August 2 (Thu) 第二章 <北上〜前夜祭篇>

朝、目覚まし時計のけたたましい爆音で目覚めると、昨日までとの枕の感触の違いに一瞬の困惑の後、自分が今 Frankfurt にいることを思い出してなぜかニヤケつつ起き上がり、早速大きな窓から採光バッチリのご機嫌なバス・ルームで、"Wolf & Raven" を鼻歌で歌いながらシャワーを浴びる。

そしてさな☆でんのいる隣室に立ち寄り、朝食を摂るためにホテル一階のレストランへ向かうことにした。


階下へ向かうエレベータの扉が開くと、白人のカップルが既に乗っていたので「Morgen」と軽く会釈して乗り込み「閉まるボタン」を押すが、なっかなか扉が閉まらない。ポチポチポチポチ・・・(無反応)ウキー! ムキになって押していると、彼らが「押さなくていい。待ってろ待ってろ!」と言うではないか。しばらくすると扉は何事もなかったように閉まった。

そうか、昨日メシ食った店といい、このエレベータといい、焦って物事を進めようとするのは日本人の悪い癖なんだな! あぁ、恥ずかしい! のんびり行こうよ! 人生のんびりと! ・・・と、妙に反省。。。

フロントのオヤジにも軽く挨拶しつつその奥にあるレストランに入ると、適当な席をチョイスしてまずはポットコーヒーを一口。美味い! そして食い物がコリャまた見事。ハム、チーズ、ソーセージ、バケット、ブレッド、フルーツ、ドリンク・・・その他様々な食物が、それぞれ非常に数多くのヴァリエーションが揃ったヴァイキング(メタルではない!/笑)形式の朝食は食べ応え十二分。ドイツのホテルの朝食は凄いと噂には聞いていたが、これほどまでに充実しているとは恐れ入りました。

とはいえ、オレは朝コーヒーを飲まないと死んでしまう種類の人間・・・逆に言うとコーヒーだけあれば他はショボショボで全然 OK なので、食い物をまずはチョビットだけ皿に取り食い始めるが、あまりの美味さに追加で取りに行ってしまった。

そしてテーブルのトイメンに陣取るさな☆でんは・・・山盛りやんけ! しかもさらに山盛りの御替りかいっ! いやはや、どこまでも頼もしい漢である。さな☆でん。

ちなみにこのホテル、駅に激近でソコソコキレイ、そのうえリーズナブルなお値段っつー訳かしらんが、我が同胞である日本人がスゲー多かった。ま、オレが他の外国人に接する時同様に軽くニコヤカに朝の会釈しても、皆揃って仏頂面だったけどね。Fuckin' Japaner!


満腹状態で一旦部屋に戻り、速攻で部屋中に散らばった荷物を再度荷造りしてチェック・アウト。遂に聖地 Wacken に向けての北上を開始するのだ。

ホームはすべて行き止まりになってて、来た列車は反対方向へ進むのだ。

徒歩たった 1 分の Frankfurt am Main Hbf 駅で、乗るべき電車の時刻と発車ホームを確認。うむ、事前のチェックと相違ない。(それだけで軽い満足感/苦笑)
構内の本屋で、メタル雑誌と、それと同一棚のすぐ隣にコーナーが作られていたエロ雑誌をチェック。

おおー、いろんな形のマ・・・いや(汗)、いろんな種類のメタル系雑誌が! 流石に我が国の誇るアンチ正統派メタル雑誌 Burrn! ほど不必要に装丁が豪華なご立派な自称メタル雑誌は皆無だが、カラーの堅実な造りのものから、ファンジンがちょいと進化した感じのものまで数が揃っている。羨ましい環境だなぁ。

数種類パラパラとめくって、ここでは今回の Wacken Open Air 2001 の主催の一社でもあるジャーマン・スタンダード・メタル・マグ「Rock Hard」をチョイスして購入。

続いて隣の店でミネラル・ヲーターを買い(ここの兄ちゃん、お釣りを渡す際に「ドモアリガト!」と攻めてきやがった/笑)、列車に乗り込む予定のホームに移動して、そこで列車の到着を待つことにする。

とその時、バックパックを肩から下ろそうとして、デジカメをホームの地面に落っことしてしまった! 壊れたか!? 恐る恐る確認すると、どうやらちゃんと撮れるようだ。だが、液晶がヤバイ。最初は正常時より多少暗い程度だったのだが、しばらくして全く表示できなくなってしまった。。。今後は普通のカメラのようにファインダー覗きながら撮るしかないのか。。。ガックリ。ま、撮れてる(と推測できる)だけましか。


日本人の旅行者がいたね。OLっぽい女性軍団が。

が、予定の時刻を過ぎても列車が来ない。ホームを間違えたか恐る恐る確認するとホームは正しい。案内板をよく見てみると、どうやら20分遅れらしいことがわかった。

たぶん構内放送でも遅れの件は言ってたとは思うんだけど、ドイツ語だし英語も早口だしで全然わからんわい。しかしドイツ語の構内放送って、戦争映画でよく観るプロパガンダ系の戦意高揚放送みたいだなー。(苦笑)


そして予告どおり定刻より20分後、Hamburg へ向かう ICE(Inter City Express/いわゆる新幹線だね)が到着。オレらの買った乗り放題パスは二等車用なので、喫煙するさな☆でんのために二等車喫煙車輌に乗り込む。二等車と言っても、充分に広くてゴージャスな作りでメチャクチャ快適

空席を求めて通路を進んでいるとガラスで仕切られた半個室の中に、CANNIBAL CORPSE 他のメタルTシャツに身を包んだ、キャンプ用品をしこたま所持しているために一目でそれとわかる Wacken 行きのメタル・へッズを発見。同時に向こうもオレらを発見し、「Yeah! Wackeeen!!」とメロイック・サインの応酬でエールを交換する。

ドイツの鉄道は、「指定席の車輌」というものがなく、一等/二等車ともに予約されている席には名前と区間を示す紙が掲示されていて、それがないところだったら自由に座ってもよいシステムらしい。事前の情報では予約せずともまず座れるとのことだったのだが、意外に混んでいる。(後に「喫煙車輌は混む」と聞いた) が、通路を進行方向に向かって進むうち、ちょうど2つ未予約の空席を発見したので、「ラッキ!」っつってそこに腰をおろした。


延々と田園。たまに牛。(笑) そしてそれよりさらにたまに町。(さらに笑)

列車が発車すると、しばらくは車窓の風景を楽しむ。ここでも「おぉー!ドイツだ!」という感激が我が身を襲う。途中途中の小さな街に、何気に尖塔の教会が厳かな佇まいを見せているのがなんとも素晴らしい。Frankfurt から離れると Hamburg までは、ほとんどひたすら田園風景だけどね。

車内では、そうして車窓から眺める異国ののどかな田園風景を存分に楽しみつつ、車内販売のコーヒーを飲みながら Rock Hard を堪能。ドイツ語で書いてあるために記事の詳細まではわからないが、いやー濃い雑誌だ。


そのうち、半個室のメタル軍団がラジカセで大音量で JUDAS PRIEST を流し始める。(苦笑) そのうえ、あわせて歌ったり叫んだり物凄い騒ぎを展開しているようだ。1分に1回は「Metaaaal!」という最高のキーワードを発し、自らを高揚させている。電車の中で高揚せんでええっちゅーに。(笑)

他の一般の乗客は苦笑いしつつ、まぁ傍観って感じ。オレ的にも、鳴っているのがテクノとかだったらメッチャ機嫌が悪くなるところだが、メタルなので逆に適度に心地よいってのがなんとも身勝手だよなー。隣席の子供が、"Breaking the Law" にあわせてピョンピョンと踊っていた(苦笑)のが印象的だった。


Frankfurt Hbfよりかなり立派な駅よ。

3時間半ほどで列車は Hamburg Hbf 駅に到着。ここで、目的地である Itzehoe 駅に止まる IC(Inter City/うーん「特急」ってイメージかな)に乗換だ。列車からホームに降りると、さっき騒いでいたバカ軍団以外にも、他の車輌から多くのメタル・へッズがホームに降り立ってきた。一瞬のうちに Hamburg Hbf は "Metal Station" と化したのだ!


ピクルス好きにはタマランって!!!!

乗り換える列車を待つまでの間に、デジカメの予備の電池を買ったり、売店でホット・ドッグを買ってその場で食ったりしながら、この「これがヨーロッパの大型駅!」という Hamburg Hbf 駅の雰囲気を満喫。

ちなみにホット・ドッグ、ピクルスの量が半端じゃないのを除けば、大きさも程ほどの何の変哲もない普通のホット・ドッグなんだけど、食ってビックリ超激ウマ。やっぱソーセージが肉汁たっぷりで美味いのよ。幸せ。


電車の旅はメッチャ快適よ、ドイツ。

そうこうするうちに、乗るべき IC がホームに滑り込んできた。オレら同様、この列車に乗り込むメタル・へッズはかなり多く、さっきまでの ICE 車中の様子を思い出して、悪い予感(苦笑)が背筋を伝う。。。


車輌のドアが開くと、この時点ですでにその予感が半分くらい的中していることに気がついた。そう、ホームまで、車内で誇らしげに鳴り響くデス・メタルが聴こえてくるのだ! 恐る恐る車内に入ると、みんなビール持って立ち上がってるよ! みんなヘッド・バンギングしているよ!



まさにメタル・トレインッ!!(大汗)

そしてそいつらは、オレらを発見するやいなや、「Guuuuwaaarrrr! Wackeeeeennnngh!!」とメロイック・サインをかまし、車内は Wacken コールで充満・・・うむー、恐るべきハイ・テンション。当然車内には一般のお客さんも乗り合わせているんだが。。。(汗)

電車でさえこうなんだから、バス・ツアーなんかの惨状は、もう想像もしたくないね。


そのうち、オレらの席の最寄でデス・メタルをかけていた連中が近づいてきた。

「◎▼×◇■@¥&%$?」
「あ、ごめん、ドイツ語わかんないんだわ。」
「あー、そうかそうか、もしかして日本からきたのか?」
「うん、そうだよ。わかる?」
「ははは、そりゃわかるさ。で、このためだけに?」
「イェー! あたりまえじゃん!」
「グヲー! クレイジー!! 日本と言えば、SHADOW って知ってる?」
「Ja! そっちこそ知ってるのか?」
「おうよ! 超クールだ! シンガー女なんだってな 信じられネェよ! おぅ、まぁこれ飲めよ! チアーズ! グヲー! Wackeeeeennnn!」

・・・てな感じで道中いろいろ話しながら盛り上がる。あ、飲んだのはさな☆でんだけで、オレはすぐ後に運転を控えてたんで、ビールは辞退したけどね。

で、Itzehoe の話になったときに、アクセントの位置が違ったのかなぜか「Itzehoe」が通じない。そこで列車の運行パンフレット(各列車に一つずつ用意されたすぐれもの!)の Itzehoe と書いたところを指差し、「ここのことを言ってんだよ。正式にはなんて発音するの?」と訊くと「イッツェホゥーェ(『イ』にアクセント)だよ。 なんだ?もしかして『マンコ』とでも読むと思ったのか!? グハハハ。」とのたまいやがったので、健全な変態日本人としてはもう黙っちゃいられない。

「マジ!? なんだこれ、『マンコ』って読むのか! スゲー!」つって、その運行パンフの「Itzehoe」の文字のところを舌先でレロレロ Lick してやったら、「ウワーーーー!! お前本物のクレイジーだ! Yeah!!」

・・・ワールドワイドで褒められてカナリ満足。(馬鹿)


ジャーマン・バカ軍団。(褒)

そんな感じで国境を越えた変態トークをかましていると、たまに隣席の婆ちゃんが「うるさいわよ!」(ドイツ語なので推測)ってな感じでそいつらのラジカセの音量を絞りに来る。そいつらも「そりゃないよ」って雰囲気でブーブー文句を言いながら、しばらくはその下げられた小さな音量なんだが、徐々に元の音量に戻してゆく。(苦笑)そしてまた婆ちゃんが・・・。

あぁ、ぼ、僕らはたまたま乗り合わせたんですよ。コイツラとは友達じゃないんですよ。どっちかって言うとあなた方の側の人間なんですよ。でも絶対同類と思われてんだろうなー。心の中で「ご迷惑おかけしてスイマセン、スイマセン」を連呼する。

ところが、そんな極悪なメタル野郎たちなのに、婆ちゃんが降りる時には網棚の荷物を取ってあげたり、ホームとの段差が大きいために電車から沢山の荷物を持って降りるのに苦労している一般の人をヘルプしたりっていうのを、スッゲー自然にやっていた。うーむ、感心感心。


凶暴なメタル野郎どもがお行儀よくシャトルバス乗り場に並んでマス。Itzehoe、静かなところなんだよねー。

そのうち、列車は Itzehoe 駅に到着した。

クレージー・メタル・ヘッズ達がホームに降り立つと、所々で「Yeah! Wackeenn! Metaaaal!」と雄叫びが上がる。が、同じメタルヘッズの中にもそんな馬鹿騒ぎを「よーやるわ」って感じで観ている「良識メタルヘッズ」はちゃんと居るもので、そいつらとアイ・コンタクトで肩をすくめあいながら、Itzehoe 駅から表に出る。

そこは、閑静な住宅街。普段ならメタルのメの字もないだろうその街に、半ば気の狂ったメタル・ヘッズが世界中から集結しているのである。住人にとっては迷惑な話だ。(笑)


大多数のメタル野郎ども(女の子もいるけどね)が Wacken へと向かう専用シャトルバス乗り場へと移動する中、オレらは車を借りるために反対側にある HERTZ へと歩きだした。程なく HERTZ 発見。しかし、店は施錠されていて、中には当然誰も居ない。ドアに、たぶん一時的な不在を告げているのであろう張り紙が貼られているが、当然ドイツ語なので一行足りとも理解不能だ。

いつも無人。(笑) チョーやる気無さげ。

まぁオレら的には車を借りる予定の時刻より多少早めに着いてたんで、しばらく店の前で待つことにする。すると定刻より少々前に、オーナーと思しきドナルド・サザーランド似のオヤジが車で戻ってきた。(安堵)

そこで、予約番号とその内容の書かれた予約票を渡すと、なんだか怪訝な顔をしている・・・そして・・・

「Oops! コリャ知らないな。ワタシはあなた方の車を持ってないよ。」

なんぢゃそりゃ! こっちが Oops! じゃい! と驚き&怒りを露わにしつつ、店の中で事情を説明すると、「今コレしか車ないんだけどいいかな。」ってことで、一台の車を見せてもらう。PEUGEOT 206。なかなかいい車であるが、当初希望していたオートマティックではない。しかしながら、背に腹は替えられないので、右手でのシフト操作に若干の不安を覚えながらもこの車で承諾。

「見たトコ、Wacken 行くんだろ? グッド・ミュージックを楽しんでこいよ!」というドナルド・サザーランド風オヤジに、日本で作ってきた地図を見せ、この店から A23(アウトバーンの路線名)のインターチェンジまでの道程を確認し、車をスタートさせた。


運転しながらファインダー覗いてマス。(自殺志願)

初めて運転する左ハンドル、しかも初めての右側通行。しかも標識のドイツ語は読めない・・・と言うウルトラ無謀な状態の中、ウインカーを出そうとするたびにワイパーを動かしてしまいながら(汗)、何とか A23 のインターチェンジに乗る。右手でのシフト操作はあっという間に慣れた。アウトバーンはやはり凄い。万全を期してゆっくりと走るオレらを尻目に、ほとんどの車が左側を凄まじいスピードで抜き去ってゆく・・・怖えぇ!


遂に「Wacken町」(笑)に突入!

目的のインターチェンジでアウトバーンから降りると、あとはほとんど一本道。緊張が和らぎ、軽い安堵がこの身をつつむ。しばらく走ると、会場まであとわずかってところで、車の流れがピタリと止まった。結局これは「Wacken 渋滞」だった。

そう、この世界最大級のメタル・フェスには、世界中から何万人のメタルヘッズが押し寄せるのだ。まさにメタル民族大移動((c)古館)。が、しかし、極東の万年交通麻痺都市トーキョーからやってきた我々にとっては、このくらいの渋滞は全然屁の河童である。

のろのろと進んでいる間、近隣の住民はさぞ迷惑なんだろうなと考えていたが、軒先で夕涼みしているお婆ちゃんと目が合ったら手を振ってきたんで、実際はそうでもないのかなー?


やがて、道を歩くメタル・ヘッズの数が異常に増えだし、そろそろかなーと思ったその時、会場への入り口がそこにあった!

おぉ! 俺らは 7,000 マイルの距離をものともせず、ココまでやってきたのだ! Metal の波に飲み込まれるために!! 感動が身体の芯から湧き上がってくる。ゲートで 30DM を払って Parking パスを貰い、意外にも統制の取れた多数の誘導係員の指示に従って、Campground 内の入り組んだ通路を自車を停めるべきエリア目指して延々と迷走した末、めでたく到着。スゲー! やっと来た!って感じ!


我が愛車 PEUGEOT 206。緑でカワイイ感じ。

車を降りると、ステージの演奏がココまで聴こえてきている。あれ? 前夜祭って、開場 17:00 /開演 18:00 のハズじゃん? いままだ 17:30 くらいなんだけど?(謎) しかも、離日前に見た Web サイトのアナウンスでは当初前夜祭のトップで出るはずだった、トルコのバンド KNIGHT ERRANT は日時変更になったハズだし?

様々な疑念を抱きながら、とりあえずステージのある FESTIVAL AREA を目指して歩き出す。歩きながらはるか彼方から風に乗ってくる演奏を聴いていると、聴こえてくるのは SKYCLAD の曲のような気がする!?


広大な Park & Camp グラウンドは、随分前からキャンプを続けているツワモノたちをはじめ、凄まじい数のメタル・ヲーリアで埋め尽くされており、ほとんどのメタラーが自慢のメタルTシャツに身を包んでいる。うーん、壮観だ。

駐車している車には、カッティング・シートで作成したバンドの巨大ロゴを貼ったりしている車も多く、それらのバカ車を楽しんで眺めながら歩き、エントランスの向こうに巨大なステージが見えてきた! とうとうステージのあるフェスティヴァル・エリアに到着したのだ。


夢にまで見たWacken Open Air の会場! 感動!

うをー! 凄い! 凄すぎる!


そこにいる全員がメタル。

そう、まさに知らぬ間に人類総メタル化計画なるものが遂行され、それが見事に成功したかのような圧巻の光景だ。老若男女問わず、ほとんどのメタラーが自慢のメタルTシャツに身を包んでいる。

明らかに50才を越えているオヤジや場違いなほど超キュートなギャルですら、デニム&レザー、パッチ、鋲つきリスト・バンドやガン・ベルトで武装し、自らがメタル信奉者であることを誇らしげにアピールしているその姿は、一目で「こいつはメタルだ!」と認識されないようでは屈辱感に苛まれて自らの舌を噛み切って絶命せんが如きの、神々しいまでのメタル愛に満ちている!

そう、ここにはメタルと死を分かつ覚悟の本物のメタル・ヲーリアが集結しているのだ。

グレート! メタルでないことが恥ずかしいメタル・ワンダーランド!


これが長かった。3〜40分並んだっけかな。

感激しながらもまずはパンフレットを購入し、続いて持っているチケットを正式のチケット&リスト・バンドと交換してもらうための長蛇の列に並ぶ。ステージでは相変わらず SKYCLAD のような曲を演奏しているのだが、ここからだとまだステージ上の様子までは見えないので、誰が演奏しているのかまではよくわからん。ヴォーカルの感触はちょっと違う気がするのだが。

しばらくすると順番が来て、右腕にリスト・バンドを巻いてもらい、留め金を手動の機械で潰して固定する。今後3日間は、このリスト・バンドがチケット代わりというわけだ。早速入場しようとエントランスに団子状態で並ぶが、これがなぜかなかなか進まない。もしや場内はすでに満杯で、エントランスの外側まで人が溢れてるってことなのか?


そうしている間に、FINNTROLL が始まってしまった! あー、どーなってんだ! このエントランスは巨大なダブル・メガ・ステージの正面に位置するので、音はバッチリ良好に聴こえてくるが、FINNTROLL の演奏はメチャクチャ安定してる。並んでいながらもついついノッてしまうわ。

そのうちやっとエントランスのゲートが近づいてきて、状況がわかった。屈強な警備員部隊「メタル・ガード」が、入場する全員について入念なボディ・チェックを行っていたのだ。手を水平にさせられ、手袋をした手で全身を隅々までまさぐられ、ウェスト・ポーチの中まで入念に調べられる・・・・とりあえずパス。あー、コリャ進まんわけだわ。

女性は自分で希望すれば女性のメタル・ガードによるチェックを受けられるのだが、ツワモノの女性は平然とした顔で乳やケツを揉まれまくっている。メタル・ガードもそんな女性に対しては、必要以上に入念なまさぐりを入れているのがなんとも微笑ましい。(苦笑)


キーボードの人の扇風機ヘドバンがスッゲー!

入場した我々は、ダッシュで FINTROLL のステージへ。わぉ! FINTROLL が動いてる!(笑) キーボードによって、アルバムのフォーキーかつシンフォニックな味わいを見事に再現したその独特のサウンドは、アルバム以上に攻撃的なリズムの圧力もあって大迫力この上ない。結構人気もあるようだ。ポルカ大爆発でノリノリのうちに FINTROLL が終了。まさか FINTROLL を生で見れるとは、ほんとに感慨深い。


最初ッからこんな凄かったら、あとでどうなっちゃうんだろう・・・と、嬉しい不安を覚えながら、ビールを買う。ビール・スタンドはあちこちに豊富に点在し、並ぶ心配はまずなさそうだ。ビールは最初が 6DM で、次からは飲んでいたカップを持っていけば 4DM で売ってくれる。カップは回収され、新しいカップでビールがもらえるシステムだ。

地面に腰をおろして、Wacken 初ビールを飲む。美味い! ドイツのビールって結構薄めなので(つーか日本のが濃いのか)、量を飲むのには最適だ。次の CREMATORY へのインターバルの間、しばしこの環境でのビールを楽しむ。


青い空、涼しい空気、美味いビール・・・そしてメタルの爆音! 最高!

周りのヤツラが着ているさまざまなTシャツやパッチは、見ているだけで充分に楽しい。この日一番マニアックだったのは、RATA BLANCA 着てたやつだなー。

Tシャツ以外でもいろんな人がいる。ゴシック風の男女やヴァイキング・メタル風のコスプレ野郎がいたり、女の子はノーブラでビーチクくっきりでもまったく気にする様子がなかったり(嬉)、挙句の果てにはスッポンポンで「着用しているのはタトゥーとチンポ・ピアスのみ」のイカレ野郎まで。ったくよー、見たくねーっつーのなぁ。


そのうち、次の CREMATORY がまだ到着しておらず急遽延期 or キャンセルとのアナウンスが。あーあ、結構楽しみにしてたのに。次の W.A.S.P. はどういうスケジュールで演るんだろ。まさかまだ明るいうちにはやらないよなーなんて考えながら、ビールの御替りをしつつ場内を探索する。場内にはグッズや飲食物を売るテントが沢山あり、まずは一通りチラリと物色。


明らかに場違いなバンドだったわ。謎。

すると、ステージから KISS の "Rock 'N' Roll All Nite" が聴こえてきた。BGM かと思ったら、ピンクやシルバーのウィッグを被った華美なグラム軍団が演奏している。誰だ? コイツラ? 素性がわからぬまま(帰国後、THE IMPOTENT SEA SNAKES という U.S. のバンドとわかったが)その後のオリジナル曲(と思う)を聴くが、つまらんのでまたショップ巡りを再開。


CD ショップで、日本を出発直前に買いそびれてた SUPREME MAJESTY と BEYOND TWILIGHT、そして出たばかりの ELVENKING の3枚を発見し、即 GET。

店員に ELVENKING をお願いしてたら隣にいた奴がその内容について質問してきた。「イタリアのエピック・フォーク・メタルだよ。」と教えてやったが、俺の口から女性シンガーではないことを聞くと、彼は「なーんだ」つって人ごみに消えていった。(苦笑)


上手く撮れてないのがホント悔やまれる。見たら笑うぜ。ホント。

小腹が空いてきたので、飲食物のテントを回って何を食おうか物色。ホット・ドッグ、ピザ、ハンバーガー、ケバブ、・・・などなど、フィッシュ・サンド以外はほとんどが「パンと肉の組み合わせ」である。(汗)

その中でオレらの脚を止まらせたのが、「ステーキサンド」。8DM という、会場内の食い物としては最も高価な部類に入るハイソな(笑)物だが、こいつにチャレンジ。

グハッ! パンに、タレで焼いたデカい肉が2つ織りになって挟まってる。野菜とかそんな余計なもの(苦笑)は一切ない。しかしメチャうま! 衝撃的に美味い! 上手く写真に収めることが出来なかったのが悔やまれる逸品でした。


辺りも暗くなってきて、そろそろ次のバンドのスタート時刻。CREMATORY か W.A.S.P. かわからぬままにステージの方に移動すると、初の日本人と思しき女性を発見。「失礼ですが日本の方ですか?」と、極めてジェントリーに(笑)英語で訊いてみると「はい」とのことで、カナコちゃんという子で(だと思ったが違ったらごめん)、なんでも KRISIUN を目当てに(狂ってる!/笑)大阪から来たそうな。そして連れのキョーコちゃんが野郎に絡まれながら行方不明になった(!)などという恐ろしいことを、淡々と話しているので、さな☆でんが周囲を探索に行くとあっけなく見つかり、めでたしめでたし。

しばし談笑していると、演奏がスタート。W.A.S.P. だ。あー、CREMATORY はキャンセルなのね。。。大阪の女性コンビは、 W.A.S.P. だとわかると今日はもう宿に戻ることにするといってそこでバイバイ。なんでもホテルは Hamburg で、タクシーで帰るんだそうな。ご苦労様デス。


期待していなかっただけに、あのカッコよさにはビビったね。

W.A.S.P. はサスガの貫禄。1st や 2nd の曲はやっぱりイイし。ブラッキーがバイク型のマイク・スタンドにまたがり、火花を散らしながらグイングインとローリングする様に場内はまさに熱狂の坩堝だ。そこから感じ取れるここでの W.A.S.P. の根強い人気は、日本でのそれからは全く想像できないものだった。


興奮のうちに W.A.S.P. が終了し、前夜祭の演奏はすべて終了。車に戻る前に、明日&明後日に予想されるタイトなスケジュールを考慮し、自分用&お土産のTシャツをしこたま買い込んでから会場を後にして車まで歩き出す。

が、道は真っ暗。しかも、来た時より明らかに駐車車輌が増えていて、道が来た時と若干違うような。。。(汗) こんなこともあろうかと思って持参したマグ・ライトが超役に立ったことに小さな嬉しさを感じながら、直感と近隣のテントが掲げる旗を頼りに自車を目指し歩くこと10数分、多少迷いながらもやっとのことで無事車を発見した。

車内に入り、明日の朝のために速攻で寝ることに。シートを倒して目を閉じるも、夜の寒さはカナリのもので、未だ覚めやらぬ興奮のせいもあるのかナカナカ眠れない・・・と思っているうちに爆睡。。。。