な小粒さが生まれてしまっている感じ。そのせいで、Eric Rivers & Dave Dalone の名ギター・チームが連発する好プレイも、もうあと少しでカタルシスに届かんとする惜しいところで「普通さ」に飲み込まれてしまっているような。

まぁそれでも、過度な期待を排して普通に接すれば、哀メロ炸裂な #11 “Cast Away” をはじめ佳曲が並ぶ好盤レベルだとは思えるけどね。 ただ、YouToubeで観た新曲(本作には未収録) “1000 Miles” がスゲーよかっただけに、そのクラスに達している楽曲が少ないのはやっぱりチョイと物足りない。

ちなみに、先日シンガーの Kenny Leckremo が健康上の理由で脱退したとのこと・・・。彼の声、好きだったんだけどなぁ。どうなっちゃうんだろ?

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METSATÖLL 88
Äio (2010)

「ちょっと通りますよ〜」なジャケが一度見たら脳裏から離れない(笑)、エストニア出身のフォーク・メタル・バンド METSATÖLL の4thアルバム。

2004年の1stフル “Hiiekoda” 以来の購入だが、本作からはなんとSpinefarmからのリリースということで当時のシッケシケな有り得んショボさはどこへやら、リズム隊を中心にしっかりとメタルな重量感を持ち合わせたサウンドへの進化にまず驚いた。(笑)

そんな大きな環境の変化があっても辺境色丸出しの土着フィーリングは嬉しいほどに健在で、低〜中音域で朗々と現地語(なのかな?)を綴る詠唱ヴォーカルとそれに伴走する「ヘ〜イ」「ヤァ〜」「ホ〜ィ」等のやる気があるのかないのかイマイチ掴み辛い合いの手、そして各メンバーがパートを分け合う笛などの民族楽器の音色が、究極に田舎クサい純朴さを創出している・・・が、それがなんともイイんだよねぇ。

TÝRHEIDEVOLK にも繋がる“セオリー不在”のプログレッシヴなオリジナリティを放射しながら、自らのフォーク・マインドを誰にも媚を売る事なく己の内面に向かって突き詰めて行くエスニックな姿勢は、ある意味トラッド・メタルが辿り着くべき理想のスタイルなのかも。

かといって自己満足的な閉鎖感は皆無だったり。ゲストの国立男性聖歌隊による漢汁を滴らす勇壮クワイアは意外な派手さを生んでいるし、前述のリズム隊の予期せぬ巧さも聴き手を揺らせること必至。特に終始ブンブンとボトムを響かすベーシスト Raivo “Kuriraivo” Piirsalu のプレイは、ペイガン/ヴァイキング系随一の心地好いグルーヴを発しまくり。

なんだか変なバンドだけど、妙にクセになるですよ、コレ。

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